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ラグビー コラム 2023年11月3日

ラグビー関東大学対抗戦Aの全勝対決王者・帝京大に早稲田大が挑む

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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関東大学対抗戦Aは、昨季の上位対下位の戦いが終わり、いよいよ上位陣対決が始まる。現在のところ、帝京大、明大、早大が4連勝。昨季4位の慶大は5位の筑波大に敗れて3勝1敗。1勝3敗の筑波大が5位で追っている。順位は勝ち点制で決められている。勝ち:4、引き分け:2、負け:0、ボーナス点:1(7点差以内の負け、3トライ最上の勝ち)。帝京大と明大は満点の勝ち点20を獲得しているが、得失点差で帝京大は1位、明大が2位。早大は筑波大戦が接戦になったため、4点にとどまり、勝ち点19で3位になっている。

11月5日(日)、秩父宮ラグビー場(東京都港区)では帝京大と早大が対戦する。対抗戦、大学選手権の3連覇を狙う帝京大は、9月9日の開幕戦で成蹊大を117-5で破ると、青学大、立教大、筑波大をいずれも無失点で大勝し、無敵の快進撃を続けている。HO江良颯キャプテン(4年)、LO本橋拓馬(3年)、FL青木恵斗(3年)、奥井章仁(4年)ら大学レベルでは屈指のフィジカルの強さを持つ選手たちを軸に、スクラムを押し、ブレイクダウンで優位に立ち、ゲームを支配。スキルフルなBKがテンポよくボールをつないでトライを量産している。

 

1年生からレギュラーのSH李錦寿(3年)、WTB高本とむ(4年)、小村真也(3年)ら経験ある選手に加えて、1年生WTB青柳(木に夘)潤之介が非凡なスピードとバランスの良い走りでがっちりレギュラーの座をつかんでいる。そして、昨季までの絶対的なゲームリーダーだった高本幹也が抜けたSOには、京都工学院出身の井上陽公(4年)が入り、高本に負けず劣らずのパスワークとスペース感覚でチームを操っている。10月15日、筑波大を73-0と下した試合では、FB山口泰輝(4年)の防御背後へのキックを追った青柳(木に夘)が先制トライし、3トライの小村真也とのWTBコンビが大活躍した。スクラムも圧倒しており、早大に対しても強力な圧力をかけるだろう。

 

対する早大も9月10日の開幕戦で立教大を64-7と下して以降、4連勝だが、9月24日の筑波大戦は38-35と苦しめられた。今季は昨季までSOでプレーすることが多かった伊藤大祐キャプテン(4年)を13番のCTBでプレーさせ、CTBだった野中健吾(2年)をSOに入れてゲームを組み立ててきた。新戦力のNO8松沼寛治(1年)の突進力、WTB/FB矢崎由高(1年)のラニングスキルの高さも際立っている。

11月3日午後、両チームの登録メンバーが発表された。早大は10月14日の青学戦からFWで1人、BKで1人の変更と、ポジションを大幅に変えてきた。HOは佐藤健次が先発復帰。青学大戦ではFLでプレーした村田陣悟をLOに上げ、FLにはHOだった安恒直人が入る。WTBで矢崎が福島秀法(2年)に代わって先発復帰。FBだった久富連太郎をSOに上げ、野中がCTB、伊藤キャプテンはFBに下がるという今季初の布陣だ。

一方、帝京大は筑波大戦(10月15日)からFW第一列の両PRを変えてきた。平井半次郎(3年)、上杉太郎(4年)が先発。BKでは、WTBだった小村がFBに下がって、WTBは高本、青柳(木に夘)。U20日本代表のキャプテンも務めた大町佳生(2年)が12番で先発する。大学世代屈指の才能が並んだ。

試合の焦点の一つはスクラムだ。ここで帝京大が有利に立てば点差が開く可能性もあり、早大にとっては生命線になる。ボールが動き始めてからの帝京大の展開はシンプルだが、無駄がない。パワフルな選手がディフェンスラインを集め、ディフェンダーの少ない方向にボールを動かし、ディフェンスラインの裏にスペースがあればキックを使い、スピードある選手を走らせる。早大としては、帝京大のボールキャリアーに常にプレッシャーをかけ、判断を狂わせることができるかどうか。攻撃面ではディフェンスとの間合いをうまくコントロールできる野中がCTBに下がったことでBKがどのように機能するか。互いの駆け引きも楽しみだ。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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