人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

ラグビー コラム 2023年8月14日

大学ラグビー夏の陣がスタート。選手権連覇中の帝京が、天理の挑戦を迎え撃つ。夏合宿練習試合展望

ラグビーレポート by 直江 光信
  • Line

 

学生ラグビーにおける夏は試練の季節だ。厳しい時間を乗り越えることで選手たちは見違えるほどたくましくなり、チームも劇的な成長を遂げる。この時期に積み重ねた努力の質と量が、秋以降の伸び幅を左右するといっても過言ではない。

そしてそんな学生たちの現在地を見極める絶好の機会が、夏合宿中に行われるトレーニングマッチである。実戦を通じてここまでの鍛錬の手応えを確かめ合うべく、8月中旬からは全国各地の強豪大学が夏ラグビーの聖地・菅平に続々と集結してくる。試合スケジュールを見れば連日のように注目カードが組まれており、ファンにとってはひいきチームやライバルの結果が気になるところだろう。

そうした中、8月16日のサニアパークでは、帝京大学と天理大学が対戦する(13時キックオフ)。2021年度から大学選手権連覇中、今季も覇権争いの本命と目される帝京に、覇権奪回を期す3シーズン前の学生王者、天理がいかに挑むのか。それぞれ夏合宿の初戦ということもあり、どのようなラグビーを披露するか楽しみな一戦だ。

帝京はこの春もAチームのゲームは負けなしで、関東大学春季大会Aグループ優勝を果たすなど、ここまで順調なシーズンを過ごしてきた。際立つのはその試合内容で、同志社大学を89-0、京都産業大学を43-12と関西リーグの上位2校を圧倒すると、春季大会でも東海大学に64-5、早稲田大学に60-21と大勝。明治大学戦が台風の影響で中止となり、最終的にはともに4勝1不成立の勝ち点22で並んだ末に全試合の得失点差(帝京+269、明治が+172)で上回っての優勝となったが、今年度も大学シーンを牽引する存在であることをはっきりと印象づける圧巻の戦いぶりを見せた。

戦力ではキャプテンのHO江良颯、バイスキャプテンのFL奥井章仁を筆頭に前年のレギュラー6人を擁するFW陣の充実ぶりが目を引く。スクラムをはじめとするセットプレーの支配力はさらにスケールアップした印象で、強靭なフィジカルを誇る個々のプレーヤーが献身的に体を張ってボール争奪局面を制圧。大黒柱のSO高本幹也が卒業したBKも、優れたスキルセットを備えるSO井上陽公や抜群のラグビーセンスを有するSO/FB小村真也の成長で、総合力の高いラインに仕上がりつつある。

対する天理は4月30日の練習試合で昨季の関西王者、京産大に40-28で勝利し好スタートを切るも、関西大学春季トーナメントは準決勝で同志社に33-41で敗戦。しかしその後、東海に48-20、近畿大学に40-12、筑波大学に49-35と実力者から快勝を収め、春季トーナメント3位決定戦でも関西学院大学を47-19で下して潜在力の高さを示した。特に昨季の課題だったアタック面で得点力が大幅に向上しており、秋の公式戦に向け可能性を感じさせる。

こちらもチームの好調を支えているのは、昨季の選手権先発メンバーのうちFL鄭兆毅やNO8パトリック・ヴァカタら5人が残ったFWだ。東海戦や筑波戦では今季特に力を入れて鍛えてきたフィジカルを前面に押し出し、コンタクト局面で優位に立ったことが大きな勝因となった。BKでは左膝の前十字靱帯損傷で昨シーズンを棒に振ったSO筒口允之が約1年ぶりに復帰し、持ち味のロングキックと強気の仕掛けでFWを前に出せるようになったことが、いい流れを生み出している。

いずれもコリジョンを強みとし、コンタクトエリアでたたみかけてリズムを作るプレースタイルだけに、ゲインラインの攻防では熾烈なバトルが繰り広げられるだろう。強さと重さ、スピード、スキルに加えゲーム理解も優れる帝京が接点で前に出る展開になれば、勢いを断ち切るのは難しい。天理としては一歩でも前に出てヒットし、相手を後ろへ下げ続けることが、この試合の最重要テーマとなる。

もうひとつの焦点はスクラムだ。攻守の起点となる重要なプレーであり、お互いにスクラムの推進力がゲームを組み立てる上での大きな強みとなっている。学生最強との呼び声高い帝京パックに、まとまりと低さを生命線とする天理FWがどう挑むのか。見応えあるせめぎ合いを期待したい。

文: 直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