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【ハイライト動画あり】大東文化大、16トライの猛攻で拓殖大を圧倒し今季最終戦を締めくくる。関東大学リーグ戦1部最終節レポート
ラグビーレポート by 直江 光信ペニエリ・ジュニア・ラトゥ(大東文化大学)
3位東洋大と勝ち点差2、4位法政大とは勝ち点差1の5位で迎えたリーグ戦の最終節。2季ぶりの大学選手権出場へわずかに可能性を残すものの、その2校の結果次第ではこの最終戦の勝敗に関わらずシーズン終了となる。しかし大東文化大の選手たちは、そんな雑念などまるで頭にないかのようにこの一戦に集中し、積み上げてきた力を余すことなく発揮して拓殖大を圧倒した。
ゲームの流れを決めたのは開始直後のプレーだ。拓殖大がキックオフレシーブから自陣脱出のキックを蹴り返すところへ、大東文化大キャプテンのSH稲葉聖馬が鋭い出足でプレッシャーをかけてチャージ。こぼれ球を確保すると、SO小田嶋生吹の防御裏へのキックを追ったWTB神田永遠が左足で巧みにボールを残してコーナーに押さえる。この一戦にかける意気込みを感じさせる強烈な先制パンチで、大東文化大がまたたく間に得点を刻んだ。
続く12分には、相手陣22メートル線内でラックのこぼれ球を拾ったCTBペニエリ・ジュニア・ラトゥが個人技でタックラーを振り切ってインゴールへ。これで完全にペースをつかむと、その後も風上を利して大半の時間を相手陣で過ごし、17分WTB神田、25分CTBラトゥと立て続けにゴールラインを越える。
点差が開いたことによる精神的な影響からか、30分以降はより両者の勢いの差が鮮明になり、大東文化大は自慢のスピーディーなラインアタックで30分と36分にWTB原田光貴、40分にもSO小田島がトライをマーク。前半だけで39-0と大量リードを奪ってゲームを折り返した。
ハニテリ・ヴァイレア(大東文化大学)
サイドが入れ替わった後半も大東文化大は攻撃の手を緩めず、開始早々に連続攻撃を仕留めきってWTB原田が右中間へ駆け抜ける。さらに49分にPからの速攻でCTBハニテリ・ヴァイレア、54分にはモールを押し込んでFL手島壮汰が悠々とグラウンディング。20分以上を残した時点で、スコアは58-0まで広がった。
一方的な展開にようやく拓殖大が歯止めをかけたのは58分だ。後半CTBの位置に移った背番号10の恒藤嵐士のクリーンブレイクから相手陣レッドゾーンへ攻め込み、ペナルティを獲得。すぐに仕掛けてガラ空きの左大外へ長いパスを通し、HO古川太一がインゴールを陥れる。
ラグビー 関東大学リーグ戦2023
【ハイライト動画】拓殖大学 vs. 大東文化大学
しかし大東文化大は直後のキックオフから意欲的に攻めてすかさず嫌なムードを断ち切り、61分にスクラム起点の連続攻撃でWTB神田がこの日3本目のトライを奪取。66分には厳しいディフェンスでターンオーバーしたボールを切り返し、SO小田島が防御のギャップを走り抜ける。
以降も大東文化大の攻めの姿勢は揺るがず、70分HO大西樹、76分WTBタヴァケ・オト、78分CTB橋本颯太と入替で登場したフレッシュなメンバーが次々とフィニッシュ。最後は81分にFL蓑洞功志がサポートランから走りきり、92-5の最終スコアでフルタイムとなった。
今季チーム最多となる16トライ、92得点を挙げる大勝で注文通りの勝ち点5を手にし、リーグ最終戦を締めくくった大東文化大。最終的には法政大と勝ち点19で並んだものの、直接対決の結果(法政大30-29大東文化大)により法政大が3位、大東文化大は4位という順になり、惜しくも大学選手権出場はならなかったが、圧巻のトライを連発したこの日のパフォーマンスは、シーズンの確かな歩みを示すものだった。
何より目を引いたのは、勝負が決まった後も雑なプレーに走らず、築き上げてきたスタイルを貫く姿勢を崩さなかったことだ。どれほど点差が開いても貪欲にトライを目指し続ける選手たちの姿は、このチームでの最後の試合になるかもしれない大切な時間に、すべての力を発揮しようという意志の表れのようにも映った。フィールド上の選手はもちろん、スタンドで見守ったメンバーも含め全部員が味わったこの一体感は、来季へつながる貴重な財産になるだろう。
対照的に拓殖大は1対1のタックルで大東文化大の勢いを抑え込めず、今季ワーストの大敗でリーグ最終戦を終えることとなった。プレー、メンタル両面の柱であるSH木本真太郎キャプテンの欠場が痛手だったのは確かだが、「自分たちはこれで勝負する」というスタイルを最後まで出せなかった点は残念だった。2部1位の専修大と対戦する入替戦は12月16日、熊谷ラグビー場で14時にキックオフを迎える。残り3週間でチームとしての戦い方をどこまで研ぎ澄ませられるかが、1部残留へのテーマだろう。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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