京都産業大学、3連覇を目指す初戦は関西大学に苦戦も白星スタート。ラグビー関西大学リーグ

関西3連覇に挑む京都産業大学

9月17日、花園ラグビー場で行われた「2023ムロオ関西大学ラグビーAリーグ」の開幕戦。リーグ3連覇を狙う京都産業大学は、関西大学に対し、38-17で勝利した。前半は関大にリードされ、自信のあるスクラムを上手く組ませてもらえず、苦戦する場面が多かったが、計6トライを挙げて見事勝ち切った。

前半3分、自陣深くでのディフェンスでハイタックルをしてしまいピンチを招く。残り5mでの関大ボールのスクラムで押し込まれてしまい、開始早々、先制トライを許した。今シーズンからタックルは胸骨以下という新基準の導入により、難しい対応が迫られる。

黙っているわけにはいかない京産大は、NO8（ナンバーエイト）シオネ・ポルテレ（現2＝目黒学院）のキックチャージからチャンスを作ると、スクラムで押し進み、SO（スタンドオフ）奈須貴大（現2＝光泉カトリック）の飛ばしパスで一気に展開。それを受けたFB（フルバック）辻野隼大（済3＝京都成章）が右隅ギリギリのところでトライ。角度のある難しいキックも脱力した脚使いで決めて7-7と同点に追いついた。

しかし、流れに乗り切れない京産大。ひとつの反則から一気に自陣深くへ攻め込まれると、関大はラインアウトからFW（フォワード）を使って縦への連続攻撃でゴールポスト横にトライを決める。ただ、流れに乗れない展開に焦りはなかった。「チームとして入りが悪い傾向にあるので、練習でも重点的にやっている。慣れているので大丈夫」と円陣で声を掛け合った京産大。

2トライを決め、POMに選ばれた松岡大河

その言葉通り前半27分。敵陣22mエリア内でのラインアウトを成功させると、フェーズを重ねながら左右に攻め込み、9フェーズ目でWTB（ウィング）松岡大河（営4＝東福岡）が、リーグ戦2年ぶりとなるトライを奪った。「一番目立つプレー、それが勝利につながっていくので、1人1人がその気持ちを持つことが大事。FWが前に出てくれたおかげでトライに繋がった」と強気で手繰り寄せた14-14となる同点トライにチームメイトへ感謝した。

松岡のトライを皮切りに徐々にチームに活気が見え始める。33分にはCTB（センター）小野麟兵（済3＝京都工学院）のトライで逆転すると、22mラインの外から押し切るモールトライでスコアを26-17に広げ、前半を終える。

前半、特に最初の20分では、京産大は自らのやりたいプレーができず、逆に関大は対策プランに則った理想的な入りを展開できた。後半は、ここまでなかなか思い通りに組ませてもらえなかったスクラムで良いスタートを切る。相手の反則を誘うスクラムで、LO（ロック）ソロモネ・フナキ（現3＝目黒学院）が小さくガッツポーズを噛み締める。

そのエナジーをまたも松岡が形にした。バックスラインでのパスや攻撃ラインの深さなど、前半での反省点を修正し、ライン際を走り切り2本目のトライ。「ただただ、去年は悔しい思いをしていた。絶対に同じ思いをしたくない」と松岡。

2年次では先発出場をしていたものの、3年次は右太腿裏を痛めて出場が叶わなかった。今年、最終学年として迎えた開幕戦でPOM（プレイヤー・オブ・ザ・マッチ）に輝き、存在感を放った。

京産大はその後、HO（フッカー）李淳弘（営3＝大阪朝鮮）のトライを加え、38-17で試合を締めくくった。廣瀬佳司監督は「開幕戦という非常にプレッシャーのかかる難しい試合だったが、6トライを取り、後半は相手を抑え切って1勝できたので安心している」と総括。

キャプテンを務めたヴェア・タモエフォラウ

三木皓正（済4＝京都成章）主将のコンディション不良で、今回ゲームキャプテンを務めたPR（プロップ）ヴェア・タモエフォラウ（現4＝札幌山の手）も試合を振り返って、来週へ繋げる意気込みを語った。

次戦は9月24日（日）に静岡スタジアムエコパで摂南大学と対戦する。開幕戦では天理大学に敗戦はしたものの、7トライを上げるほどの勢いがあるチームだ。

「1日1日を大切に取り組んで関西1位、全国1位を目指して頑張ります」。

その言葉通り、目の前に試合へ最高の準備を重ねて日々成長を誓う京産大は目標に向け、着実な一歩を踏み出した。

文：大谷賢之介／写真：藤田芽生（京産大アスレチック）