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南アフリカvs.アイルランド
前回王者vs.世界ランキング1位。大会を占う大一番だ。9月8日に開幕したラグビーワールドカップもすでに2週間が経ち、プール戦も折り返しを迎えている。9月23日(土)はプールBで、ディフェンディングチャンピオンの南アフリカ代表(世界ランキング2位)と、アイルランド代表(同1位)の優勝候補が激突する。
2019年王者の「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表は、初戦でスコットランド代表を18-3で下し、第2戦ではルーマニア代表を寄せ付けず、76-0で大勝。現在勝ち点9で2位につけている。
一方、現在世界ランキング1位のアイルランド代表は、初戦でルーマニア代表を82-8、続くトンガ代表戦で59-16と、順調に4トライ以上のボーナスポイントを獲得して連勝。2戦を終えて、勝ち点10でプール首位に立っている。
それでは両チームのメンバーを見ていこう。南アフリカ代表のジャック・ニーナバーHC(ヘッドコーチ)はルーマニア代表戦から13人を変更した。膝のケガでスコッドから離れたHO(フッカー)マルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)を除いては、初戦のスコットランド代表戦と同じ先発を組んできた。
南アフリカのスタメン
FW(フォワード)第1列は、PR(プロップ)スティーヴン・キッツォフリア、フランス・マルハーバ、HOはマークスに代ってボンギ・ンボナンビの3人。ンボナンビはルーマニア代表戦から唯一引き続き先発する。
LO(ロック)はエベン・エツベスと三重ホンダヒートのフランコ・モスタートのコンビ。バックローは、FL(フランカー)がキャプテンのシヤ・コリシと、トヨタヴェルブリッツのピーター ステフ・デュトイ、NO8(ナンバーエイト)はジャスパー・ヴィザが務める。
BK(バックス)は、ハーフ団は横浜キヤノンイーグルスのSH(スクラムハーフ)ファフ・デクラークとSO(スタンドオフ)マリー・リボックのコンビ。CTB(センター)は埼玉パナソニックワイルドナイツのダミアン・デアレンデと、横浜キヤノンイーグルスのジェシー・クリエルのコンビ。
WTB(ウイング)はワールドカップ終了後に東京サントリーサンゴリアスに加入するチェスリン・コルビとカート リー・アレンゼが両翼を担い、FB(フルバック)にはダミアン・ヴィレムセが入った。
リザーブは、HOデオン・フォーリー、PRオクス・ンチェ、トレヴァー・ニャカネ、LOジーン・クライン、RG・スナイマン、FLマルコ・ファンステーデン、静岡ブルーレヴズのクワッガ・スミスと、FW7人が入り、BKはSHコブス・レーナック1名のみとなった。先日追加招集されたSOハンドレ・ポラードは今回メンバーには入らなかった。
ニーナバーHCは、「これは重要な試合だし、このプールに入ったとき、このプールを抜けるのは難しいだろうと誰もがわかっていた。どちらが勝っても、プールを抜けるのに有利な立場になる」。
「でも、第1戦からノックアウトラグビーをすると言っていたのだから、何も変わっていない。トップチーム同士の対戦では規律が重要であり、ペナルティは重要だ。アイルランド代表に規律を欠いたプレーをさせれば、得点に結びつけられたり、自陣22mでプレッシャーをかけられたりする」と語気を強めた。
また、ベンチに7人のFWを入れたことについて指揮官は「どんなスポーツでも革新的なことがあれば、肯定的であれ否定的であれ、反応があると思う。これは明らかにユニークで、7人のFWと1人のBKをベンチに置いたのは初めてのこと」と答えた。
キャプテンのFLコリシは、「ビッグマッチになると思う。ワールドカップで世界ナンバーワンのチームと戦う。彼らは14連勝している素晴らしいチームだから、彼らを倒すには最高の力が必要だ。楽しみだし、世界中が興奮しているのがわかる」とコメント。
