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ラグビー コラム 2023年9月22日

前回王者の南アフリカvs.世界ランク1位のアイルランド。プール戦屈指のビッグマッチ。ラグビーワールドカップ プールB

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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南アフリカvs.アイルランド

前回王者vs.世界ランキング1位。大会を占う大一番だ。9月8日に開幕したラグビーワールドカップもすでに2週間が経ち、プール戦も折り返しを迎えている。9月23日(土)はプールBで、ディフェンディングチャンピオンの南アフリカ代表世界ランキング2位)と、アイルランド代表同1位)の優勝候補が激突する。

2019年王者の「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表は、初戦でスコットランド代表を18-3で下し、第2戦ではルーマニア代表を寄せ付けず、76-0で大勝。現在勝ち点9で2位につけている。

一方、現在世界ランキング1位のアイルランド代表は、初戦でルーマニア代表を82-8、続くトンガ代表戦で59-16と、順調に4トライ以上のボーナスポイントを獲得して連勝。2戦を終えて、勝ち点10でプール首位に立っている。

それでは両チームのメンバーを見ていこう。南アフリカ代表のジャック・ニーナバーHC(ヘッドコーチ)はルーマニア代表戦から13人を変更した。膝のケガでスコッドから離れたHO(フッカー)マルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)を除いては、初戦のスコットランド代表戦と同じ先発を組んできた。

南アフリカのスタメン

FW(フォワード)第1列は、PR(プロップ)スティーヴン・キッツォフリア、フランス・マルハーバ、HOはマークスに代ってボンギ・ンボナンビの3人。ンボナンビはルーマニア代表戦から唯一引き続き先発する。

LO(ロック)はエベン・エツベスと三重ホンダヒートのフランコ・モスタートのコンビ。バックローは、FL(フランカー)がキャプテンのシヤ・コリシと、トヨタヴェルブリッツのピーター ステフ・デュトイ、NO8(ナンバーエイト)はジャスパー・ヴィザが務める。

BK(バックス)は、ハーフ団は横浜キヤノンイーグルスのSH(スクラムハーフ)ファフ・デクラークとSO(スタンドオフ)マリー・リボックのコンビ。CTB(センター)は埼玉パナソニックワイルドナイツのダミアン・デアレンデと、横浜キヤノンイーグルスのジェシー・クリエルのコンビ。

WTB(ウイング)はワールドカップ終了後に東京サントリーサンゴリアスに加入するチェスリン・コルビとカート リー・アレンゼが両翼を担い、FB(フルバック)にはダミアン・ヴィレムセが入った。

リザーブは、HOデオン・フォーリー、PRオクス・ンチェ、トレヴァー・ニャカネ、LOジーン・クライン、RG・スナイマン、FLマルコ・ファンステーデン、静岡ブルーレヴズのクワッガ・スミスと、FW7人が入り、BKはSHコブス・レーナック1名のみとなった。先日追加招集されたSOハンドレ・ポラードは今回メンバーには入らなかった。

ニーナバーHCは、「これは重要な試合だし、このプールに入ったとき、このプールを抜けるのは難しいだろうと誰もがわかっていた。どちらが勝っても、プールを抜けるのに有利な立場になる」。

「でも、第1戦からノックアウトラグビーをすると言っていたのだから、何も変わっていない。トップチーム同士の対戦では規律が重要であり、ペナルティは重要だ。アイルランド代表に規律を欠いたプレーをさせれば、得点に結びつけられたり、自陣22mでプレッシャーをかけられたりする」と語気を強めた。

また、ベンチに7人のFWを入れたことについて指揮官は「どんなスポーツでも革新的なことがあれば、肯定的であれ否定的であれ、反応があると思う。これは明らかにユニークで、7人のFWと1人のBKをベンチに置いたのは初めてのこと」と答えた。

キャプテンのFLコリシは、「ビッグマッチになると思う。ワールドカップで世界ナンバーワンのチームと戦う。彼らは14連勝している素晴らしいチームだから、彼らを倒すには最高の力が必要だ。楽しみだし、世界中が興奮しているのがわかる」とコメント。

