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ラグビー コラム 2023年10月6日

“死の組”プールB突破をかけたライバル決戦。ラグビーワールドカップ2023、アイルランド×スコットランド展望

ラグビーレポート by 直江 光信
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9月8日の開幕から5週目に入ったラグビーワールドカップ2023フランス大会は、いよいよプールマッチの最終節を迎える。決勝トーナメント進出がかかる大一番も多く残っており、フランス全土が熱気と興奮に包まれる週末になるだろう。その中でもひと際注目されるのが、プールBのアイルランドスコットランドの激突だ(日本時間10月8日04時キックオフ@サンドニ)。

世界ランキング1位のアイルランドに、前回王者で同3位の南アフリカ、さらに同5位のスコットランドと強豪がそろったプールBは、今大会随一の“死の組”だ。現在のポイントテーブルではすでに4試合を終えている南アフリカが勝ち点15で首位に立っているが、その南アフリカに13-8で勝利したアイルランドは3戦全勝の勝ち点14で、この最終戦に勝てばプール1位通過が決まる。一方のスコットランドは南アフリカに3-18で敗れており、2勝1敗の勝ち点10で上位2国を追いかける状況。プレーオフに進出するためには、アイルランドに勝ち点4差以上をつけて勝つことが条件となる。

ここまでの戦いを振り返って際立つのは、アイルランドの充実ぶりだ。ルーマニアに82-8、トンガに59-16と大勝で着実に白星を重ね、第3戦では世界最高のフィジカル大国、南アフリカと圧巻の真っ向勝負を展開。序盤こそ相手の厳しいプレッシャーに押され気味だったものの、浮き足立つことなく自分たちのスタイルを貫いて徐々に流れを引き寄せ、後半に2本のPGで逆転して堂々と勝ち切った。プレーのスピードと強度、スキルいずれも最高峰の激戦を制し、あらためて頂点を視野に収めるチームであることを証明した。

対するスコットランドは9月10日の初戦で南アフリカに屈し黒星スタートとなったものの、トンガとの第2戦では見事にバウンスバックを遂げ、5人の元ニュージーランド代表を擁する難敵に45-17で快勝。続くルーマニア戦もそれまで出番のなかったメンバーを主体とする布陣ながら12トライを奪う猛攻で84-0と大勝し、トップクラスのチーム力を示した。対ルーマニア戦のスコアを比較すれば得点、得失点差ともアイルランドと南アフリカを上回っており、十分その2国に対抗しうる戦力を備えていると見ていいだろう。

 

発表された登録メンバーをチェックすると、アイルランドは2週前の南アフリカ戦からスターター2人を入れ替えた。新たに先発に名を連ねたのはHOダン・シーハンとLOイアン・ヘンダーソンで、前節先発のHOローナン・ケラハーとLOジェームズ・ライアンはリザーブに回る。ベンチメンバーまで含め盤石の布陣といっていい構成で、FLピーター・オマーニーの通算100キャップ目ということもあり、節目を勝利で祝うべく満点の気迫で臨んでくるはずだ。

 

対するスコットランドの前節ルーマニア戦からの先発変更は9人。トンガ戦でヘッドコンタクトを受け退いたキャプテンのFLジェイミー・リッチーが復帰したほか、SOフィン・ラッセルやWTBドゥハン・ファンデルメルヴァら主軸がずらりと並び、こちらもベストといえるラインアップになった。ちなみに15番を背負う万能BKのブレア・キングホーンにとっては、これが50キャップ目のゲームだ。

アイルランドが全員の献身的なハードワークをベースに常に複数の選択肢を作りながらゲインラインにたたみかける攻撃を得意とする一方、スコットランドは司令塔のラッセルのひらめきと多彩な仕掛けから決定力あるアウトサイドのランナーを自在に走らせるアタックが持ち味。それぞれの鍵を握るCTB陣、バンディー・アキギャリー・リングローズとシオネ・トゥイプロトゥ&ヒュー・ジョーンズのミッドフィールドのバトルは、この試合の大きな見どころのひとつだ。またともにセットプレー、特にラインアウト起点のアタックを得意とするチームだけに、その獲得率は勝敗を左右する要素になるだろう。

シックスネーションズでも長年しのぎを削ってきた両国の通算対戦成績は、アイルランド69勝、スコットランド67勝でドローが5つとほぼ互角。ただ直近ではアイルランドが8連勝と優勢を維持しており、ランキングの通りスコットランドが挑む構図といえるだろう。なおワールドカップでは過去に2度対戦しており、1991年のイングランド大会ではスコットランドが24-15と勝利したが、2019年日本大会ではアイルランドが27-3で快勝を収めている(いずれもプールマッチ)。

世界ランキング1位と5位が、生き残りをかけて激突する決戦。どう転んでもしびれる戦いになるのはまちがいない。必見だ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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