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春の都大会を制した早稲田実業に、準決勝で劇的ドローの成城学園が挑む。久我山×目黒の名門対決も激戦必至。高校ラグビー花園予選、東京第1、第2地区決勝展望
ラグビーレポート by 直江 光信
12月27日に東花園市花園ラグビー場で開幕する第103回全国高校ラグビーフットボール大会に向けた地区予選が、秋の深まりとともに佳境に入ってきた。各地で続々と代表校が決まる中、11月12日には秩父宮ラグビー場で東京第1、第2地区の決勝が行われる。
まず11時30分キックオフの第1地区決勝で対戦するのは、早稲田実業と成城学園だ。第1シードの早稲田実業は今季、4~5月に開催された都春季大会で國學院久我山(25-22/準決勝)、目黒学院(24-17/決勝)を連破し優勝。6月の関東大会はAブロックに出場し、春の全国選抜大会を快勝した桐蔭学園(神奈川)に14-43、流経大柏(千葉)に0-10と敗れるも、トップクラスの強豪に果敢なチャレンジを見せて確かな実力を証明した。今回の花園予選も初戦(3回戦)で明大中野八王子を42-0、10月29日の準決勝では本郷を55-7と圧倒しており、順調な仕上がりをうかがわせる。
一方の成城学園は新チーム発足当初からケガ人が多かったこともあり、新人大会(12-34明大中野)、春季大会(12-43目黒学院)といずれも準々決勝で敗退。もっとも春季大会は敗者戦で明大中野に40-7と雪辱を果たし、本郷を54-5で倒して5位で関東大会の出場権をつかんだ。その関東大会はFブロックで日大明誠(山梨)に50-14、深谷(埼玉)に19-12で勝利し優勝。故障者が続々と復帰した秋以降はさらに力を伸ばし、ベストの布陣が整った東京との花園予選準決勝では、後半ロスタイムのトライ&ゴールで29-29の同点に追いついた末に抽選で次戦への出場権を獲得、2年連続の決勝進出を果たした。
戦力面を見ると、早稲田実業はSH宮下羚、SO田中大斗の3年生HB団が安定しており、プランに沿ってしっかりとゲームを組み立てられることが大きな強みになっている。FWにはキャプテンのFL多田陽道、LO遠藤直輝をはじめ経験豊富なハードワーカーが並び、セットプレーを計算できる点も心強い。効率よく陣地を取っていいエリアでゲームを進め、2年生主体の勢いあるBKを伸び伸びと走らせる流れに持ち込めば、狙い通りにスコアを重ねられるだろう。
昨年度の予選決勝での敗戦(5-29國學院久我山)の反省から例年以上にフィジカル強化に注力してきた成城学園とすれば、NO8秋山雄雅、PR染谷昌宏らサイズのある選手を軸に、攻守ともFW戦で互角に対抗することが勝利への条件となる。BKにはSO村井健人主将を筆頭に、昨季1年生ながら強い印象を残したCTB井手晴太、FB仲西祐太ら走力ある選手を擁するだけに、崩れた状況でそうしたランナーにボールが渡る展開になればおもしろい。この決勝に向け準備してきたスペシャルプレーにも注目だ。
続く13時20分キックオフの第2地区決勝は、目黒学院と國學院久我山の激突となった。それぞれ過去5回の全国優勝を誇り、花園決勝でも3度(1975年度、’79年度、’82年度)戦っている長年のライバルで、高校ラグビーを牽引する存在として重厚な歴史を紡いできた間柄。今シーズンも都新人大会決勝で28-17(國學院久我山が勝利)と熱戦を繰り広げており、激しいゲームになることが予想される。
今年度の歩みを振り返ると、國學院久我山は3月の全国選抜大会で関大北陽(大阪)に8-7、中部大春日丘(愛知)に10-7と実力校を倒し、準々決勝でも東福岡(福岡)と13-24の好勝負を演じるなど、全国レベルで実績を残してきた。都春季大会は準決勝で早稲田実業に22-25と痛恨の敗戦を喫し3位に終わったが、関東大会はDブロックを危なげなく制し、夏合宿の練習試合でも好成績を残している。10月29日の花園予選準決勝では東京朝鮮中高級を57-5で退けており、順調に決勝へコマを進めてきた印象だ。
対する目黒学院は新人大会、春季大会といずれも決勝で惜敗し優勝を逃したが、6月の関東大会はCブロックで埼玉2位の昌平に40-0と快勝(決勝は東海大相模に0-23で敗戦)。シーズンを通して多くのポジションでコンバートを敢行し、例年にも増してさまざまな試行錯誤を経ながら、チームづくりを進めてきた。花園予選は初戦(3回戦)で大東大一に62-7と完勝し、明大中野との準決勝は先発に1年生が4人名を連ねるフレッシュなメンバーで31-12と勝利。この決勝も、どのような布陣を組んでくるかがひとつの見どころとなる。
ともにコンタクト局面、特にFWのフィジカル勝負にこだわりを持つチームだけに、ゲインラインのバトルでどちらが優位に立つかが、試合展開を左右するポイントになるだろう。花園に出場した昨季のレギュラーで残ったのは、それぞれ5人。下級生時から公式戦を経験し、高校日本代表候補にも名を連ねるNO8 山崎周平(國學院久我山)、LO中村つぐ希キャプテン(目黒学院)が、突破口を開くキーマンだ。
BKに目を移せば、2週前の準決勝では7人中5人が3年生の國學院久我山に対し、目黒学院は1、2年生が4人という若い構成だった。久我山のラインの中心となるのは、さまざまなスキルをあわせ持つキャプテンのCTB長谷川裕太と、昨季1年生ながら予選決勝で10番を背負った度胸満点のSO齋藤航。目黒学院では、こちらも昨冬の花園を経験しているSO中村福己(3年)とCTB石掛諒眞(2年)が攻守の要となる。さまざまなシーンで見応えあるマッチアップが繰り広げられるだろう。
独特の緊張感の中、互いにすべてをかけて挑む予選決勝は、花園での本大会とはまたひと味違った魅力と醍醐味がある。晩秋のクライマックス。各校のこの一年の集大成となる戦いに、ぜひ注目してほしい。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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