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慶應義塾大学、早稲田大学と100回目の激突。「黒黄」が歴史変えるか、「赤黒」が北風吹かすか。ラグビー関東大学対抗戦
ラグビーレポート by 慶應スポーツ新聞会鍵を握るSO山田のゲームメイク
ついにこの日がやってきた。両校の意地とプライド、全てをかけた戦いなのは至極当然なのだが、今回は「100回目の早慶戦、それも国立」という、この一戦からしか生まれないエネルギーや独特の雰囲気も、この試合の行方を左右しそうだ。
慶大は試合に臨むにあたり、課題を設定して挑戦し達成する、試合ごとに成長する戦いぶりを見せてきた。ディフェンス力はもちろんのこと、モールやスクラムなどセットプレーの強化、BK(バックス)陣のアタックも調子が上がってきた。
明治大学戦では立ち上がりの失点と、連続失点が響き敗れたものの、後半は近場でのFW(フォワード)のぶつかり合いを制したり、モールでトライを取り切ったりと、後半はスコアで上回った。
早大攻略のカギは、FW陣の踏ん張りとBK陣のここぞでの爆発力だ。早大の変幻自在のアタックを、「魂のタックル」でディフェンスできるかに勝負がかかる。青貫監督は明大戦後、早慶戦までに「タックルを鍛える」と述べたが、この1年間鍛えたタックルを存分に発揮してもらいたい。
攻撃面では、早大は例年中央に人を多く配置するディフェンスをするが、「外に外に」と回すのではなく、FW陣が少しずつ前進することが大事だ。そこで、終盤FW陣が疲れてきた時に、BK陣がランで駆け抜けるというような展開に期待だ。
チームを引っ張るPR岡キャプテン
慶大の注目選手を挙げるならば、PR(プロップ)岡広将と、SO(スタンドオフ)の山田響だ。岡は主将としてチームを束ねてきた。「早慶戦に勝つ」という目標に1年間チームは取り組んできたが、岡がチームの先頭に立って率いてきた。岡のタックルを見て闘志を燃やす選手や、心を打たれる観客がたくさんいるはずだ。早慶戦でも、言葉と背中でチームを鼓舞してほしいところだ。
山田はキックはもちろんのこと、自身で切り拓いていく能力が高い。成蹊大学戦や明大戦でも自分のランで突破するトライを決めた。宿敵相手にも果敢に仕掛け、相手ディフェンスを崩してほしい。そして、リザーブには吉村が入ったが、対抗戦、そして今季初の試合となる。早慶戦でどのようなプレーを見せてくれるのか、どのタイミングでどういう意図で出場するのか、青貫監督の手腕にも注目だ。
慶早戦のスタメン
早大は帝京大戦で初黒星を喫し、4勝1敗。昨年度大学選手権決勝で敗れた帝京大相手に、それまで3戦とは布陣を大きく変えて臨んだ。特にBK陣に大幅なポジションチェンジがあり、SOに久富連太郎が入り、矢崎由高が左WTB(ウィング)、野中健吾が左CTB(センター)、岡崎颯馬が右CTB、そして攻撃の核である伊藤大祐がFB(フルバック)で出場した。
SO久富、CTB野中、FB伊藤の3人はSOができるので、SH(スクラムハーフ)の供給先が多くなっており、1人のSOが倒れていようと速攻することに成功している。実際にFB伊藤がSOの位置に入り、バックドアへのパスを使い前進を図ることも多く、エッジのWTBの位置には、LO(ロック)やFL(フランカー)がいるということもあった。
FB伊藤が最後尾からゲームメイクをし、キックでエリア取りを図ったり、自らランで仕掛けるシーンも目立った。スコアでは21-36で、早大が攻める時間も長かった。しかし、特に前半はスクラムやラインアウトなど、セットプレーでのミスが終始多く、攻撃に転ぜられず流れに乗れなかった印象だ。
ラインアウトではHO(フッカー)佐藤健次のスローが真っ直ぐ入らなかったり、ボールがこぼれて相手に渡る痛い場面があった。スクラムでは相手の圧力に押され続け、組めばペナルティを取られる場面があった。
慶大が特に注意したい選手はLO(ロック)栗田文介、FBの伊藤だろう。栗田は終盤から出場したが、走り込んでくる角度が上手く、タックルを跳ね返すなど大きく前進する場面が2つあった。ケガ明けで今季初出場だったこともあり、早大の中で一番乗りに乗っている選手であろう。そんな栗田が今回は先発出場。栗田のキャリーを防げるが、慶大は1つのポイントだ。
FBの伊藤は経験も豊富だが、伊藤に自由な動きをさせると慶大としては守りにくくなる。中心位置でボールを受けてからステップで間を置き、様々な場所にパスを繰り出してくることにも警戒だ。
さらにポイントを上げるとすれば、ここまでの対抗戦5試合で早大の開始10分の得点は「0」。早大は過去の早慶戦でも、試合開始序盤の動きはあまり良くない試合が多い。その開始10分でPG(ペナルティゴール)などで先制し、流れを掴みたい。
岡組の挑戦は、この「早慶戦勝利」のためにある。この1年間、培ってきたもの、積み上げてきたものを「魂」に込め、赤黒撃破のために尽くしてほしい。勝利の女神は微笑むのは、果たしてどちらのチームか。100回目のホイッスルが鳴った瞬間から、目が離せない。
文/写真:野上 賢太郎(慶應スポーツ新聞会)
慶應スポーツ新聞会
慶應義塾大学文化団体連盟所属の公認サークル。通称ケイスポ。全40ある体育会の取材から記事の執筆、年7回の新聞製作まで全て学生の手で行う塾内唯一のスポーツ新聞サークル。部員数約50名、35年の歴史を持つ。»慶應スポーツWebサイト
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