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男女ともパリ五輪を決める
11月18日(土)19日(日)、大阪『ヨドコウ桜スタジアム』で、来年のパリオリンピック出場権を賭けた「男女7人制ラグビーアジア予選」が開催された。
男女とも初日に予選プール戦、2日目にプレーオフトーナメントが行われ、日本代表は男女でアベック優勝し、アジア代表として男女とも3大会連続となる「第39回夏季オリンピック競技大会パリ2024」の7人制ラグビー競技への出場権を獲得した。なお、男子は2位のホンコン・チャイナ、3位の中国、女子は2位の中国、3位のホンコン・チャイナが世界最終予選の出場権を得た。
大会1日目、「サクラセブンズ」こと、女子日本代表は、初戦はカザフスタン代表に43-0で大勝し、2戦目もタイ代表に19-0で勝利。首位で準決勝に進出した。
男子日本代表はインド代表に50-0、韓国代表に34-0と快勝。3戦目は中国代表に14-21で負けて、中国代表、韓国代表と2勝1敗(勝ち点7)で並んだが、得失点差で首位に立って準決勝に進出した。
【女子大会1日目 プールD】
○日本代表 43-0 カザフスタン代表
○日本代表 19-0 タイ代表
【男子大会1日目結果 プールA】
○日本代表 50- 0 インド代表
○日本代表 34- 0 韓国代表
●日本代表 14-21 中国代表
【プール戦順位】 ◆男子:プールA ・1位 日 本:勝ち点7(2勝1敗/得失点差+77) ・2位 中 国:7(2勝1敗/+31) ・3位 韓 国:7(2勝1敗/+19) ・4位 インド:3(0勝3敗) ◆男子:プールB ・1位 香 港:勝ち点9(3勝0敗) ・2位 UAE:7(2勝1敗) ・3位 タ イ:5(1勝2敗) ・4位 シンガポール:3(0勝3敗) ◆女子:プールC ・1位 日 本:勝ち点6(2勝0敗) ・2位 タ イ:4(1勝1敗) ・3位 カザフ:2(0勝2敗) ◆女子:プールD ・1位 中 国:勝ち点9(3勝0敗) ・2位 香 港:7(2勝1敗) ・3位 インド:5(1勝2敗) ・4位 グアム:3(0勝3敗)
男女7人制ラグビー アジア予選 プレーオフ
【女子ハイライト】決勝 日本 vs. 中国|中国の反撃をしのぎパリ五輪出場!
3大会連続で五輪出場の女子代表
◆女子はアジア大会のリベンジで五輪出場権を獲得
大会2日目、サクラセブンズは準決勝でホンコン・チャイナと対戦した。大谷芽生のトライで先制して主導権を握ると、さらに2トライを重ねて19-0で前半を折り返した。後半も3トライを加え、33-5で快勝。決勝に進出した。
女子は決勝戦でアジア大会の決勝で敗れている中国代表と対戦した。前半1分、タックルミスから相手に先制トライを許したが、前半4分、自陣から大谷がラインブレイクし、80mを走りトライ。さらに大谷は6分にも50mを1人で走りきってトライを挙げ、12-7とリードして前半を折り返した。
後半3分、スクラムを起点にキャプテンの平野優芽が相手のギャップを突いてトライを挙げ、須田倫代がゴールを決めて、21-7とリードした。相手にトライを許したものの、前に出るディフェンスを見せて、それ以上相手に得点を許さず、そのまま21-14でノーサイド。
パリ五輪決定の瞬間
サクラセブンズは昨季のワールドシリーズ5位の貫禄を見せて、4連勝でアジアの頂点に立ち、3大会連続のオリンピック切符を得た。
準決勝、決勝で2トライずつ挙げて優勝に貢献した大谷
準決勝に続いて決勝も2トライを挙げた大谷は「練習でやってきたことが出せた。ディフェンスだったら、ファイヤーで上がって前に出てプレッシャーかけたり、アタックでは個人の強い仕掛けで裏に出ることを出せて良かった」と笑顔を見せた。
サクラセブンズを率いる鈴木貴士HC(ヘッドコーチ)は「サクラセブンズは世界と比べると、身体もスピードも劣っている選手が多く、世界で勝つためには7人がしっかりと『立って、動いて、戦う』という3つの言葉を大事にしてきた。3つの言葉を選手がこだわり、しっかり出た」と振り返った。
