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立川理道選手
2022-23シーズンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイを初優勝に導き、リーグMVPにも輝いた“日本一の主将”が大いに語ってくれた。
CTB立川理道は、攻防自在の万能センターにして、類い稀なリーダーシップを発揮する人格者だ。天理大学では主将として準優勝を経験し、スピアーズでは2016年度から主将を務める。
日本代表キャップ数は「56」。2015年W杯では南アフリカ代表を撃破するなど、1大会3勝という歴史的躍進に大きく貢献した。
そんな立川理道が、9月8日(金)に開幕が迫るW杯フランス大会について、日本代表の展望などを交えて率直に語ってくれた。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
――2023年の日本代表は、W杯へ向けた強化試合で1勝5敗でした。率直な感想を教えてください。
「試合は全部見ましたが、大きな失敗はないと思っています。個人的なミスはありますが、まだまだプランを試していますし、怪我人など厳しい状況で戦っています。結果だけを見て心配する必要はないのかなと思います」
――「4年前より選手の能力が上がった」と話す日本代表選手もいますが、どのように見ていますか?
「今の選手はポテンシャルが高いです。リーグワンで戦っているので、肌感覚で良い選手が揃っていると感じます」
――プールDに入った日本代表の展望ですが、第2戦でイングランド代表と戦います。イングランドはW杯前のサマーシリーズで、フィジーに初黒星を喫するなど1勝3敗でした。
「イングランドの試合を観ましたが、自信を無くしているように感じます。数的不利でもウェールズに勝つので地力はあり(8月12日/イングランド19-17ウェールズ)、経験豊富な選手も多く、勝つことは簡単ではないんですが、日本が勝ってくれるようなイメージしか僕には湧いていないです。テンポの速い展開のゲームになってくれば勝機はあるのかなと」
イングランド代表(ラグビーワールドカップ2019)
――イングランド戦のキーポイントは?
「スクラム、ラインアウトはイングランドの強みなので重要なのですが、一つはキッキングゲームですね」
「相手に対してボールを保持するのか、手放すのか。相手は必ず手放してくるので、そのキッキングゲームに対する対応は重要になってくると思います」
――立川選手は「怖いのはサモア戦」と考えているそうですね。
「サモアには『モアナ・パシフィカ』(スーパーラグビーパシフィックに参戦するサモア、トンガ中心チーム)で経験を積んでいる選手たちがいます。そこに加えて、ヨーロッパでプレーする選手、さらにオーストラリアやニュージーランドの元代表選手たちが(21年承認の代表資格ルール改正により)帰ってきています」
「もともと一発のチカラ、一試合に懸けるチカラがあります。日本戦に勝てば決勝トーナメント見えてくる、という状況になれば怖いかなと。簡単には勝てない相手です」
――では日本が対戦するプールDの4カ国で最も強いのは?
「アルゼンチンが最も実力があると思います。かなりフィジカルの強いチームで、セットプースも強く、ロングキッカーもいて、バランスが良いですね」
「厳しい戦いになるかもしれませんが、イングランドと同じで『どう勝つのか』を上手く準備できていればチャンスはあります。それに今年は(ハイタックルの厳罰化で)カードが多いと思うので、何があるか分かりません」
――ズバリ、日本以外で優勝国を予想するとしたら?
「アイルランドやフランスは選手層が充実していますね。アルゼンチンも優勝できる力があると思います」
――アルゼンチンの実力はかなり上位とみているのですね。
「フランス大会という点も大きいと思います。アルゼンチンは前回のフランス開催のW杯(2007年)で3位になっていますが、当時は開催国フランスで戦っていたアルゼンチン選手がそのまま合流し、活躍していました」
「今回のアルゼンチンも、ヨーロッパ、特にフランスでプレーする選手が多く、2007年と似た状況です。そこも今大会のアルゼンチンが力を発揮しやすい一つの要素なのかなと思っています」
姫野和樹選手
――では日本代表の注目選手を教えてください。
「キャプテンの姫野(和樹)です。頑張ってほしい、という想いも込めて期待しています。リーチさん(マイケル)や堀江さん(翔太)、流(大)もいますしサポートはあると思います。彼らしさが出ればチームは勢いが出ます」
――立川選手はキャプテン経験が豊富ですが、アドバイスをするとしたら?
「姫野が楽しんでニコニコしながらプレーしていればチームは勢いづくと思います。あまり考えずにそちらに振ってほしいです。他のリーダーに役割を振りながら、自分はプレーに集中して楽しんでくれればチームはまとまってくるのかなと思います」
――スピアーズからFLピーター・ラブスカフニが参戦します。立川選手だからこそ知るエピソードがあれば教えてください。
「ラピースはファンの人たちには優しくて、もちろん僕らにも優しい。すごくファンは大事にしているし、紳士的なんですが……めちゃくちゃに負けず嫌いです!!じゃんけんでも負けたくないと思ってますよ。練習のタッチフットですら負けたくなくて真剣にやっています」
――ウォーミングアップのタッチフットを真剣にやっている?!
「一人だけ笑ってないですから(笑)。でも、それくらい勝負に負けたくないんでしょうね。味方にいると本当に頼りになります。ディフェンスは彼自身プライドを持っていると思いますし、W杯では彼の役割が増えてくると思います。そこで力を発揮してくれたら」
――では最後に、旧知の仲間も多い日本代表へエールをお願いします。
「直近の試合だけで不安になることはないと思いますが、自信をも持って戦ってほしい。本当に応援しているので、笑顔で、胸を張って、W杯を楽しんでくれたら必ず結果は出ると思っています」
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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