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ラグビー コラム 2023年9月18日

【ハイライト動画あり】日本代表、ゲームプラン遂行もイングランドに悔しい敗戦。ラグビーワールドカップ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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日本代表、イングランド代表に敗れ1勝1敗

奇跡や衝撃を起こすのは、やはり簡単ではなかった。9月17日(日本時間18日)、ラグビーワールドカップの予選プール2戦目を迎えた日本代表世界ランキング14位)はニースの「スタッド・ドゥ・ニース」で優勝経験のあるプールDで一番の強敵・イングランド代表(同6位)と激突した。過去の対戦成績は日本代表の0勝10敗で、ワールドカップでの対戦は1987年の第1回大会以来となった。

初戦でチリ代表から6トライを挙げ、42-12で勝利した日本代表。FW(フォワード)はキャプテンNO8(ナンバーエイト)姫野和樹を筆頭に、PR(プロップ)稲垣啓太、HO(フッカー)堀江翔太、FL(フランカー)リーチ マイケルピーター・ラブスカフニら、前回大会経験者を並べた。BK(バックス)はSH(スクラムハーフ)流大、SO(スタンドオフ)松田力也がハーフ団を務め、CTB(センター)長田智希がワールドカップ初先発となった。

2015年ワールドカップで、日本代表のFWコーチだったスティーブ・ボースウイックHC(ヘッドコーチ)が率いるイングランド代表はキャプテンSOオーウェン・ファレルらが出場停止で試合に出られなかったが、HOジェイミー・ジョージ、LOマロ・イトジェ、ゲームキャプテンを務めるFLコートニー・ロウズ、キックの名手SOジョージ・フォード、CTB(センター)マヌ・トゥイランギ、22歳のFB(フルバック)フレディー・スチュワードら豪華なメンバーが先発した。

試合はいきなり動く。日本代表FBセミシ・マシレワがインゴールでノックオンをしてしまい、相手スクラムでピンチを迎える。しかし、スクラムは互角に戦い、接点でも相手にプレッシャーを与えて対抗した。前半3分にPG(ペナルティゴール)で先制されるものの、FW戦では戦えることを証明した。

15分、日本代表が攻め込み、SO松田のキックパスは長くてタッチに出たが、その前の反則からPGを決めて3-3の同点に。23分にも積極的にキックを使いアタックを仕掛けて、相手の反則を誘い、SO松田がPGを決めて3点をリードする。

ラグビーワールドカップ2023 フランス大会

【ハイライト動画】プールD イングランド vs. 日本|日本はノートライでイングランドに敗れる

しかし直後の24分、日本代表は自陣ゴール前のラインアウトからミスしてボールを献上、相手のNO8ルイス・ラドラムに左中間に押さえられて、10-6と逆転されてしまった。その後、松田とフォードが1本ずつPGを沈め、イングランド代表が13-9として、前半を折り返した。

ゲームプラン通り戦えていたという日本代表は後半、拮抗した状態の中で、14分、PGを決めて12-13と1点差に迫る。

だが16分、イングランド代表がボールを継続してアタックを仕掛け、最後はPRジョー・マーラーがノックオンしたと思われたが、TMOの末、頭にしかあたっておらず、FLローズがこぼれたボールをそのまま拾い上げてトライ。20-12とリードを広げる。

日本代表はWTB(ウィング)松島幸太朗、途中出場のWTBディラン・ライリーがランで仕掛けてチャンスを作るが、ミスでトライに結びつけることができない。

POMのイングランドSOジョージ・フォード

26分、途中出場の選手が勢いを与えたイングランド代表が、ゴール前で日本代表のスクラムにプレッシャーをかけてチャンスを得る。スクラムからSOフォードが左足でキックパスをFBスチュワートに通してトライ。ゴールも決まり27-12とした。

さらに試合終了間際、4トライのボーナスポイントを狙うイングランド代表がPGを狙わず、タッチに蹴り出してモールを形成。最後はCTBジョー・マーチャントが中央左に抑えて34-12でノーサイドを迎えた。

イングランド代表はしっかりと勝ち点5を得て開幕連勝となった。一方の日本代表は1勝1敗となった。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはイングランド代表SOフォードが2試合連続で選ばれた。

「日本代表は9番と10番からのチップキックで掻き回してきたのは印象的だったし、ディフェンスも良かった。チーム全体がたくさんのプレッシャーをかけてきて自分たちを手こずらせた。でも選手たちがプランに忠実であったことを誇りに思う」(フォード)。

日本代表は後半20分までは善戦したが、「ラグビーの母国」イングランド代表にプレッシャーを受けて、自陣からなかなか脱出できず、それがそのままスコアボードに反映された形となってしまった。

日本代表のジェイミー・ジョセフHCは、「私たちのプランを遂行しようとした選手たちを誇りに思う。キッキングゲームではイングランドを驚かせた部分もあったし、相手にプレッシャーをかけてチャンスを作った。そこから学んだのは、自分たちが作ったチャンスをものにできなかったということだ。ミスが多すぎた」。

「残念なことだが、選手たちはこの1週間、非常にモチベーション高く、これ以上ないほど努力をしてくれた。ここからまた次のステップが始まる。まだ改善の余地はある。多くのプレッシャーに対処できたことは、次のサモア戦とアルゼンチン戦につながる重要な収穫だ」と振り返った。

姫野和樹キャプテン

初めてキャプテンとしてワールドカップの舞台に立った姫野は「FWパックもそうだが、チームの努力を誇りに思うし、全員が100%の力を、ベストのパフォーマンスを出してくれた」。

「トライを取れなかったのは残念だが、自分たちのプランニングを出せたことは大きかった。率直に悔しい気持ちが大きい。ただ、次にサモア、アルゼンチン戦があり、下を向く時間はない。ワールドカップが終わったわけではないので、しっかりとした準備をしたい」と先を見据えた。

連勝したイングランド代表のボースウィックHCは「選手たちはすごくよくやってくれたて、この結果が得られた。日本代表は37回もキックを蹴ったし、(湿気の多い)この状況はとてもチャレンジングだった。選手たちは(ボーナスポイントの)4トライを挙げられたし、最後の20分はチームを加速する必要があったが、選手達はそれをやってくれた」とチームの努力を称えた。

トライも挙げたゲームキャプテンのFLローズは「日本は素晴らしかった。試合前から日本が激しい戦いをしてくるのは予想していたが、まさにその通りのタフなチャレンジだった。今夜はコンタクトする前から、ボールが滑っているのを感じた。暑くて湿度が高かった。自分たちの攻撃の良さを垣間見せられたと思う。大会後半には、すべてがうまくいくことを期待している」と話した。

開幕から連勝のイングランド代表は、9月23日にリールでチリ代表と対戦し、勝利すればベスト8が大きく近づく。一方、1勝1敗としてベスト8進出に向けてもう負けられない日本代表は、28日にサモア代表とトゥールーズで激突する。

文:斉藤健仁/Photo by S.IDA

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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