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【ハイライト動画あり】日本代表、アルゼンチンに敗れプール戦敗退。ジェイミージャパンは7年半の旅を終える。ラグビーワールドカップ プールD
ラグビーレポート by 斉藤 健仁日本代表、2大会連続ベスト8はならず
決勝トーナメント進出がかかる大一番だった。ラグビーワールドカップ2023はプール終盤を迎え、10月8日(日)プールDの日本代表(世界ランキング12位)は、ナントでアルゼンチン代表(世界ランキング9位)とベスト8進出をかけて激突した。
ワールドカップでの対戦は1999年以来、過去の対戦成績は日本代表の1勝5敗。両チームともに2勝1敗、勝ち点9で並んでおり、日本代表はどんな形であれ勝利するか、引き分けても日本代表だけ、4トライ以上のボーナスポイントを挙げれば決勝トーナメントに進出が決まるという決戦だった。
得失点差で2位につけるアルゼンチン代表のマイケル・チェイカHC(ヘッドコーチ)は先週、チリを59-5で破ったメンバーから11人変更。
HO(フッカー)はキャプテンのフリアン・モントージャ、FL(フランカー)パブロ・マテーラ(三重ホンダヒート)、SO(スタンドオフ)サンティアゴ・カレーラス、CTB(センター)はサンティアゴ・チョコバレス、WTB(ウイング)マテオ・カレーラスと、長身のエミリアーノ・ボフェリらが先発、ベテランも控えに置き、ベストの布陣で臨んだ。
日本代表vs.アルゼンチン代表スタメン
一方、日本代表のジェイミー・ジョセフHCはサモア戦からの変更は、WTBの1名のみにとどめた。突破力に長けたWTBシオサイア・フィフィタが初先発となった。
FW(フォワード)は過去2戦と変わらず、第1列はPR稲垣啓太と具智元、HO堀江翔太の3人。LOはアマト・ファカタヴァとジャック・コーネルセンの2人。FLはリーチ マイケルとラピース・ラブスカフニ、NO8はキャプテンの姫野和樹が務めた。
FBレメキ ロマノ ラヴァ
BK(バックス)はフィフィタ以外、SH齋藤直人と、キックが好調のSO松田力也がハーフ団。CTBは中村亮土とディラン・ライリー。WTB松島幸太朗、FBレメキ ロマノ ラヴァが先発した
天候は快晴、3万3000人を越えるファンが見つめる中、午後1:00にキックオフされたが、試合はいきなり動く。アルゼンチン代表はラインアウトからモールを形成後、外に展開し、CTBチョコバレスが力強い突破でゲインし、そのまま中央にトライ、ゴールも決まって7点を先制する。
ラグビーワールドカップ2023 フランス大会
【ハイライト動画】プールD 日本vs.アルゼンチン|日本、力尽きる。アルゼンチンに敗れプール敗退
後手に回ってしまった日本代表だが、その後は得点を許さず、焦点の1つだったスクラムも安定。16分に相手キックのカウンターから外に展開し、FLリーチ、LOファカタヴァとつなぐ。ファカタヴァは裏にキックし、バウンドしたボールを自らキャッチし、中央左にトライ、SO松田のゴールも決まり7-7の同点に追いつく。
LOアマト・ファカタヴァのトライ
しかし、日本代表は23分、FLラブスカフニが危険なタックルでシンビン(10分間の一時的退場)となり、数的不利な状況となる。28分、松田のDG(ドロップゴール)がチャージされた後、WTB松島がハイパントを蹴ったが、相手にキャッチされてゲインを許し、そのままつながれてWTBマテオ・カレーラスがトライ。35分にもWTBボフェリにPG(ペナルティゴール)を決められて7-15とリードを許す。
WTBフィフィタをフォローしたSH齋藤のトライ
だが、日本代表は集中力を切らさず38分、ハーフウェイラインからのスクラムを起点に左に展開し、CTBライリーのオフロードパスを受けたWTBフィフィタが大きくゲイン。最後はフォローしたSH齋藤がトライ。14-15と1点差に追い上げてハーフタイムを迎えた。
