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ラグビー コラム 2023年12月4日

【ハイライト動画あり】「オールアウト」の明大、前半のリード守り100周年の早明戦を制す

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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100周年の早明戦は12月3日(日)、快晴の国立競技場に31,915人の観衆を集めて行われた。第二次世界大戦による休止期間もあり、99回目となった早明戦は午後2時7分、早大FB伊藤大祐キャプテン(4年)のキックオフで始まった。

明大がこのボールを落球(ノックオン)し、早大が最初のチャンスを得る。しかし、早大はボール争奪戦の反則で好機を逸してしまう。その後のチャンスで攻め込んだ早大陣22mラインまで侵入した明大はゴールポスト正面でPKを得たが、PGを狙わず、タッチキック。強気の選択に観客席がわいた。前半5分、ラインアウトからモールを押し込むと、早大のディフェンダーをすべて巻き込んだところでHO松下潤一郎(4年)が無人の左ショートサイド駆け抜けてトライ。5-0とリードする。

安田昂平(明治大学)

明大は、ゴールライン近くのPKからはタッチキックからラインアウトのモールで攻め、遠い位置はPGを狙うというメリハリの利いた判断で加点。CTB平翔太(2年)のPG、松下の2つめのトライで、15-0とした。前半27分、早大もCTB野中健吾(2年)がトライを返したが、明大は自陣からの攻撃で1年生WTB海老澤琥珀が左タッチライン際を抜け出し、最後は右オープンにボールを運んでWTB安田昂平(3年)が右コーナーにトライ。20-3とする。さらに39分、早大ゴール前のラックサイドをPR為房慶次朗(4年)がついてトライを追加。平がゴールを決めて、前半を27-3として折り返した。

明大は「早大のディフェンスは流してくる」と分析。面で追い込むような早大のディフェンスに対して縦に走り込んで前進し、BKが余裕を持ってボールを展開した。地域獲得のキックもよく伸び、前半は明大が完全に試合を支配した。後半も先にトライしたのは明大だった。早大のFB伊藤大祐キャプテンが大きく蹴り返そうとしたところで、このボールを明大SO伊藤耕太郎がチャージし、インゴールに転々とするボールを押さえて、34-3と突き放したのだ。

ラグビー 関東大学対抗戦2023

【ハイライト動画】明治大学 vs. 早稲田大学

明大のこの日のテーマは「オールアウト」。力を出し切るという言葉通り、ディフェンスでは激しく前に出て圧力をかけ続け、早大のミスを誘った。後半20分にも縦突進の連続でFB池戸将太郎(4年)がトライし、41-3とリードを広げる。誰もが明大の勝利を確信する点差だったが、早大はあきらめていなかった。「明治の足が止まってきた」(早大FB伊藤)と、自陣から思い切ってアタック。後半27分、WTB矢崎由高(1年)が左コーナーに飛び込んで、41-10。30分には、FL安恒直人(3年)の突破をサポートしたHO佐藤健次(3年)がトライして41-17。明大も安田がトライを追加して、46-17とするが、早大はLO池本大喜(4年)、FB伊藤、HO佐藤が3連続トライ。後半40分で46-38と8点差に迫った。しかも、ロスタイムは約8分あり、スタジアムがざわつきはじめる。

海老澤琥珀(明治大学)

しかし、早大の反撃もここまで。試合を決定づけたのは、怪我の廣瀬雄也キャプテンに代わってゲームキャプテンを務めた明大LO山本嶺二郎(4年)だった。早大がゴールラインを背負ったボール争奪戦で山本は「早稲田さんに攻め疲れというか、ゆるみが見えたので、油断しているところでファイトしてみました」と、ボールを守っている選手を押し込んでカウンターラックに成功。こぼれたボールを交代出場のSH登根大斗(3年)が拾ってトライ。伊藤耕太郎がゴールを決めて53-38と再び突き放すと、終了間際、ラインアウトからのサインプレーで海老澤琥珀がトライし、ダメを押した。

矢崎由高(早稲田大学)

モストインプレッシブプレーヤー(MIP)は、早大WTB矢崎由高(1年)。プレーヤーオブザマッチ(POM)は、最初の2トライをあげた松下潤一郎(4年)が受賞した。勝った明大の山本嶺二郎キャプテンは「苦しい時間帯がありましたが、ONE MEIJI(ワンメイジ)で守り切り、勝ち切れたことを嬉しく思います。試合のテーマは、オールアウトでした。全力を出し切り、体力的に厳しかったのですが、走り切ることができました」とコメント。神鳥裕之監督は次のように話した。「これぞ、早明戦。簡単にあきらめないのが早稲田さんです。後半の失点の多さは課題ですが、コミュニケーションを80分間維持することが大事だと思います」。

敗れた早大の伊藤大祐キャプテンは「チャレンジャーとしては保守的になったところがあった。もっと攻める姿勢を見せていきたい」とコメント。後半の猛追については「伝統ある早明戦であり、たくさんの人が応援してくださる前で、このままじゃ終われないという気持ちでした」と語った。この結果、明大は関東大学対抗戦Aで2位となり、全国大学選手権に準々決勝から出場することになった。一方、早大は3位となり、初戦(3回戦)で関東大学リーグ戦1部3位の法政大と対戦。勝った場合、準々決勝で関西王者の京都産業大と対戦することになった。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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