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イングランドvs.サモア
ラグビーワールドカップ2023も、今週末でプールステージ全ての試合が終わり、準々決勝へ駒を進める8チームが決定する。10月7日(土)はリールで、首位通過を決めているプールDのイングランド代表(世界ランキング6位)とサモア代表(世界ランク14位)の挑戦を受ける。
9月23日の第3戦でチリに70-0と大勝して、決勝トーナメント進出を決めたイングランドの代表。FL(フランカー)ジャック・ウィリスが負傷で大会を離脱したが、スティーブ・ボースウィックHC(ヘッドコーチ)は、キャプテンのCTB(センター)オーウェン・ファレル以外を全て変更し、そのファレルとWTB(ウイング)ジョニー・メイ以外の先発13人を初戦の対アルゼンチン代表と同じメンバーを起用した。
イングランド代表のスタメン
FW(フォワード)から見ると、第1列はPR(プロップ)に副将のエリス・ゲンジとベテランのダン・コール、HO(フッカー)ジェイミー・ジョージの3人。LO(ロック)はマロ・イトジェとオリー・チェサムのコンビ。バックローは、FL(フランカー)に副将のコートニー・ロウズと、アルゼンチン代表戦のレッドカードで出場停止となっていたトム・カリーが復帰、NO8(ナンバーエイト)はベン・アールが務める。
BK(バックス)はSH(スクラムハーフ)のアレックス・ミッチェルと、SO(スタンドオフ)ジョージ・フォードのハーフ団。主将ファレルは12番に入り、マヌ・トゥイランギが13番に入った。両翼はWTBメイとジョー・マーチャントが入り、FB(フルバック)には22歳のフレディー・スチュワードが務める。
リザーブにはHOセオ・ダン、PRジョー・マーラー、カイル・シンクラー、LOジョージ・マーティン、NO8ビリー・ヴニポラ、SHダニー・ケア、SO/FBマーカス・スミス、CTBオリー・ローレンスが控える。
ボースウィックHCは、「今週はビッグゲームだ。ジョージ・フォードとオーウェン・ファレルが10番と12番で一緒にプレーする、少し久しぶりの機会だ。このパートナーシップが成長するのを見るのが楽しみ」。
「チリ代表とのテストマッチの後半では、2人が一緒にプレーした時間もあったが、先発は少し久しぶりだ。(キックはどちらが蹴るのかの問いに)今週はオーウェンがやっていたけどね(笑)。ダン・コールはこの試合に先発するのに適した選手だと思うし、カイル(・シンクラー)は後半に出場してインパクトを残すのに適した選手だ」と話した。
名SOだったジョニー・ウィルキンソンが、22年間守り続けているイングランドの最多得点記録まであと2点に迫ったCTBファレルは、「(自分の記録は)考えていない。サモア代表との試合に集中している。ただ、ひとつだけ言えるのは、イングランド代表としてプレーする機会を得て、その記録に近づくことは名誉なことだということだ」。
フォードとのコンビについてスキッパーは「2人ともファーストレシーバーには慣れている。2人とも両方の仕事をこなせるし、その後のオーガナイズもできる。そういった例はどのチームにもたくさんある。サラセンズではアレックス・グードがそうだし、ニュージーランドではバレット(ジョーディとボーデン)、リッチー(モウンガ)がそうだ。いろいろな国で、いろいろな人が10番を背負っている」と話した。
イングランド代表としては武器であるセットプレーでプレッシャーをかけて主導権を握って、FW、BK一体となった攻撃で得点を重ねていきたいところ。
一方、1勝2敗で、現在プール4位ながら、日本代表とアルゼンチン代表がともにボーナスポイントをとらずに引き分け、この試合で4トライ以上のボーナスポイントを得て大勝したときのみ、わずかながらべスト8入りの可能性を残しているサモア代表。セイララ・マプスアHCは、22-28と敗戦した日本代表戦から9人の先発を入れ替えた。
サモア代表のスタメン
第1列は全て替え、PRジョーダン・レイと共同主将のマイケル・アラアラトア、HOサマ・マロロの3人が先発。LOはサム・スレイドとブライアン・アライヌウエセ。バックローは、FLはイングランドのサラセンズでプレーするセオ・マクファーランドと、先週ゲームキャプテンを務めたフリッツ・リー、NO8はブリストルでプレーする元ニュージーランド代表のスティーブン・ルアトゥアの3人が日本代表戦から引き続き先発する。
ハーフ団は、SHジョナサン・タウマテイネは引き続きスターターを務めるが、元オーストラリア代表のSOクリスチャン・リアリーファノはベンチに下がり、大会終了後、清水建設江東ブルーシャークスでプレーする元オールブラックスのリマ・ソポアンガとハーフ団を組む。
CTBはダニー・トアラと日本代表戦に引き続いて先発するトゥームア・マヌ、WTBネイア・フォマイと日本でもプレーしたナイジェル・アーウォン、FBダンカン・パイアアウアが入った。
ベンチにはHOセイララ・ラム、PRジェームズ・レイ、ポール・アロエミール、LOソータラ・ファアソオ、FLアラマンダ・モツガ、SHメラニ・マタヴァオ、SOリアリーファノ、WTBミラクル・ファイイランギが名を連ねた。
マプスアHCは「イングランド代表が質の高いチームであることはわかっているし、今は波に乗っている。だから先週からハードワークし、特にコンタクトエリア周辺では、自分たちのやりたいプレーができるようにしてきた」。
「私たちはほぼ100日間一緒にやってきたと思うが、選手の成長は、本当に喜ばしいことだ。ワールドカップで決勝トーナメントに行くチームと、敗退するチームを分けるのは、チャンスをものにできるかそうでないかだ。学ぶべき厳しいレッスンがあったのは確かだが、そのおかげで前進することができた」と意気込んだ。
PRアラアラトア主将は「(日本代表との)試合を振り返ってみると、ボールを持ったときにできることの一部は見せられたと思うが、もっと違う攻め方ができた部分もあった。それは恐らく、私たちが今週フォーカスして取り組んだ部分の1つだろう。80分間、自分たちのポテンシャルを発揮できれば、アルゼンチン代表や日本代表、そしてイングランド代表といったチームと戦えることは分かっている。大事なのはそれだけだ」と前を向いた。
サモア代表としては武器であるフィジカル、特にFWのコンタクトの部分で激しいファイトを見せてペースを握りたいところだ。なお、イングランド代表とサモア代表は、これまで3度のワールドカップを含め8度対戦し、いずれもイングランド代表が勝利している。サモア代表はイングランド代表から初勝利を伺う。
イングランド代表はきっちりと勝利して準々決勝に弾みをつけられるか。サモア代表は、現実的には勝利して予選プール3位以内に入り、次回大会の出場権を得たいところだろう。
日本代表と戦ったプールDの両者の最終戦は、10月7日(土)午後5:45(日本時間8日深夜0:46)にリールのスタッド・ピエール・モロワでキックオフされる。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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