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ジェイミー・ジョセフHC(左)と姫野和樹キャプテン
10月8日(日)、ラグビーワールドカップ2023のプールD最終戦。日本代表はナントで、アルゼンチン代表とベスト8進出をかけて激突。試合は27-39で敗戦。日本代表はプール3位となり、準決勝進出はならなかった。
◆ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)
「今日はビッグゲームをプレーする準備ができていると感じた。全員がフィットしており、精神的にも肉体的にもプレーする準備ができていた。選手たちはとてもいいプレーをしていたと思う。恐らく過去4年間で最高のプレーをした。
質の高いアルゼンチンのチームと対戦した。どのくらいの時間までかは覚えていないが、タイトな試合だった。ただ、ソフトなドライブ、ソフトな場面があった。ソフトな場面でミスを犯したが、またそれを取り戻した。
非常にフィジカルで経験豊富なアルゼンチンに対し、我々の姿勢、意図、そして自分たちのラグビーをしようという意志という点で、私はチームをとても誇りに思う。
私の仕事は代表チームの監督を務めることだけでなく、日本のラグビーを発展させることだと理解することが重要だと思う。この7シーズン半、日本のラグビーはしっかりとしたグループになった。最初の4年間は、自国開催のワールドカップで活躍して、ラグビーを広めること、それはまあ、うまくいったと思う。
ジェイミー・ジョセフHC
そして、先ほども言ったが、その後の4年はかなり難しい時間だったが、本当にチームを誇りに思う。私はこんなに素晴らしいコーチングスタッフと、リーダー陣に恵まれて、本当に幸運。これはどの代表コーチにも言える事。ヘッドコーチの仕事は素晴らしいし、その役割を担ってきたが、全員のサポート、能力、そしてハードワークに支えられた。
今日、実際にプレーしたのは22人。ワールドカップで、テストマッチで出場していない選手もたくさんいる。彼らの気持ちは想像に難くない。それでも彼らは、日本のためにずっと献身的に仕事をしてくれた。それこそが日本のチームとしての強みであり、私はその1人1人を本当に誇りに思う」
ラグビーワールドカップ2023 フランス大会
【ハイライト動画】プールD 日本vs.アルゼンチン|日本、力尽きる。アルゼンチンに敗れプール敗退
姫野和樹キャプテン
◆NO8(ナンバーエイト)姫野和樹キャプテン
「ここまで来るのにたくさんの犠牲を払って、100%努力してきて、みんな努力した。そのことに誇りに思う。
日本のファンに、結果で恩返しすることができなかった。ただ、僕たちの歩んできた道のりは無駄ではないし、夢や文化、レガシーは受け継がれていくと思う。日本ラグビーはまだまだ強くなれると信じている。
(最後の円陣で)僕は胸を張ってほしい、誇りに思ってほしい、最高のチームだとみんなに伝えた。今回、エベレストの頂上に桜を咲かすことはできなかったが、最高のチームだったと言える。
(キャプテンの重圧は)次に向かっていくしかない。この負けを、しっかりと敗因を次の糧にしないといけないと思うし、日本ラグビーの旅路は、まだまだこれから続く。日本ラグビーに期待してほしいし、今後も変わらぬ声援をお願いしたい」
PR稲垣啓太
◆PR(プロップ)稲垣啓太
「負けてしまったというのが全て。自分たちが足りなかったとは思っていないが、届かなかったのが素直な印象。ただ、自分達がやってきたことは間違ってないと、今でも思っているので、次に託したいと思う。
相手にどうやってプレッシャーをかけるかが、この試合のテーマだった。相手にプレッシャーをかけられた部分もあったが、相手に一歩、上回られてしまった印象が強い。キックボールをキャッチされてから、反則を重ねてスコアを許してしまったことが敗因だと思う。
4年間はあっという間だった。厳しい年もあった。今年を振り返れば国内で結果が出せず、ワールドカップに乗り込んできた。自分たちのやっていることは、間違ってないとチームで信じていたが、最後の最後で一歩及ばなかった。アルゼンチンには次の決勝ラウンドで、がんばってほしい。
日本代表にすごくプライドを持っているし、皆の憧れの存在でありたいと思っていた。今大会では結果を残すことは出来なかったが、僕らの姿を見て何かを感じてもらえたら選手としてはすごくうれしい」
FLリーチ マイケル
