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円陣を組む同志社フィフティーン
時折日差しが照りつける中、花園ラグビー場に全8チームが集結し、『2023ムロオ関西大学ラグビーAリーグ』が開幕。関西2位だった春季トーナメント戦のさらに上を目指す同志社大学は、第2グラウンドで立命館大学と対戦した。しかし、7-35で昨秋に続き敗戦。春は2戦2勝した相手だったが、リベンジを許した。
今季のAリーグも勝ち点制が導入された。勝ちチームに4ポイントが追加され、7点差以内の負けと3トライ差以上の勝利には、1ポイントのボーナスポイントが付与。また、引き分けの場合は両校に2ポイントずつが加算される。
全チームが同日に第1節を終えて、王者・京都産業大学と立命大が5ポイントで並び、接戦をものにした天理大学と関西学院大学が4ポイントで追う。昨年の上位4校で唯一勝ち点を落とした同志社は、勝ち点0で残りの3チームと並んだ。
8年ぶりの王座奪還を狙う中で苦しい立ち上がりとなり、リーグ優勝のためにはもう1つも落とすことができない。順調に勝ち点を積み重ねている相手を追随し、最後に追い抜くためには勝利が絶対条件となる。
突破を試みるCTBファイアラガ義信ダビデ
次戦は相性の悪い近畿大学と対戦する。昨年は0-34で完封負け、一昨年は今回と同じ第2節で顔を合わせ10-24で敗戦した苦手意識が残る相手だ。ただしその分、選手たちには屈辱を晴らす思いが強いことも確か。近大も開幕戦を落とし「お互い強い気持ちがぶつかると思うので、そこに負けないように頑張りたい」(CTB/センター岡野喬吾・商4)と静かに闘志を燃やしている。
開幕節の命運を分けた部分でもあり、中1週間で改善が求められるのは、ラインアウトの攻防とハイボールキャッチだろう。いずれも立命大戦で苦戦を強いられ、主導権を奪えない原因となった。
前半全て成功していたマイボールのラインアウトは、巻き返しを図った後半にミスが多発。また、相手のラインアウトモールに対しても、「最初のインパクトのところが弱かった」(PRプロップ/山本敦輝主将・社4)と2トライを献上した。ラインアウトリーダーを務めるLO(ロック)寺北亘佑(スポ3)が途中交代し、難しい部分もあったが、修正は急務といえる。
何度もゲインラインを超えたWTB嶋友也
試合を通して多用されたコンテストキックに関しても、再獲得されトライに直結するシーンが2度も見られた。「やられてしまった場面の方が多かったので、継続して練習するしかない」(宮本啓希監督)。キャッチする選手だけの責任ではなく、その後のカバーやサポートに入る選手も含め、もう一度再構築しなければならない。
また「攻撃の継続」もキーワードの1つになる。「自分たちが得たボールを自ら手放してしまった」(宮本監督)。前節では、敵陣22mラインに入ってから試合を通して4度のハンドリングエラーを記録。ラックでボールに絡まれるシーンも頻発し、2人目の寄りが遅く球出しが遅れる悪循環に陥った。
結果的にゲインラインの突破が著しく減り、ミスで攻撃を終える場面が目立った。「何が何でも前に行ってやろうみたいなところが、1人目(のボールキャリアー)には絶対必要だと思う」(宮本監督)。
同時にチーム最多のボールキャリー数12を残し、常に前に出続けたCTB岡野喬吾を例に挙げ、「岡野みたいなアグレッシブさがない」と厳しく指摘した。次戦では1人1人がコンタクトの局面にこだわりを持ち、展開ラグビーに勢いを生み出すことが求められる。
近大対策で特に警戒すべきは、7人制日本代表にも選ばれたWTB(ウィング)植田和磨だ。一昨年は鮮烈デビューを飾り、Aリーグのトライ王に君臨すると、昨年の同志社戦でも3トライを挙げる活躍。リーグ屈指のトライゲッターとして名を馳せ、マークが厳しくなった今季も、開幕節でトライを奪っている。スピードと突破力を併せ持つ彼を自由にさせないことが防御のポイントになりそうだ。
同志社にとって「残り6試合のスタート」(NO8/ナンバーエイト林慶音・スポ2)の位置付けとなる対近大戦。長いシーズンを戦う上で、露呈した課題を1つ1つ修正していくことが成長への近道となる。
一方で、仮に敗れると大学選手権出場にも黄色信号が灯火する大一番。自分たちで目標への道を切り開いていくしかない。「(開幕戦の)反省を生かして、しっかりと準備したい」(FL/フランカー久保太陽・社3)。閉まりそうな扉をこじ開け、目指すべき場所へ一歩ずつ前進していく。
文:勝部健人/写真:番匠麻衣、浅川明日香(同志社スポーツアトム編集局)
同志社スポーツアトム編集局
同志社スポーツアトム編集局は1978年に創刊された同志社大学唯一の体育会機関紙です。年6回の本紙の発行を軸に、号外の発行やHPの管理などをすべて学生の手で行っています。
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