トライを挙げる平野主将
平野主将は「日本のみなさんの前でオリンピック出場を決めることができて、ホッとしている。やっと、ここからパリ五輪に向けてスタートできる。(決勝の)後半、きつくなったところで、自分たちの方が動き続ける自信があったので、それを試合の中でも体現できた。きつい状況でも選手同士がしゃべり続けて、コネクトし続けて、プレーできたのが結果につながった」と話した。
男女7人制ラグビー アジア予選 プレーオフ
【男子ハイライト】日本 vs. ホンコン・チャイナ|ロスタイムの劇的トライでパリ五輪出場権
パリ五輪の切符を掴んだ男子代表
◆男子は終了間際の決勝トライでパリへの切符を掴む
一方、男子日本代表は準決勝でUAE(プールB2位)と対戦した。前半は7-5とリードして折り返し、後半は石田大河、吉澤太一がトライを挙げて、21-5で決勝に進出した。
決勝はここ最近、2勝2敗と五分の戦いをしているホンコン・チャイナと対戦した。前半1分に相手にトライを許したが、3分、石田大河がサイド際で力強いランからトライを挙げて、7-7と追い上げる。しかし前半終了間際、裏へのキックから相手にトライを許して、7-14で前半を折り返した。
後半、拮抗した中の残り1分、日本代表はボールをキープし、石田吉平のオフロードパスを受けた谷中樹平が中央にトライを挙げて14-14と同点に追いつく。残り時間がなくなった中で、丸尾崇真がジャッカルを決めて相手の反則を誘った。
ロスタイムの劇的勝利
そして攻撃を継続し、最後は谷中からパスを受けた丸尾が身体を回転しながら腕を伸ばしてトライ。日本代表が21-14で逆転勝利を収めて、3大会連続となるオリンピック出場を決めた。
後半、2トライに絡んだ石田吉平
唯一の東京五輪経験者で、最後の2トライに絡んだ石田吉平は「そんなに焦っていなくて落ち着いてプレーでき、まわりが見えていた。セブンズでは1つミスすると響くので、ミスなく続ければトライが取れるという練習をしてきた。あの場面で取れたのは自分たちがやってきた成果」と胸を張った。
男子日本代表を率いるサイモン・エーモーHCは「本当に素晴らしい、選手の努力が見られた大会だった。初めてのホームでの大会で、家族、友人の前でプレーし、彼らのサポートも素晴らしく、最後のプレーにつながった」と選手たちだけでなく、関係者も称えた。
男子も3大会連続出場
また、林大成主将は「この2日間の自分たちの頑張りだけでなく、良い準備がここまでできた。アジアシリーズで何回か負けることもあったが、経験を積めてパリの切符を得ることができた。ホームでの応援はプレッシャーではなく、力になった。これからはパリ五輪に向けてやっていきたい」と前を向いた。
『サクラスタジアム』で、男女ともにサクラを咲かせたセブンズ日本代表。パリ五輪に向けて男女ともにさらなる強化を続けてメダル獲得にチャレンジする。
◆パリ五輪出場国 ・男子:フランス、ニュージーランド、アルゼンチン、フィジー、オーストラリア、ウルグアイ、アイルランド、アメリカ、ケニア、サモア、日本 ・女子:フランス、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、アイルランド、ブラジル、イギリス、カナダ、南アフリカ、フィジー、日本
◆世界最終予選(2024年6月開催予定) 今大会で決まったアジアの2チームを加えた12チームが出場権の1枠を争う。 ・男子:チリ、ブラジル、イギリス、スペイン、カナダ、メキシコ、南アフリカ、ウガンダ、パプアニューギニア、トンガ、ホンコン・チャイナ、中国 ・女子:アルゼンチン、パラグアイ、ポーランド、チェコ、メキシコ、ジャマイカ、ケニア、ウガンダ、パプアニューギニア、サモア、中国、ホンコン・チャイナ
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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