◆FL(フランカー)リーチ マイケル
「世界の壁は大きいと思う。十分戦えたが、自分たちの方が弱かった。(試合後、姫野主将と)ここで終わりじゃないと話をした。
今回の大会で、強豪相手に負けてしまったが、たくさんの選手が世界の壁とぶつかって、ここからどうつなげるか。前回大会は日本でよくて、今回、応援の差もあって、日本のファンには感謝しかない。
アルゼンチン代表はFWが強く、ラインアウトモールもあって、速くハイボールに強いBKもいて、その繰り返し。80分競ったが、コインの感じで、どっちいくかわからない状況だった。
ここまでの準備もよかったが、今日は相手の方が強かった、それがラグビー。大きな壁をまだまだ乗り越えないといけないと感じた。ただ、間違いなく、このチームは成長を続けると思う。
この4年間、最高の準備ができた。ここまでの道のりはコロナもあって、手術もあって上がったり、下がったり、自分の調子も上がったり、下がったり。ここでプレーできたのは、いろんな人に感謝している。コロナもあったが、これが準備した結果。
今回、いい結果を出せなかったが、プライドを持って戦った。日本ラグビーはここで終わりじゃない。この先も成長していきたいので、引き続き日本ラグビーを応援してください」
SH齋藤直人
◆SH(スクラムハーフ)齋藤直人
「次に進めないということで、このチームでもうラグビーが出来ないと思うと残念な気持ちでいっぱい。流大さんのケガで、こういった形で9番をつけることになったが、チームを勝たせるのが9番の役割だと思う。
そういった意味で、まだまだ力不足だった。(流選手からは)『思いっきりやって来い、勝たせて来い』と言われました。ワールドカップは最高の時間だったし、4年後、必ず戻ってきたい」
◆SO(スタンドオフ)松田力也
「勝てるところまで来たと思うし、勝てなくて悔しさしかない。プライドを持ってやってきて、ここまでいい準備をしていたが、最後勝てるところまできて、勝てなくて本当に悔しい。
2019年のベスト8以上に行くのを目標に掲げて、4年間やってきたが、まだまだいけると思うし、次の4年後へ向け、しっかり準備して、この壁を超えるためにやり続けたい」
FBレメキ ロマノ ラヴァ
◆FB(フルバック)レメキ ロマノ ラヴァ
「すごく悲しい。このチームが大好きで、負けてしまいとても悔しい。チャンスがたくさんあったけど、最後に取りきれなかった。相手は一発で、チャンスだった時は全部トライに繋げた。
相手のコンタクトは強かったが、自分たちのラグビーをやれば勝てたと思った。自身のパフォーマンスは、2019年より良かったと思う。ここに立てたのは、僕だけの力ではなく、家族や仲間が手伝ってくれたから。その人たちに感謝したい。
日本は普通にティア1の国だと思う。どんな国でも日本と戦うときは、ベストで来ると思うし、今日の結果で将来の日本代表はもっと強くなる」
FB山中亮平
◆FB(フルバック)山中亮平
「勝つために1週間準備してきて、途中まではいい戦いができた思うし、どっちに転ぶか分からない状況だったが、最後、相手に流れがいってしまった。
チームメイトが疲れている中、フレッシュな僕が入ることによって、勢いをつけてチームを引っ張っていきたかったが、あまり勢いづけることもできなかった。
アルゼンチンはディフェンスがすごくいいチームというのは分かっていたし、後半に入ってからも、いいプレッシャーがきていたのは感じていた。ただ、日本もいいアタックがいっぱいあったし、準備していたことが試合に出ていたので、いいラグビーをしたと思う。
1回メンバーから外れて、2か月間色々な経験ができた。今回戻ってくることができて、メンバーにも選ばれて、10分プレーできた。すごく濃い2か月だった。まだまだ、日本のラグビーは強くなると思うので、自分もそこでチャレンジしたいと改めて感じた」
◆WTB(ウィング)松島幸太朗
「『終わっちゃったな』という感情。タフな試合だったし、隙を与えたら、すごい勢いで出てくる。イージーなトライをさせてしまったところが響いた。
僕たちのすべてを見せられていないと思うが、このレガシーを次の人たちが上手くつないでくれれば日本代表がもっと強くなると思う。
予想ではもっと長く蹴ってくると思っていたが、後半はコンテストキックを蹴ってきた。そんな悪い対処ではなかったと思う。
コロナもあったが、フランスでの経験は僕の中で大きかったし、その経験を活かせるところはもっとあったと思うが、活かしきれなかった悔いは少しある。