相手の主将SOジョニー・セクストンについて聞かれて、「彼はアイルランドにとって偉大なリーダーだと思う。彼は素晴らしい選手であり、アイルランドにとって重要な選手でもある。彼がいるとき、アイルランドはまったく違うチームになる」と話した。

続いてアイルランド代表。アンディ・ファレルHCは、トンガ代表戦からSH1名の先発を変更するに留めた。

アイルランドのスタメン

PRアンドリュー・ポーター、タイグ・ファーロング、HOローナン・ケラハーで第1列を構成する。LOはタイグ・バーンとジェームズ・ライアンのコンビ。FLはピーター・オマーニーがブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦のキャップと合わせての100キャップの節目を迎え、昨年の世界最優秀選手のジョシュ・ファンデル フライアーと、NO8ケーラン・ドリスと3人でバックローを担う。

BKを見ると、ハーフ団はSHコナー・マレーがベンチに下がり、ジャミソン・ギブソンパークが先発し、キャプテンのSOジョニー・セクストンとコンビを組む。CTBはこの試合で50キャップ目、現在4トライでトライランキングトップタイのバンディ・アキギャリー・リングローズのコンビ。WTBはジェームズ・ロウとマック・ハンセン、FBはヒューゴ・キーナンが入った。

ベンチにはHOダン・シーハン、PRデイヴ・キルコイン、フィンレー・ビーラム、LOイアン・ヘンダーソン、FLライアン・ベアード、SHマレー、WTBジャック・クロウリー、CTBロビー・ヘンショウが入った。

ファレルHCはスプリングボクスが、FW7人をベンチに入れたことについて、「素晴らしいことだと思う。明らかに彼らに合っている。自分もFWのコーチたちに、BK7人FW1人で行くべきかどうか聞いてみたが、それに乗り気ではなかった(笑)。それがプレッシャーになるとはまったく考えていない。ベンチにいる5人のFWにはかなり自信があるし、彼らが与える影響や、そうなったときにどんなプレーをするかにも自信がある」と応じた。

試合について指揮官は「絶対に勝たなければならない試合ではないし、やるかやらないかの試合でもないが、両チームにとってかなり重要な試合だ。勝てるに越したことはないが、私たちは常に自分たちのパフォーマンスを中心に考えてきた」。

「よく知っているスタジアムに3万人以上のアイルランド人サポーターが集まるビッグゲームだ。そこで勝利を取り戻したいと思っているので、準備はできているし、楽しみにしている」と予選プールの1試合ということもあり落ち着いた表情で答えた。

SOセクストン主将は「世界チャンピオンとの対戦だが、彼らはここ数週間で調子を上げてきている非常に優れたチームだ。彼らのディフェンスはラインスピードが自慢だ。最近の彼らのプレーぶりを見れば明らかだが、彼らはゲームのあらゆる面で我々を試してくる」と警戒した。

やはり、控えにFW7人を入れた南アフリカ代表のFW陣にどこまでアイルランド代表FW陣が拮抗できるかが大きな鍵となるだろう。FWで優位に立てば南アフリカ代表はBK陣も強力でありトライを重ねてくるはずだ。

一方、今大会こそ初のベスト4以上を狙うアイルランド代表は、FW戦で互角に戦うことができればSOセクストン主将中心にFW、BK一体となったアタックが機能し勝利に近づくはずだ。

南アフリカ代表とアイルランド代表の過去の対戦成績は27回の対戦で南アフリカ代表の18勝8敗1分け。ただ、最後に対戦した2022年11月は、ホームでアイルランド代表が19-16で勝っている。

勝利した方が3連勝となり、ベスト8進出をほぼ確実にする試合で、世界中のラグビーファンの耳目が集まっている。今大会のプール戦で最大のビッグマッチとなる世界のトップ2の対戦は、日本時間で9月24日(日)午前4:00(現地時間23日午後9時)より、パリ近郊サン・ドニのスタッド・ドゥ・フランスでキックオフされる。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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