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ラグビー コラム 2023年11月13日

【ハイライト動画あり】「激戦区大阪」の代表3校が決定!大阪第1、第2、第3地区決勝レビュー。第103回全国高校ラグビー大会予選

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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第103回全国高校ラグビー大会(花園)の大阪府予選決勝3試合が、11月12日(日)、東大阪市花園ラグビー場で行われ、第1、第2、第3地区の代表が決まった。

第1地区決勝「関大北陽×大産大附」

共に初出場を狙う両雄は、立ち上がりはキック合戦。ここから大産大附はCTB中西明輝が好タックル。出足の鋭いディフェンスで圧力をかける。

関大北陽も負けじとCTB福永航世の好タックルから攻守交代。堅守からショートサイドを速攻するパターンで敵陣へ入る。

しかし大産大附はFL西山陽太郎が渾身のジャッカル成功。お互いに堅守を披露しあう好勝負が展開される。

ただ次第にフィジカリティの優位を発揮したのは関大北陽。NO8永井玲雅主将、CTB白石空らが迫力あるキャリーでゲインを獲る。

相手を後手に回らせ反則を誘発すると、前半11分に敵陣ラインアウトモールからLO安田快史がキャリーに切り替え、右隅に先制トライ。5-0とした。

関大北陽は狭いサイド(ショートサイド)へのスピーディな仕掛けが光った。

前半18分に先制トライのLO安田の好キャリーを足場として、ショートサイドを速攻。カットパスを受けたFL平野聖明が左隅を走りきり、2トライ目。ゴールは連続失敗で10-0となった。

大産大附の逆襲は前半20分だ。

自陣左ラインアウトの2次攻撃からCTB中西がロングゲイン。フォローしていたSH小谷剛輝がチーム初トライ。ゴール成功で一挙3点差(7-10)に強め寄った。

後半最初のトライは関大北陽。

ターンオーバーが2連続した混戦状態から、SO羽根田陸が間隙を見つけてラインブレイク。後半1分に独走トライを決めて10点リード(17-7)。

得点後、SO羽根田はキックゲームで相手FBが深いとみるやハイパントに切り替え、狙い通りのターンオーバーを誘発。関大北陽ペースを引き寄せる。

関大北陽はクレバーなプレーも光った。

相手の鋭い守備を逆手にとり、圧力をいなすショートパスを多用。後半4分にFW間のパスを受けたHO小田準平がチーム3トライ目。会心の試合運びで、24-7とリードを拡大する。

第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会 大阪府予選 決勝

【ハイライト動画】関西大学北陽 vs. 大阪産業大附属

大産大附も連続攻撃で突破を図るが、関大北陽の武器である守備は厚かった。

関大北陽は敵陣スクラムからFL川部颯人が一次攻撃で突進。後押しを受けてそのままトライするビッグプレーで5本目。さらに後半27分にもう1トライを追加。

後半32分にはNO8永井主将のジャッカル成功。ショット成功で41-7として、優勢のままノーサイド。悲願の花園初出場を手にした。

関大北陽の指揮官、梶村真也監督は「次があるのでここで終わりではないのですが、今まで成し遂げることができなかった先輩達の想い、いろんな人の想いを達成してくれた。一緒になって喜びたい」と感無量の様子だった。

花園へ向けては「大阪は強豪校が多く、同じ高校さんが出場していたが、そこを変えられて嬉しく思います。大阪の代表としてしっかりとプレーしたい」と抱負を語った。

第2地区決勝「大阪桐蔭×大阪朝高」

前半は3大会ぶり12回目の花園出場を狙う大阪朝高が存在感。伝統の守備が光り、3-0で折り返した。

まず魅せたのは背番号7のFL柳哲純。

相手キャリアーにトップスピードで刺さり、直後にはキックチャージ。敵陣で自軍投入スクラムを呼び込む活躍で、チームを勢いづけた。

スクラムはFW平均体重が大阪桐蔭100キロ超え(100.5kg)。大阪朝高が93.9kg。しかしコラプシングの反則を得て、ショット成功。大阪朝高が3点を先制した。

大阪朝高は守備で粘った。

前半13分、ラインアウトモールを止めると、大阪桐蔭が狙ったショートサイドの速攻も防いだ。

攻める大阪桐蔭。守る大阪朝高。さらに2度目のモールも防ぐと、キャリアーに対してPR李星河、NO8鄭善佑がダブルタックル。ターンオーバーを起こし、エリア隅で雄叫びを上げた。

前半20分、大阪桐蔭にラインアウトモールを押し込まれたが、今回はパイルアップで大阪朝高ボール。

我慢を続けていた大阪朝高は前半23分、SH金東暉がスクラムからチャンスメイク。

ビッグゲインを生むと、右奥へのキックから相手キャリーバックを引き出す。残り5分で敵陣ゴール前スクラム。しかし今度は大阪桐蔭がブレイクダウンで圧力。大阪朝高のペナルティを誘い、失点を防いだ。

後半は、大阪桐蔭が大型FWのフィジカリティで流れを引き寄せた。

「ハーフタイムで『自分たちの形を出そう』と指示をしました。自分たちの形で取れたので勢いに乗れたと思っています」(大阪桐蔭・綾部正史監督)

