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ラグビー コラム 2023年10月14日

開催国の「レ・ブルー」か、連覇を狙う「スプリングボクス」か。ラグビーワールドカップ準々決勝

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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準々決勝 フランスvs.南アフリカ

フランスで行われているラグビーワールドカップ2023もベスト8が出揃い、10月14日(土)15日(日)に準々決勝の4試合が行われる。

15日(日)、パリ近郊サン=ドニの「スタッド・ドゥ・フランス」ではプールA首位通過の開催国フランス世界ランキング3位)と、プールB2位の前回大会王者・南アフリカ世界ランキング2位)が激突する。

開幕戦で「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表を破り、4連勝で決勝トーナメントに進出したフランス代表。3週間前、ナミビア代表戦で頬骨をケガしたキャプテンのSH(スクラムハーフ)アントワーヌ・デュポンが復帰した。

ファビアン・ガルティエHC(ヘッドコーチ)は、60-7で勝利したプール最終戦のイタリア代表戦から、先発変更はSHをマクシム・リュキュから、そのデュポンに変更したのみにとどめた。

フランス代表メンバー

FW(フォワード)に変更はなく、PR(プロップ)シリル・バイユ、ウィニ・アトニオ、HO(フッカー)ペアト・モヴァカでフロントローを構成。LO(ロック)がキャメロン・ウォキとチボー・フラマン、バックローはFL(フランカー)アントニー・ジェロン、シャルル・オリヴォン、イタリア代表戦のプレイヤー・オブ・ザ・マッチのNO8(ナンバーエイト)グレゴリー・アードリッドの3人が務める。

BK(バックス)はSHデュポンとSO(スタンドオフ)マチュー・ジャリベールのハーフ団、CTB(センター)はジョナサン・ダンティとベテランのガエル・フィクーの2人、バックスリーは20歳のWTB(ウイング)ルイ・ビエル=ビアレと、現在6トライでトライランク首位に立つダミアン・プノが両翼を担い、FB(フルバック)には61点で得点ランキングトップのトマ・ラモスが引き続き入った。

リザーブには、FWを6人入れ、HOピエール・ブリガリット、PRレダ・ワーディ、ドリアン・アルデゲリ、LOロマン・タオフィフェヌア、FLフランソワ・クロス、WTBでもプレー可能なFLセク・マカルー、SHリュク、ユーティリティBKのヨラム・モエファナが控える。

ガルティエHCは「こういう試合の前はいつも緊張する。緊張を感じないと言ったら嘘になる。それこそが、この瞬間を特別なものにしている。私たちはこの瞬間を最大限に生かし、ともに楽しみ、喜び、幸せ、そして決意を持って前に進もうとする」。

「南アフリカが、世界チャンピオンである理由は非常に洗練され、よく考えられた戦術的アプローチを持っているからだ。彼らは常に戦略を考え、対戦相手との関係で非常によく練られたプランを立てる。南アフリカは私たちのことをよくわかっている」。

「数人の選手を入れ替え、5-3のフォーメーションを選択した彼らの決断は、戦術的、戦略的、そしてよく考えられたものだ。チェスの試合だ。このような試合の準備は、極限まで高められた戦略のレベルだ。完璧だ」と意気込んだ。

ベンチをFW6人、BK2人とした理由を「戦術的には、多くを語るつもりはない。セクーに関しては、私たちがさまざまな手段を引き出せるようにするためだ。パワー、スピード、インパクト、そして空中戦での存在感を維持する必要がある。我々には、組織を根本的に変えることなく、さまざまなオプションをカバーできるファーストチョイスの選手が何人もいる」と答えた。

復帰となるキャプテンのSHデュポンは「ケガをした当時は、どれほど深刻なものかわからなかった。大会は終わったと思っていた。だが、回復は順調だった。今日、僕は完全な状態にある。最も重要だったのは、自分のことよりもチームのことを考えることだった」。

「もし、僕がプレーできなかったら、マッシム(リュキュ)か、バティスト(・クイユー)が最高の形で務めていただろう。彼らはチームのことをよく理解しているし、そういう瞬間を迎えるためにみんな努力している。その点では特にプレッシャーは感じなかった。国際試合は常にタフだ。自分たちが望むことを達成するためには、苦しむ覚悟が必要だ」と語気を強めた。

