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ラグビー コラム 2023年11月13日

【ハイライト動画あり】第1地区は早実が成城の挑戦退ける。第2地区は目黒が渾身のディフェンスで久我山に勝利。高校ラグビー花園予選、東京決勝レポート

ラグビーレポート by 直江 光信
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聖地花園行きの切符をかけた集大成の決戦。独特のプレッシャーが漂う大舞台だからこそ、いつも通りに力を発揮できない難しさがあれば、いつも以上の力が引き出されるおもしろさもある。11月12日の秩父宮ラグビー場、全国高校大会の東京第1、第2地区予選の決勝も、やはりそんなゲームとなった。

11時30分キックオフの第1試合は、都春季大会優勝の早稲田実業が強みを生かしたゲームメイクで成城学園の持ち味を封じ、序盤から主導権を握った。開始直後は硬さも見られた早稲田実業だったが、7分過ぎに敵陣30メートル付近のラインアウトを起点にFWの鋭い縦突進でゴールラインに迫り、テンポよくボールを動かしてNO8福島颯太がポスト脇にトライ。これで本来の動きを取り戻すと、21分には9フェーズにわたる連続攻撃を仕留め切り、CTB山口滉太郎が左コーナーに飛び込む。

大きかったのは前半終了間際の場面だ。成城学園の勢いに乗った猛攻を出足鋭いタックルでしのいだ早稲田実業は、相手の反則に乗じて敵陣22メートル線内でマイボールラインアウトを獲得。きっちり確保すると、固い結束のモールを20メートル近くドライブし、HO小笠原正義が左中間に押さえる。SO田中大斗のコンバージョンも決まり、19-0とリードを広げて前半を折り返した。

どちらが先に得点を挙げるかで試合展開が決まる後半。勝負どころの立ち上がりの時間帯で、またも早稲田実業が集中力を発揮する。

中盤の蹴り合いでSH宮下羚が見事に50:22キックを決めると、安定したマイボールキプからふたたびラインアウトモールを20メートル以上押し切ってHO小笠原がグラウンディング。26-0までスコアを拡大し、大きく優位に立った。

しかし成城学園もここで気持ちを切らさず、思い切りのいい展開攻撃で果敢に挑み続け、ジワジワと流れを引き寄せる。そして11分、相手陣30メートル付近のラインアウトからPR染谷昌宏、SO村井健人、FL秋山雄雅と突破力あるランナーでたたみかけてモメンタムを生み出し、相手陣の深い位置でペナルティを奪取。クイックタップから速攻を仕掛け、FL棚瀬燦太が待望のトライをマークする。

第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会 東京都予選 決勝

【ハイライト動画】早稲田実業 vs. 成城学園

これで波に乗った成城学園はなおも意欲的にボールを動かし続け、相手の不用意なペナルティから19分過ぎにゴール前まで攻め込む。しかしマイボールラインアウトからモールを組みにいったところでボールに絡まれ、痛恨のターンオーバー。続く23分のチャンスもエラーで逃すと、流れはふたたび早稲田実業のほうへ傾いていく。

そして迎えた後半ロスタイム。久しぶりに相手レッドゾーンでマイボールラインアウトを得た早稲田実業は、またしてもFWが堅固なモールで前進。最後はFL櫻田凱がチーム5本目のトライを挙げ、33-7として試合を締めくくった。

ひたむきに体を張るFW陣とHB団の安定したコントロール力を生かし、3年ぶりの花園出場を決めた早稲田実業。ゲームの要所をしっかりと押さえ、強みを生かしてスコアするスマートな試合運びは、確かな地力を感じさせた。26-0としたところで反則やエラーが重なり、突き放せなかった反省から、試合後の大谷寛監督のコメントは厳しかったが、これまでとは違う相手が挑んでくる状況で堂々と勝ち切ったことは、チームが一段上のステージに進んだ証といえるだろう。目標に掲げる「正月越え」に向け、今後のひと月半でどのように仕上げていくかが楽しみだ。

続いて行われた第2地区決勝、國學院久我山と目黒学院のライバル対決は、予想通りの白熱した好ゲームとなった。

接点に強いこだわりを持つ両校らしく、開始直後からスクラムやコンタクト局面で激しい攻防が繰り広げられる中、先に得点を刻んだのは目黒学院だ。前半7分過ぎ、中盤中央のスクラムから左サイドを攻めてCTBカヴェインガフォラウ・ラトゥが大きくゲインすると、NO8ブルースネオル・ロケティ、LO中村つぐ希と強いランナーが縦につないでゴール前へ。最後は右PRの山本真也が相手タックルを振りほどくように突破して、左中間になだれ込む。

しかし國學院久我山もすかさず反撃。岡田太志、長谷川裕太のCTB陣を軸にリズムよくボールを動かして勢いを生み出すと、18分にゴール前ラインアウトからFWで真っ向勝負を挑み、PR道浦康介が防御の壁を突き抜ける。5-5のイーブンに戻した。

これでペースをつかんだ國學院久我山は、21分にもCTB岡田とFL内藤公耀の強烈なダブルタックルでペナルティをもぎ取り、タッチキックでゴール前へ。ラインアウトモールをパワフルに押し込み、PR笠井大志が右中間になだれ込む。CTB長谷川のコンバージョンも決まり、12-5と逆転した。

目黒学院とすれば嫌な流れになりかけた場面だったが、直後に空気を一変させるビッグプレーが飛び出す。中盤で國學院久我山がBKに展開したところを粘り強いタックルで食らいつき、LO中村がボールをもぎ取ってターンオーバー。入れ替わるようにパスを受けたNO8ロケティが豪快なランで50メートルを爆走し、左中間に飛び込む。12-10と2点差に追い上げて、ハーフタイムを迎えた。

後半もプライドがぶつかり合うような激しい攻防が連続する中、目黒学院は5分過ぎにSO中村福己の防御裏へのキックからプレッシャーをかけ、ゴール前ラインアウトのチャンスをつかむ。前方でキャッチしてモールを組むと、相手タックラーの待ち構える左ショートサイドをNO8ロケティがパワーでねじ込んでトライ。15-12とふたたび目黒学院が一歩前に出る。

これで勢いづいた目黒学院は、攻守とも迷いなく前に出てヒットし、ゲインラインバトルで優位に立つ。國學院久我山もひるまず体を当てて対抗するが、球際での相手のプレッシャーに細かいエラーが重なり、なかなか陣地を進められない。焦れるようなタイトな展開が続き、ゲームは3点差のまま最終盤に突入する。

第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会 東京都予選 決勝

【ハイライト動画】目黒学院 vs. 國學院久我山

迎えたロスタイム。國學院久我山はようやく中盤まで陣地を戻し、懸命にパスをつないで突破を図るが、目黒学院も渾身のディフェンスで前進を阻む。そして時計が34分を回ったところでSO中村がタッチへと蹴り出し、死闘に終止符を打った。

「相手のディフェンスのプレッシャーにエラーが多くなり、やろうとしたことができなかった」と土屋謙太郎監督が振り返ったように、國學院久我山は思うようにプレーを継続できず、終始相手の土俵で戦ったことが敗因となった。一方、「ディフェンスの時間を楽しみ続けられた60分でした」と語ったのは目黒学院共同キャプテンのLO中村。狙い通りの展開での快勝に、充実の表情を浮かべた。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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