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ラグビー コラム 2023年8月24日

「これがワールドカップ前の最後の試合」。本大会の優勝候補同士が激突!注目のニュージーランド×南アフリカ

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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「これがワールドカップ前の最後の試合。このテストは我々の準備において極めて重要です」

発言の主は、ニュージーランド代表“オールブラックス”のイアン・フォスターHC。

約2週間後に開幕するラグビーワールドカップ(RWC)フランス大会。

共に最多4度目の優勝を狙う大国同士が、激突する。

本大会でプールA所属のニュージーランドと、プールBの南アフリカが、現地時間8月25日、RWC直前のテストマッチを行う。

舞台は両国対戦はRWC2015準決勝以来となる、トゥイッケナム・スタジアム(イングランド)だ。

前回大会後にアシスタントから昇格した南アフリカのジャック・ニーナバーHCも、同じく大会直前の重要な試合と位置づける。

「私たちは“あの試合”から教訓を得て、それ以後は良い勢いを築いてきました。この試合はワールドカップに入る前の素晴らしいテストになるでしょう」

ニーナバー監督が言及した“あの試合”とは、7月15日の前回対戦。20-35で敗れてしまい、RWC優勝候補の立場が大きく揺らいだ。

“あの試合”でニュージーランドはスキルを駆使した芸術的な全員ラグビーを披露。開始16分間で17点を奪った。黒衣軍を不安視する風潮は、この試合で消し飛んだと言ってよいのではないだろうか。

面食らったのはRWC2連覇を狙う南アフリカだ。

しかし敗戦後は3連勝。アルゼンチンに2連勝(22-21)(24-12)して、シヤ・コリシ主将の復帰戦となった前戦はウェールズに52-16で大勝してみせた。

今回の南アフリカの先発15人は、そのウェールズ戦から8人(FW3人、BK5人)を変更している。

FWは両ロック(エツベス、モスタート)とナンバーエイト(フェルミューレン)が先発へ。

BKはSHデクラーク、CTBエスターハイゼン、両ウイング(マピンピ、アレンデセ)とFBウィレムセだ。

FLコリシ主将は2試合先発、大会欠場の司令塔ポラードの穴を埋めたいSOリボックらは変わらず。

注目はこれまでウイングとして起用されてきたカナン・ムーディーのCTB代表初先発。ロータックルも得意な守備人の側面はあるが、挑戦的な起用と言えるだろう。

南アフリカのリザーブは今回も“ボム・スコッド”と呼ばれるFW6人、BK2人の体制。強力FWが途中出場して巨大な圧力をかける。

中立国のイングランドで、南アフリカと通算105度目の対戦(62勝38敗4分)に臨むオールブラックス。

控えメンバー中心ながら23-20で勝利したオーストラリア戦と比べ、今回はベストメンバーに近い布陣となった。

先発は89キャップのFLケイン主将をはじめ、145キャップのLOホワイトロック、118キャップのSHスミスなど総キャップ数は500超。

その中にあってチャンスを与えられたのが今季FL初先発のルーク・ジェイコブソン。

15キャップ目を獲得するジェイコブソンは、FLケイン主将、神戸S加入が決まっているNO8サヴェアとバックローを形成する。

試合の注目点の一つは、やはり序盤の攻防だ。

南アフリカは前回対戦で序盤にモメンタム(勢い)を作られ、追撃も届かなかった。同じ轍は踏みたくない。

相手に攻撃機会を与える不用意なノータッチのキックは危険だろう。南アフリカは強みであるラインアウトの機会を増やし、自分たちのテンポで戦いたいところだ。

今回はニュージーランドもFW6人、BK2人のリザーブ体制であり、両軍プライドのあるFW戦、スクラムとラインアウトの攻防は大きな見所になる。

両軍は本大会の準々決勝(ベスト8)で再戦する可能性もある。大事なRWC前のテストマッチ。大迫力の激突を堪能したい。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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