後半、先に点を取って主導権を握りたい日本代表だったが、6分、アルゼンチン代表はボールを継続し、スピードのあるWTBカレーラスがトライを挙げて14-22とされた。だが、、日本代表は12分にSO松田がPG決め、さらに16分にはFBレメキが中央からのDGを沈めて、20-22と2点差に迫った。
しかし、直後のキックオフでノックオンをしてしまい、アルゼンチン代表にスクラムのチャンスを与えてしまう。そして右に展開し、WTBボフェリがトライ。自身でゴールも決めて29-20とした。
日本代表も諦めず、果敢にアタックを続ける。25分、相手ゴール前でクイックタップから右に展開し、途中出場のWTBナイカブラが右隅にトライ。難しい角度のゴールをSO松田が決め、27-29と再び、PGで逆転できる2点差とした。
それでも、アルゼンチン代表のアタックを止めることができなかった。28分にWTBカレーラスにハットトリックとなる3本目のトライを許し、さらに35分にはPGを決められて万事休す。結局、27-39のスコアで敗戦。地力に勝るアルゼンチン代表は、2大会ぶり5度目の決勝トーナメント進出を決め、日本代表はプール3位となり、次回2027年大会の出場権を得た。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはアルゼンチン代表のWTBカレーラスが選出された。「決勝トーナメントに進むためにハードワークしてきたので、それが達成できてうれしい。これからも試合を通して学んだことを活かしてエンジョイしたい」。
ジェイミー・ジョセフHC(左)と姫野和樹キャプテン
善戦したものの、終盤で突き放されて2大会連続のベスト8進出できなかった日本代表のジョセフHCは、「全員がフィットしており、精神的にも肉体的にもプレーする準備ができていた。選手たちはとてもいいプレーをしていたと思う。おそらく過去4年間で最高のプレーをした」。
「非常にフィジカルで経験豊富なアルゼンチンに対し、我々の姿勢、意図、そして自分たちのラグビーをしようという意志という点で、私はチームをとても誇りに思う」と選手たちを称えた。
NO8姫野キャプテンは「ここまで来るのにたくさんの犠牲を払って、100%みんな努力した。そのことを誇りに思う。日本のファンに結果で恩返しすることはできなかった」。
「だが、僕たちの歩んできた道のりは無駄ではなかったし、夢や文化、レガシーは受け継がれていくと思うし、日本ラグビーはまだまだ強くなれると信じている。今回エベレストの頂上に桜を咲かすことはできなかったが、最高のチームだった」と目を赤くしながら話した。
チェイカHC(左)とモントージャ キャプテン
アルゼンチン代表のチェイカHCは、「日本に得点を与えてしまったのは残念だったが、それをポジティブに捉えれば、来週に向けて修正していけば、勝ち続けるチャンスはあるかもしれない。前に進むにつれて向上していかなければならない。(準々決勝の相手)ウェールズは4勝し、優勝候補であることは承知している。相手もゲームプランも違うので、今日と同じ試合は繰り返さない」と先を見据えた。
キャプテンのHOモントージャは「ノックアウトマッチであり、細部で決まるとわかっていた。私たちはすべてをかけて戦い、戦うチームでありたかった。日本にはレベルの高い選手がいて、我々のミスをことごとく突いてきた。しかし、厳しい状況から立ち直るこのチームの回復力が、今日の違いを生んだ。私たちは勝つための戦い方を誇りに思っている」と胸を張った。
日本代表のフランスでの戦いは2勝2敗で幕を閉じ、ジェイミージャパンの7年半の旅路は終わった。大会はこれから決勝トーナメントが行われるが、日本代表は帰国し、再び、2027年、オーストラリア大会の道のりが始まる。次大会こそ、世界の強豪を破り、ベスト8に入るブレイブブロッサムズが見られることに期待したい。
文:斉藤健仁/Photo by S.IDA
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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