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ラグビー コラム 2023年11月28日

【ハイライト動画あり】慶應義塾大学、100回大会の勝利ならずも、黒黄らしさを発揮した早慶戦。伝統を次の100回へ。ラグビー関東大学対抗戦

ラグビーレポート by 慶應スポーツ新聞会
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国立を沸かせたSO山田(慶應義塾大学)

「歴史を変える」。この1年間、全てはこの日のためにやってきた。ここまで早稲田大学が72勝、慶應義塾大学が20勝、7つの引き分け。2万7609人もの観客が伝統の早慶戦を見届けた。

塾歌、校歌斉唱は例年テープ流す形式だったが、今年は慶應義塾大学應援指導部、早稲田大学応援部の生演奏により行われた。生演奏には心も身体も響くだろう。選手らは他の試合よりも声を張り、感極まって涙する選手もいた。

早慶戦100回目のホイッスルが鳴り、FB(フルバック)今野椋平のキックで幕を開けた。慶大は試合冒頭から力を入れてきた「魂のタックル」で早大の攻撃を食い止める。しかし、右サイドに数的優位を作られると、前半4分、LO(ロック)池本大喜が内側に切り込み、SH(スクラムハーフ)島本陽太へボールが渡り先制トライを許す。

10分にもトライを決められ、その後、慶大は今季多用しているアップアンドアンダーで相手のノックオンを誘いチャンスを作るも、慶大のノックオンもありフェーズを重ねられない。一方の早大は同じ戦術が功を奏し、スクラムから敵陣で展開。SO(スタンドオフ)久富連太郎のパスを、SO山田響がインターセプトしようとしたが、惜しくも取れず。最後はFB伊藤大祐に決められてしまう。

なんとしても攻撃の糸口を見出したい慶大は、ハーフウェイラインからFB今野がハイパントをあげる。そのボールが慶大に入り、攻撃を展開する。SO山田にボールが渡ると、グラバーキックを蹴り、ディフェンスラインの裏へ走る。

FB伊藤とボールを競るが、バウンドするボールは慶大を味方するかのように大きく跳ね上がり、山田の元へ。SH島本のタックルを受けながらもトライを決めた。山田の個人技に会場は大盛り上がり、客席は多くの黒黄の旗で靡いた。コンバージョンも決まり7点を返す。

これで慶大に一気に流れがきた。相手のハイパントをWTB(ウィング)大野嵩明がジャンピングキャッチ。今年、ハイボールのキャッチに磨きをかけてきた大野、が練習の成果を発揮する。タッチキックでエリアを戻し、相手ボールとなってもWTB佐々仁悟、CTB永山淳が強烈なタックルを決めてターンオーバー。

ラグビー 関東大学対抗戦2023

【ハイライト動画】早稲田大学 vs. 慶應義塾大学|100回目の早慶戦、6トライで早稲田の勝利

フェイズを重ねてのアタックが生まれ始め、ラインアウトからのドライビングモールと得意な形に持ち込む。一気にゴールライン前まで運ぶと、あとは数センチを巡ってFW(フォワード)同士のぶつかり合いに。決死に押し込む慶大に対し、守る早大の構図。

意地と気迫の20フェイズは慶大に軍配。グラウディングしたのは「しんどい時に、自分が一番頑張れるように」と語っていたHO(フッカー)中山大暉。トライの笛が鳴った瞬間、ボールを真上に投げ上げ雄叫びを上げた。

慶大は敵陣で攻め込まれる時間も続いたが、タックルの応酬で相手を食い止めた。その後、1トライを許すも、SH橋本弾介が自身より10kgも重いCTB岡崎颯馬を完璧に倒す好タックルも見られ、14-28で前半を終えた。

後半、早大のWTB矢崎由高にトライを決められ、24点差とされた慶大に火をつけたのは、またもやあの男だった。SO山田がハーフウェイラインからショートパントでディフェンスの頭を越すと、自分でキャッチし一気に前進。相手のオフサイドも誘い、タッチに出す。こだわりのラインアウトモールで、宿敵相手を圧倒できるかが注目された。

HO中山のスローをNO8(ナンバーエイト)冨永万作に合わせると、モールを組むかと思われたが、そのモールの後ろにいたLO中矢健太を中心としたモールが前進。グラウディングしたのは、FL(フランカー)富田颯樹だった。用意してきたプレーを完璧に再現し、19-38と反撃する。

『魂のタックル』を突き刺していく

猛虎の勢いは止まらない。早大のLO池本に対して、WTB佐々が膝下に突き刺さるタックルを決め、ボールを弾かせタッチを割らせる。佐々が渾身のガッツポーズをし、FL富田と抱き合った。ハイパントで競る戦術で攻め続け、敵陣でプレーする。

33分にはSH橋本のハイパントをWTB大野がキャッチに成功したり、今野がスペースに蹴り込んだりするも、得点には結び付かず。さらにロスタイムの43分、CTB山本大悟の突破からSO山田が左サイドへキックパスをするも、大野の元には惜しくも入らず。逆に早大にトライを決められ、19-43となったところでノーサイドとなった。

100回目となる伝統の一戦は、早大に軍配があがった。しかし、慶大は「魂のタックル」をはじめ、慶大らしさを国立の地で発揮した80分間であった。また、新チームになってからこの一戦にかけてきた想いを、出し尽くした一戦になったのではないか。

試合終了後、悔し涙を流したPR(プロップ)岡広将主将の姿がそれを物語る。山田は「自分らしいSOを見せる」と語っていたが、個人技で会場を沸かせた。WTB佐々は塾歌斉唱の時から涙し、気迫のタックル後の雄叫びが印象的だった。大野は1年間練習してきたハイボールキャッチを何度も獲得した。FL富田は憧れの舞台で対抗戦初トライを決め、誰かの心を動しただろう。

早慶戦は終わったが、まだ対抗戦は残っている。次の帝京大学戦も、果敢にファイトして、大学選手権につなげてほしい。

文:野上賢太郎/写真:愛宕百華、濱島達生、重吉咲弥、ウジョンハ(#慶應スポーツ新聞会)

慶應スポーツ新聞会

慶應スポーツ新聞会

慶應義塾大学文化団体連盟所属の公認サークル。通称ケイスポ。全40ある体育会の取材から記事の執筆、年7回の新聞製作まで全て学生の手で行う塾内唯一のスポーツ新聞サークル。部員数約50名、35年の歴史を持つ。»慶應スポーツWebサイト

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