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今季初対戦となった帝京vs.明治
今季の関東大学対抗戦だけでなく、大学ラグビーも占う大一番は序盤からお互いのプライドが激突する熱戦となった。8月27日(日)、長野・サニアパークで対抗戦のライバル同士、帝京大学(対抗戦昨季1位)と明治大学(昨季2位)が対戦した。
春季大会の両者の対戦は台風の影響で中止になったため、今回の対戦が今季初対戦となった。夏の練習試合ということで、互いに真っ向勝負となると予想されていた。
大学選手件で3連覇を狙う、今季負けなしの帝京大学のメンバーは現時点でのベストと言っていいだろう。キャプテンのHO(フッカー)江良颯、副将FL(フランカー)奥井章仁を筆頭に、PR(プロップ)上杉太郎、NO8(ナンバーエイト延原秀飛(いずれも4年)、LO(ロック本橋拓馬、FL青木恵斗(ともに3年)と、大学選手権連覇を経験しているFW(フォワード)を揃えた。今季売り出し中のPR平井半次郎(3年)、LO尹礼温(4年)も先発した。
BK(バックス)も、SH(スクラムハーフ)李錦寿、ゲームメイクが光るSO(スタンドオフ)井上陽公(4年)、CTB(センター)陣は五島源(3年)と戒田慶都(4年)、バックスリーはWTB(ウイング)高本とむ(4年)、ルーキーながら定位置を確保しているWTB青柳潤之介(國學院栃木)、スキルが高いFB(フルバック)小村真也(3年)がスターターとなった。
合宿での試合ということで控えは16人がスタンバイし、もう1人の副キャプテンFB山口泰輝(ともに4年)、新人のPR森山飛翔とSO本橋尭也(京都成章)らが入った。
今季、100周年を迎えている明治大学も副将LO山本嶺二郎(4年)がメンバー入りできなかったことを除いては、ほぼベストと言っていいだろう。FW第1列はPR床田淳貴、為房慶次朗、HO松下潤一郎(いずれも4年)の3人、LOは亀井茜風(4年)とハイボールに強いLO佐藤大地(3年)、バックローはFL森山雄太(4年)、福田大晟、NO8木戸大士郎(ともに3年)の3人が入った。
大学ラグビー 菅平合宿 2023
【ハイライト動画】帝京大学 vs. 明治大学(8月27日練習試合)
ハーフ団はSH萩原周、SO伊藤耕太郎、インサイドCTBにキャプテン廣瀬雄也(いずれも4年)、アウトサイドCTB山田歩季(3年)、バックスリーはWTB西川賢哉(4年)、安田昴平(3年)、FB池戸将太郎(4年)が入った。
控えは15人が入り、U20日本代表で活躍したHO西野帆兵、PR富田陸(ともに2年)、LO池戸将太郎、田島貫太郎(3年)、FL/NO8最上太尊(2年)や、1年のSO伊藤利江人、WTB海老澤琥珀(報徳学園)らが入った。
試合は明治大学がチャレンジャーらしい入りを見せる。キックオフこそミスしたが、相手ボールのセンタースクラムで反則を誘い、相手陣奥に攻め込む。前半4分。ラインアウトからボールを動かして、SO伊藤、CTB廣瀬とパスが渡り、廣瀬が力強いランで右中間にトライ。ゴールも自身で決めて7点を先制する。
王者・帝京大学も負けていない。7分、相手陣奥のラインアウトのチャンスからモールこそ押し込めなかったが、FWがラックを連取して、最後はFL青木が中央右に押さえて同点とする。18分、今度は明治大学が相手陣奥でモールを形成し、相手の反則を誘って、最後は力強いランでPR為房が飛び込んで14-7と再びリードした。
その後、明治大学にハイタックルの反則が増えると、帝京大学がチャンスを得る。24分、ボールをつないで最後は奥井が右隅にトライ。さらに27分、FWが力強いランを繰り返し、中央右にPR平井が押さえてトライ。31分にはCTB五島のロングパスをHO江良がライン際でキャッチし、そのまま左隅に飛び込んでトライを挙げた。
王者が素晴らしい集中力を見せて、10分あまりで一気3トライを奪取して逆転に成功した。前半はそのまま帝京大学が26-14でリードしたまま折り返した。
後半、明治大学が相手ボールのスクラムで反則を誘い、セットプレーの強さを見て相手陣に攻め込む。しかし、フェーズアタックを帝京大学のタックル、ジャッカルに止められて、なかなか得点を挙げることができないまま拮抗した状態が続く。
後半、やっとスコアボードが動いたのが後半35分になってからのことだった。帝京大学がモールを押し込み、最後はHO江良が滑り込んでトライ。さらに38分、途中出場の1年のSO本橋が抜け出して、60mを走り切手トライを挙げて、38-14として勝負を決めた。明治大学もラストプレーでCTB東海隼(2年)がトライを挙げて一矢を報いたが、試合は38-21でノーサイドを迎えた。
帝京大学はマイボールスクラムでプレッシャーを受け続けたものの、それでも接点、タックルの力強さ、勝負所のモールの決定力で見事に逆転勝利を収めて、春、夏合宿を通じて全勝をキープ。秋に向けて大きな弾みとなった。ただ、早稲田大学戦より減ったものの、ハイタックルもあり、快勝したがスクラムも含めて課題も出た試合となったといえよう。
一方の明治大学は秋に向けてスクラムで十分に対抗できたこと、ラインアウトからトライを挙げたことは成果となるだろう。ただ、本来は武器であるフェーズアタックでトライを取りきれなかった点や、ハイタックルが多かった点などは今後、秋に向けて修正すべき課題となったはずだ。
夏の菅平合宿は今週で終了するチームがほとんどで、9月になればすぐに関東での大学ラグビーが開幕する。帝京大学と明治大学の対戦は11月19日(日)だ。互いに再戦までどこまで成長するか大いに楽しみにしたい。
文:斉藤健仁/PhotobyS.IDA
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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