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谷山隼大(筑波大学)
11月は大学ラグビーの各リーグが佳境を迎える月だ。週が進み残り試合が少なくなるごとに、優勝および大学選手権出場枠、そして入替戦を巡る争いは熱を帯びていく。11月5日に熊谷ラグビー場で行われる関東大学対抗戦の成蹊大と筑波大の激突も、そんな一戦となった(11時30分キックオフ)。
昨季大学選手権ベスト4の筑波大は、現在1勝3敗の勝ち点5で5位という状況だが、その1勝は9月9日の開幕戦で慶應義塾大から挙げたもの(21-18)。すでに前年度の上位4チームとの対戦を終えており、残る3戦は昨季6位の立教大、同7位の青山学院大、今季昇格の成蹊大が相手となるため、ここから順位を上げる可能性は十分ある。5位以内に与えられる大学選手権の出場権を確保する上でも、この成蹊大戦は絶対に落とせないゲームといえる。
一方の成蹊大は同じく昨季の上位4強と対戦して4戦全敗、1試合平均で81.5失点、失トライも12.8本と、ここまで厳しい戦いが続いている。ただ直近の慶應義塾大戦(10月22日)は後半25分まで11-27と食い下がり(最終スコアは16-46)、タフな連戦を通して着実にたくましさを増しつつあることをうかがわせた。入替戦を回避できる6位以内へ浮上するために、こちらも何としても勝利がほしいところだ。
このひと月で今季リーグ戦の成否とその先の進む道が決まる重要なシーズン終盤戦に挑む両校。共通するのは、前年度からFW陣の顔ぶれが大きく変わった点だ。レギュラー8人のうち筑波大は5人、成蹊大は6人が卒業し、いずれも3年生以下が半数以上を占める若いパックになった。ボール争奪局面の優位性は勝敗に直結する大事な要素だけに、セットプレーとブレイクダウンの攻防でFWがどこまで踏ん張れるかが、勝負の鍵となる。
秋以降の流れを振り返ると、筑波大は慶應義塾大に勝利し、2戦目でも早稲田大を35-38と追い詰めるなどいい滑り出しを見せたが、明治大との第3戦は後半10分以降に4連続トライを許して21-40で敗戦。その後、要となるポジションにケガが相次いだこともあり、10月15日の帝京大戦は0-73と思わぬ大敗を喫した。そのショックからいかに立ち直り、チームとしてコンディションを高めていけるかが、今後のポイントだろう。
対する成蹊大はキャプテンのCTB高島大聖と副キャプテンのFL井上雄太が3戦目の早稲田大戦から先発に復帰し、戦力が整うにつれてゲームでのパフォーマンスも向上してきた印象だ。Bグループからの昇格初年度とあって帝京大との初戦(5-117)、明治大との第2戦(12-93)は接点で圧倒されたが、いずれも得点ゼロで終わらなかったところは、どんな状況でも力を尽くし戦い続ける姿勢の証といえる。創部100年の節目のシーズン、4年ぶりに復帰した対抗戦Aの舞台で戦う試合は、今節含めあと3つ。中2週の準備期間で入念に研ぎ澄ませたプランを携え、果敢に挑んでくるはずだ。
ともにスタイルとしては組織力と運動量、ディフェンスを身上とするチームで、戦術遂行の生命線であるゲインラインのバトルがこの試合の見どころとなる。筑波大としては学生屈指の局面打開力を誇るキャプテンの谷山隼大を軸に、テンポよく前に出て勢いを生み出したい。ハードワーカーがそろうFWバックファイブが接点を制圧できれば、ルーキーながら主軸級の活躍を続けるWTB飯岡建人、FB増山将ら決定力あるアウトサイドのランナーをいい形で走らせられるだろう。
成蹊大はサイズとパワーの劣勢をカバーすべく、鋭い出足で攻守ともゲインラインより前でヒットすることが勝利の条件となる。リアクションとポジショニングのスピードで上回り、接点を押し上げて相手にプレッシャーをかけ続けたい。少ないチャンスをスコアに結びつけるために、どんなスペシャルプレーを用意してくるかという点も注目される。
なお11月5日は熊谷の第2試合で慶應義塾大対明治大(14時キックオフ)、また秩父宮で立教大対青山学院大(11時30分キックオフ)、早稲田大対帝京大(14時キックオフ)も行われる。いずれも結果が重要な意味を持つ大一番であり、見応えある好ゲームが期待される。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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