大阪桐蔭は後半2分、FL原旺次郎が敵陣22m内でジャッカル。

と、ここで意表を突くクイックタップ。オフロードパスを受けたNO8上野凌大が、そのまま相手を引きずりながらゴール下にグラウンディング。強みである重量FWの縦突進から、開始32分でようやく初得点(トライ&ゴール)を奪った。

4点リード(7-3)を得た大阪桐蔭。

さらにハイパントからのカウンターラック。混戦状態でボールを保持すると、ふたたびNO8上野が走り込んで2連続トライ。14-3とリードを広げた。

大阪朝高は後半21分にカウンターラックから敵陣攻撃。HO高晃崇主将らが激しいキャリーを重ねて、ペナルティから敵陣右でラインアウトの得点機。

ここでラインアウトのキャッチに失敗。チャンスは失われ、逆に敵陣に入った大阪桐蔭は後半27分にPGを加え、17-3とリードを広げた。

最後はFWのラックサイド勝負でNO8上野が押し込み、大一番でハットトリックを達成。

大阪朝高も終盤、FB金侑雅がワイド攻撃から突破。SH金東暉が好判断で左隅を突破するが、そのまま守り切った大阪桐蔭が24-3で勝ち切った。

第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会 大阪府予選 決勝

【ハイライト動画】大阪桐蔭 vs. 大阪朝鮮高級学校

大阪桐蔭・綾部監督は熱闘を振り返り「前半は相手の圧力に負けていた部分がありましたが、後半は総合力でしっかりしたトライが取れました」

「大阪の代表として、一戦一戦、どこまでいけるか分かりませんが、テッペンを目指して頑張りたいと思います」と、3大会連続17回目の花園を見据えた。

第3地区決勝「東海大仰星×常翔学園」

5大会連続23度目の花園を狙う東海大仰星と、9大会連続42度目の全国舞台をめざす常翔学園が激突。

地区予選決勝とは思えぬカードは、序盤に東海大大阪仰星がハイテンポに攻め、常翔学園が守り切る立ち上がり。

ファーストスクラムでは先発FW平均体重が100kgを超える常翔学園がペナルティ奪取。さらに前半5分、自陣からのワイド展開でFL岩本有伸主将が突破。

前半7分に敵陣でペナルティを奪うが、ショットは失敗。雨の影響かノックオンもあり、前半10分までノースコアの展開となった。

東海大仰星はフィールドのキックが光った。

前半10分にはSO阪井優晃が特大キックで失地挽回。FB上島晃成がキック「50:22」で敵陣へ。

ここでトライは取り切れなかったが、13分に守備で自陣展開の常翔学園のパスが乱れると、拾ったCTB金子健伸がそのまま右隅へ。独走トライで、5点を先取した。

一方の常翔学園は、重量級フォワードによるモールが効果てきめん。

前半15分には敵陣ゴール前ラインアウトで大きく前進。FL岩本主将がフィニッシュしてチーム初得点。キックはポールに弾かれたが同点(5-5)とした。

一方の東海大仰星はボールの滑りやすいコンディションながら、果敢にスピーディーな展開攻撃。前半19分、最後はFL駒井良が後押しを受けて左中間にグラウンディング。コンバージョン成功で12-5と勝ち越した。

次にスコアが動いたのは後半1分だった。

自陣から展開する東海大仰星だが、常翔学園のFL岩本主将がジャッカル成功。

敵陣ラインアウトからモールを組み上げ、最後尾からキャリーに切り替えたLO河野成輝がトライ。前半にも手応えを掴んだモールで、後半は幸先良く2トライ目を奪った(ゴール失敗で10-12)。

が、細かいスキルが光る東海大仰星が、守備から追加点を挙げる。

常翔学園、自陣展開でのパスが乱れたところへ、東海大仰星WTB吉田琉生がリップしてボール奪取。素早く反応したCTB金子健伸がボールを受けて右隅へ。ゴール成功で19-10とリードを広げる。

FW戦に持ち込みたい相手に対し、東海大仰星はさらに展開攻撃から追加点。後半10分にPR黒塚晃希が右隅でグラバーキックの再獲得からトライ。これで24-10とした。

第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会 大阪府予選 決勝

【ハイライト動画】東海大学付属大阪仰星 vs. 常翔学園

常翔学園も同20分にラインアウトモールを押し込んで3トライ目を挙げ、レフティーSO神田丈英が右隅からのコンバージョンを成功。7点差(17-24)に迫るが――、直後の失点が痛かった。

追いつきたい場面で、自陣スクラムからの一次攻撃で相手がジャッカル。

東海大仰星SO阪井優晃のタックルから、SH新光空がジャッカル成功。ハーフ団が攻守交代を起こす守備力、スキルを見せつけ、ここでのショット成功から3点追加。

そして10点リード(27-17)を守り切り、5大会連続23回目の全国大会出場を決めた。

東海大仰星の湯浅大智監督は「ひたむきにやれたことを誇りに思います」と激戦を振り返った。

「ハンドリングエラーが起こるかもしれない状況で大きくチャレンジしてくれました。キックも上手く使いながら展開をして、ゲームコントロールできたと思います」と選手の試合運びを讃えた。

これで激戦区・大阪の代表3校は関大北陽(初出場)、大阪桐蔭(3大会連続17回目)、東海大仰星(5大会連続23回目)に決定。3校が出場する全国高校ラグビー大会「花園」は、12月27日、東大阪市花園ラグビー場で開幕する。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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