フランス代表としては、ホームの大声援を背に、相手の大きなFWを背走させつつ、相手陣で戦う時間を増やし、得点を重ねてプレッシャーをかけていきたい。

一方、南アフリカ代表は、アイルランド代表に8-13と接戦で敗れたものの、他の3試合は危なげなく勝利し、準々決勝に駒を進めた。ジャック・ニーナバーHCは、プール最終戦のトンガ代表戦から11人の先発を入れ替え、アイルランド代表戦とほとんど同じ先発メンバーで構成した。

南アフリカ代表メンバー

PRスティーヴン・キッツォフ、フランス・マルハーバ、HOボンギ・ンボナンビの3人が第1列を担う。LOは3戦連続の先発となるエベン・エツベスと、三重ホンダヒートでプレーするフランコ・モスタートの2人。FLはキャプテンのシヤ・コリシピーター ステフ・デュトイ(トヨタヴェルブリッツ)、NO8はトンガ戦ではFLでプレーしたドウェイン・フェルミューレンが務める。

BKを見ると、ハーフ団はSHコーバス・ライナーとSOマリー・リボックのコンビ。CTBはダミアン・デアレンテ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と、ジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス)と日本でプレーする2人が入った。WTBは大会後に東京サントリーサンゴリアスに加入するチェスリン・コルビとカート リー・アレンゼ、FBはダミアン・ウィレムセが入った。

ベンチにはFW5人、BK3人の構成となった。HOは38歳のデオン・フォーリー、PRオックス・ンチェとヴィンセント・コッホ。LOはRG・スナイマン、FLクワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)。BKはSHファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)、SOハンドレ・ポラード、FBウィリー・ルルー(元ヴェルブリッツ)が控える。

ニーナバーHCは「最も勝利のチャンスがあると思われるメンバーを選んだ。フランスに弱点はあまりない。少し違うのはキックゲームだ。彼らはボールを持ってプレーすることを好まない。彼らはプレッシャーをかけ、私たちにミスをさせようとする。だから、それを回避する戦略を見つけなければならない」。

「セットプレーを見れば、彼らはボールを奪い、Xファクターを持っている。80分間あきらめずにプレーしてくるチームだ。この特別な試合では、ドウェイン(・フェルミューレン)が必要だと感じているし、日曜日に勝利を得るために何が必要かを考えている」と話した。

また、注目された10番の起用に関しては「(SOの)ポラードは徐々に出場時間を増やす必要があるし、リボックは今、我々の10番で彼が先発して、チームは結果を残している」と説明した。

キャプテンのFLコリシは、「(ホスト国と戦うのは)もちろん、ビッグゲームであることは誰もが知っている。日本でも経験したことがあるし、難しいことだ。でも、私たちはお互いに強さを見出しているし、故郷では6500万人が私たちを応援してくれていることを知っている」。

「コーチングスタッフは様々なシナリオを想定してプランを立ててくれたが、選手としてはあまり変わらない。プール戦と同じだ。トンガに勝たなければ、今日ここにいない。チームの90%は前回のワールドカップでプレーしている。言い訳はできない」と言葉に力を込めた。

南アフリカ代表としては武器であるセットプレー、接点で優位に立ちつつ、相手のキッキングゲームにも対応していきたいところ。ベンチメンバーにも経験ある選手が揃っているのも強みとなろう。

両チームは1913年に初めて対戦して以来、45戦を行い、フランスの12勝27敗6分だ。2018年までは南アフリカが7連勝中だったが、直近3試合は接戦が多く、昨年11月に行われたテストマッチではフランスが、マルセイユで30-26と勝利している。なお、ワールドカップでの対戦は、スプリングボクスが、19-15で勝利した1995年の南アフリカ大会の準決勝以来2試合目となる。

悲願の初優勝を伺う開催国のフランス代表か、連覇を狙うフィジカルチームの南アフリカ代表か。どちらかがトーナメントから去ることになる激戦必至の注目カードは、10月15日(日)午後9:00(日本時間16日午前4:00)にキックオフされる。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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