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世界ランキング12位のイタリアは、9月9日のナミビアとの初戦に52-8で快勝し、悲願の決勝トーナメント進出に向けて好スタートを切った。対するアメリカ地区予選1位のウルグアイも、開催国フランスに敗れはしたものの12-27(前半5-13)と奮闘し、フィジーに勝利した前回大会からのさらなる進歩を証明している。いずれも心身とも充実したコンディションで、このプールマッチ第2戦(日本時間9月21日00時45分キックオフ@ニース)に臨んでくるだろう。
ナミビア戦でのイタリアは相手のタフな抵抗にフラストレーションを募らせるシーンもあったものの、FWの優位性を生かしてじわじわとプレッシャーをかけ、ナミビアに疲れが見え始めた後半15分以降に4トライを挙げて突き放した。ワールドカップに簡単な戦いなどないことをあらためて実感する半面、最終的に主導権を掌握してボーナスポイントつきの勝利を手にし、初戦としては理想的な内容だったといえるだろう。その経験を経て迎えるウルグアイ戦は、より引き締まったパフォーマンスを発揮するはずだ。
一方のウルグアイは、パッションを全面に押し出した攻守で優勝候補のフランスを相手に序盤から互角の戦いを展開。前半6分にSOフェリペ・エチェヴェリのピンポイントのキックパスからトライを奪うなど自慢の足技も随所に披露し、スタジアムをおおいに沸かせた。ワールドカップでの白星は過去3つ(1999年、2003年、2019年に1勝ずつ)で、全大会に出場し13勝を挙げているイタリアとは実績で大きな差があるが、プール3位以内に入って次回大会への出場権を獲得するために、なんとしても勝利を手にしたい試合となる。
なお両国は過去4度対戦しており、イタリアの4戦全勝。ただ直近の試合は2021年11月20日のイタリア・パルマでの一戦で、17-10の接戦となっている。その試合に先発した15人のうち、イタリアは12人、ウルグアイは13人が今大会のスコッドに名を連ねた。相手のことを知るメンバーが数多くいることはお互いにプラス材料だが、特にティア1とテストマッチを戦う機会が少ないウルグアイにとっては、一度体を当てている経験は大きな意味を持つはずだ。
キックオフ2日前に発表された試合登録メンバーを見ると、イタリアは12日前のナミビア戦から先発4人を入れ替えた。FWでは右PRがマルコ・リチョーニへ変わり、左LOをNO8ロレンツォの兄、ニコロ・カンノーネにチェンジ。その他の6人は第1週に続いての先発出場となる。
BKはSHにアレッサンドロ・ガルビシが入り、トンマーゾ・アランが15番から10番へシフト。前節FBのパオロ・ガルビシは12番での登場となった。バックスリーでは注目のアンジュ・カプオッソが右WTBからFBに回り、193センチの大型ランナー、ロレンツォ・パニが新たに14番を背負う。
一方9月15日のフランス戦から中5日で臨むウルグアイの先発変更は2人。HOをギレルモ・プハダスから61キャップと経験豊富なヘルマン・ケスレルにスイッチし、右WTBにはバウティスタ・バッソに替わってガストン・ミエレスが入った。その他の13人はポジションも含め前節と同じ並びだ。
キャプテンを務めるのはCTBアンドレス・ヴィラセカ。昨夏の日本代表とのテストシリーズでもチームを牽引した32歳のベテランで、頑健なフィジカルを生かして攻守の要となる。フランスTOP14のカストルで活躍するSHサンティアゴ・アラタの躍動感あふれるプレーにも注目だ。
9月8日に開幕したワールドカップフランス大会もはや3週目に入り、このゲームが全48試合の17試合目となる。そのうちワールドラグビーランキングの下位チームが上位に勝利したケースは、プールDのイングランド(8位)27-10アルゼンチン(6位)、プールCのウェールズ(10位)32-26フィジー(7位)、フィジー(9位)22-15オーストラリア(7位)の3試合だけ(ランキングはすべて対戦前時点)。上位勢の壁の厚さがうかがえる結果だが、今週からは順位の近いチーム同士の対戦が多くなるため、思わぬアップセットが起こる可能性も十分ある。
ウルグアイが満点の気迫で挑んでくることは疑いない。平均年齢25.7歳の若いイタリアにとっては底力を問われる機会だ。熱闘を期待しよう。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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