選手みんながハードワークして、このチーム以上ハードワークしているチームなかったと思う。試合ができなくても、練習量でカバーしていた。試合出られなかった、選ばれなかった選手もみんな頑張ってきた。その思いをつないでワールドカップでパフォーマンスを出せた。その部分では悔いはない」
LOアマト・ファカタヴァ
◆LO(ロック)アマト・ファカタヴァ
「本当に結果が残念で、言葉が出ない。フィールド上で勝てる感触はある中、タフですごくフィジカルがあって、それを前面に出してきて、勝ち切れなかった。
(トライは)フィールド上で、自分のプレーでチームをあと押しできた。みんながすべてを出し切ってくれた。ここまで来るのにタフな道のりで、戻ってこられて良かった。来年以降も代表でプレーしていきたい」
◆HO(フッカー)堀江翔太
「ほんま、やり切った感がある。取り合いになったところは、うまいところがあった。悲観することはない。僕たちは、僕たちのラグビーをして負けたので、そんなに悔いはない。
何回もベスト8に行けるわけではない。レベルが高いところにある。次のワールドカップに向けて、個人が成長できるかをやっていくしかない。2011年ワールドカップから同じで、どれだけ個人が成長できるか。どれだけこの経験を自分に還元できるか。
ラインアウトは相手が分析して、プレッシャーをかけられるところたくさんあったが、スクラムは胸を張れる部分がいっぱいあった。次の大会はやれていたら、選ばれたら出たい。今38歳で41、42歳なので現実的にどうか、と思うが、僕自身も次どうするか考えていない」
アルゼンチンのマイケル・チェイカHC
◆マイケル・チェイカHC(アルゼンチン代表)
「コーチングボックスでは、いつも緊張する瞬間がある。今大会は非常に拮抗していて、少しリードしていると感じても、みんな命をかけてプレーしている。
日本に得点を与えてしまったのは残念だったが、それをポジティブに捉えれば、来週に向けて修正していけば、勝ち続けるチャンスはあるかもしれない。
(準々決勝のウェールズ戦に向けて)前に進むにつれて向上していかなければならない。今日できたことの1つは、トライをいくつか取れたこと。ディフェンスは以前ほど良くなかったので、取れた分のトライと相殺になってしまった。
今、変わるべきなのは、メンタリティーだ。今日、ここに集まった観衆を見れば、多くのアルゼンチン人が貯金をはたいて今週と来週のために来ている。
パブロ・マテーラはハムストリングを痛めている。今のところ分かっていることと、ピッチを降りた様子から見通しは良くない。数日後に様子を見ることになる。
ウェールズのウォーレン・ガトランド監督は、チームを自分のスタイルにうまく合わせている。戦術的、体力的に6日間で準備を整え、万全を期す。相手は4勝している。彼らが優勝候補であることは承知している。相手もゲームプランも違うので、今日と同じ試合は繰り返さない。
アルゼンチンのフリアン・モントージャ キャプテン
◆HOフリアン・モントージャ キャプテン(アルゼンチン代表)
スタジアムに来てくれたアルゼンチン国民全員に感謝したい。信じられないような応援で、まるで地元の人たちのように大きな声援を送ってくれた。また、国から応援してくれた人たちにも感謝したい。
ノックアウトマッチであり、細部で決まるとわかっていた。私たちはすべてをかけて戦うチームでありたかった。日本にはレベルの高い選手がいて、我々のミスをことごとく突いてきた。しかし、厳しい状況から立ち直るこのチームの回復力が、今日の違いを生んだ。私たちは、勝つための戦い方を誇りに思っている。
ある時間帯に点が取れなかったことで、自分たちにプレッシャーをかけてしまった。試合は完璧にいかないものだとわかっているし、難しい場面から抜け出すことができた。
この先、すべての試合に勝ちたい。ワールドカップでは、私たちが望んでいないようなプレーを始めてしまった。初戦のプレーには失望した。それからはノックアウトゲームばかりだった。
サモアに勝ち、チリに勝ち、そして今日も勝った。準々決勝が近づいてきて、短い1週間になる。その前にグループ、家族、そして国と一緒にこの勝利を楽しむつもりだ」
取材/文:斉藤健仁 Photo by S.IDA
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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