相手の主将SOジョニー・セクストンについて聞かれて、「彼はアイルランドにとって偉大なリーダーだと思う。彼は素晴らしい選手であり、アイルランドにとって重要な選手でもある。彼がいるとき、アイルランドはまったく違うチームになる」と話した。
続いてアイルランド代表。アンディ・ファレルHCは、トンガ代表戦からSH1名の先発を変更するに留めた。
アイルランドのスタメン
PRアンドリュー・ポーター、タイグ・ファーロング、HOローナン・ケラハーで第1列を構成する。LOはタイグ・バーンとジェームズ・ライアンのコンビ。FLはピーター・オマーニーがブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦のキャップと合わせての100キャップの節目を迎え、昨年の世界最優秀選手のジョシュ・ファンデル フライアーと、NO8ケーラン・ドリスと3人でバックローを担う。
BKを見ると、ハーフ団はSHコナー・マレーがベンチに下がり、ジャミソン・ギブソンパークが先発し、キャプテンのSOジョニー・セクストンとコンビを組む。CTBはこの試合で50キャップ目、現在4トライでトライランキングトップタイのバンディ・アキとギャリー・リングローズのコンビ。WTBはジェームズ・ロウとマック・ハンセン、FBはヒューゴ・キーナンが入った。
ベンチにはHOダン・シーハン、PRデイヴ・キルコイン、フィンレー・ビーラム、LOイアン・ヘンダーソン、FLライアン・ベアード、SHマレー、WTBジャック・クロウリー、CTBロビー・ヘンショウが入った。
ファレルHCはスプリングボクスが、FW7人をベンチに入れたことについて、「素晴らしいことだと思う。明らかに彼らに合っている。自分もFWのコーチたちに、BK7人FW1人で行くべきかどうか聞いてみたが、それに乗り気ではなかった(笑)。それがプレッシャーになるとはまったく考えていない。ベンチにいる5人のFWにはかなり自信があるし、彼らが与える影響や、そうなったときにどんなプレーをするかにも自信がある」と応じた。
試合について指揮官は「絶対に勝たなければならない試合ではないし、やるかやらないかの試合でもないが、両チームにとってかなり重要な試合だ。勝てるに越したことはないが、私たちは常に自分たちのパフォーマンスを中心に考えてきた」。
「よく知っているスタジアムに3万人以上のアイルランド人サポーターが集まるビッグゲームだ。そこで勝利を取り戻したいと思っているので、準備はできているし、楽しみにしている」と予選プールの1試合ということもあり落ち着いた表情で答えた。
SOセクストン主将は「世界チャンピオンとの対戦だが、彼らはここ数週間で調子を上げてきている非常に優れたチームだ。彼らのディフェンスはラインスピードが自慢だ。最近の彼らのプレーぶりを見れば明らかだが、彼らはゲームのあらゆる面で我々を試してくる」と警戒した。
やはり、控えにFW7人を入れた南アフリカ代表のFW陣にどこまでアイルランド代表FW陣が拮抗できるかが大きな鍵となるだろう。FWで優位に立てば南アフリカ代表はBK陣も強力でありトライを重ねてくるはずだ。
一方、今大会こそ初のベスト4以上を狙うアイルランド代表は、FW戦で互角に戦うことができればSOセクストン主将中心にFW、BK一体となったアタックが機能し勝利に近づくはずだ。
南アフリカ代表とアイルランド代表の過去の対戦成績は27回の対戦で南アフリカ代表の18勝8敗1分け。ただ、最後に対戦した2022年11月は、ホームでアイルランド代表が19-16で勝っている。
勝利した方が3連勝となり、ベスト8進出をほぼ確実にする試合で、世界中のラグビーファンの耳目が集まっている。今大会のプール戦で最大のビッグマッチとなる世界のトップ2の対戦は、日本時間で9月24日(日)午前4:00(現地時間23日午後9時)より、パリ近郊サン・ドニのスタッド・ドゥ・フランスでキックオフされる。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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