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昨季8強からの捲土重来を期する創部100周年の明治と、昨季全国4強に入った筑波との手合わせは、明治の先制トライで始まった。
筑波は序盤にCTB堀日向太が攻守に貢献。相手反則を誘う好タックルなどを決めるが、明治の圧倒的なスクラムの前にボールを確保できず。
明治はこの日先発フロントローにPR床田淳貴、HO木谷光、PR為房慶次朗に据え、強烈ヒットからの第2波で相手を再三押し切った。
筑波は序盤、スクラム・コラプシングを含めた3回のペナルティで自陣ゴール前まで後退。ここで明治は効果的なモールを組み、前半8分にHO木谷が先制トライを奪った。
前半21分にはスクラム・ターンオーバーからLO佐藤大地がFW戦から押し込み、2連続トライ。前半でFW戦の優劣が明らかとなり、筑波は旗色が悪くなった。
ここで筑波は2022年度の高校日本代表CTBが躍動する。
24番を背負った流経大柏高出身のルーキー飯岡建人だ。
0-14で迎えた前半23分、ターンオーバーからのエリア右でボールを受けた飯岡。184cmながら振り幅のあるフェイントから外へ抜け出すと、転がしたショートキックをインゴールで再獲得。個人技で明治からチーム1本目を奪ってみせたのだ。
この初得点に乗じて攻勢を強めたい筑波だったが、明治CTB廣瀬雄也主将のキック「50:22」や堅守に阻まれ、追加点を奪えない。
転機は筑波のシンビンだ。
明治は優勢のスクラムで相手プロップの反則を誘発。筑波はプロップが一人シンビン(10分間の一時退出)となり、力の天秤は大きく明治に傾いた。
このシンビンから敵陣深くに入った明治はモールで前半36分に3トライ目。スピードランナーでもあるFL森山雄太のビッグゲインから直線的に前進を重ねて4本目。
さらに前半43分にはSHやSOでもハイレベルなFB池戸将太郎が、ラインアウトからの2次攻撃でフィニッシャーを務めてインゴールへ。前半だけで相手が14人の間に3連続トライ。
大学ラグビー 菅平合宿 2023 練習試合
【ハイライト動画】明治大学 vs. 筑波大学
キッカーのCTB廣瀬主将も前半5本のコンバージョンを全成功。FW戦から主導権を奪った明治が、30点(35-5)をリードし折り返した。
後半の明治はメンバーを大幅変更。
練習試合につき15人いるリザーブを続々投入したが、それでもスクラムの有利、攻撃力は見劣りせず。“2チーム体制”を敷ける選手層を見せつけた。
まず後半開始1分で替わったばかりのPR渡邊元隆がフィニッシュ。途中出場のフレッシュレッグ達が生み出したモメンタムから獲り切った。
これで42-5とした明治だが、ここから自陣でのリスキーなキック選択が続いて、筑波にチャンスが訪れる。
インゴールを背負った明治も素早いリロードで堅陣を保つ。しかし筑波は後半13分、SO濱島海が機転を利かせてインゴールへショートキック。
筑波がグラウンディングを成功させ、右隅からのコンバージョンもWTB高田賢臣(※「高」は正しくは「はしご高」)が成功。ビハインドを30点(12-42)に縮めた。
筑波の反撃は続いた。
明治は後半17分に縦突破からのオフロードパスを受けた山田歩季がトライを返すが、筑波はまたもゴールデンルーキーが魅せる。
後半21分、ふたたび24番の飯岡が駆けた。
ターンオーバーから蹴り返されたキックに反応してカウンター。右大外を豊かなスピードで走り抜け、タックラー3人を振り切り鮮烈なフィニッシュ。のどかな菅平にどよめきを起こした。
これで再度30点差(19-49)とした筑波だが、以後のトライは全て明治。
明治は後半31分に敵陣ゴール前のインターセプトから山田歩季が後半3本目。パワフルなルーキーの藤井達哉(東福岡)が同34分に右隅で決め、さらには3分後には同じく1年生の海老澤琥珀(報徳学園)がサポートランから後半5本目。
明治はスター候補のルーキー達も力を発揮し、最終スコアは66-19となった。
明治は前後半でメンバーを大幅に入れ替えながらも10トライ。スクラム、モールを中心に機動力ある重戦車FWで圧倒し、スキルフルなBKでもトライ奪取。多彩な武器を示した。
筑波の3トライは飯岡の2トライを含めて全てBK。モールやFW戦で獲り切った明治とは対照的に映る。シンビンを出したスクラムは要修正だろう。
しかし武器の一つであるBKのスキル、スピードは随所で輝いた。昨季4強の経験値もある実力校・筑波のこと、10月1日(日)の関東大学対抗戦Aでの再戦は分からない。
明治戦後の筑波は、関西学院大学(17日・木)、同志社大学(20日・日)との夏季練習試合を予定。
一方の明治は、天理大学(20日・日)、関西学院大学(23日・水)、そして注目の帝京大学(27日・日)などとの夏季練習試合が待っている。
秋シーズン直前の重要な腕試し。合宿聖地・菅平から今後も目が離せない。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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