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ラグビー コラム 2023年8月4日

W杯メンバー発表直前!国内5連戦の最終戦「日本代表×フィジー代表」

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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期待と不安が入り交じる。

約1カ月後、現地時間9月8日(金)に開幕するラグビーW杯フランス大会。

初の世界一を狙うラグビー日本代表は、8月5日(土)、5試合ある国内強化試合の最終戦を迎える(リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ第3戦)。

舞台は東京・秩父宮ラグビー場。キックオフは19時15分。ナイター照明の下で対峙する相手は、世界ランキング10位のフィジー代表だ。

8月15日(火)にはW杯メンバー33人が発表。フィジー戦がW杯メンバー発表前の最後の試合となる。

日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は「フロントロー9人とスクラムハーフ3人はすでに決めている」という。残り21人の椅子を狙う候補選手にとっては最後のアピールの場。そしてチームの成熟度にとっても重大な一戦だ。

W杯へ向けた国内5連戦で、ジャパンはここまで1勝3敗。日本代表は10位が定位置だったが、3試合目でサモアに2点差(22-24)で敗れて12位に落ちてしまった。

しかし先週のトンガ戦では5点差(21-16)で逃げ切り、W杯イヤー初勝利。

トンガ戦後、まず日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が言及、評価したのがディフェンス面だった。

「トンガのフィジカルを止められたことは誇りに思います。ディフェンスで身体の小さい選手が大きい選手を止めることは難しいタスクですが、それを継続して出来ていました」

日本のタックル成功率は89%。サモアは同成功率82%。サモア戦で課題になったカード(イエロー、レッド)もゼロで、浦安合宿から強化してきたタックルで成果を挙げた。トンガ戦で生まれた守備面の自信を、今週のフィジー戦でより強固にしたい。

ただオセアニアの雄であるフィジーは強敵だ。

7人制ラグビーの五輪初代王者であり、日本は長い手足を活かした“オフロードパス劇場”に長く苦しめられてきた。勝率は対サモアの31.3%、対トンガの50%(いずれも今夏対戦前)と比べて最低となる22.2%(4勝14敗)だ。

4年前は、そんなフィジー戦の勝利が自信になった。

2019年大会を目前に控えていた日本代表は、岩手・釜石で4連敗中のフィジーと激突。苦手意識を克服する34-21の勝利を挙げ、上向きのまま本大会へ進んだ。

期待の中に混じる不安を払拭するためにも、4年前と同じ、もしくはそれ以上の手応えを掴みたい。

日本代表スターティングメンバー

「フィジカルやS&Cの強化」(ジョセフHC)で手応えのあった宮崎合宿を経て、いよいよ重大局面へ進む日本代表メンバー23人が発表されている。

トンガ戦から先発は4人変更。

ジェイミーHCが「W杯でも価値のある選手」と高く評価するFLピーター・ラブスカフニが、股関節の怪我から今季初先発。

そして2試合前のサモア戦で痛恨の反則(ネックロール)をしてしまったLOジェームス・ムーア、先週はキック不調だった李承信に代わりSO松田力也、トンガ戦でトライを防ぐタックルを見せたFB松島幸太朗の3名が、リザーブから繰り上がった。

リザーブで今季初のメンバー入りをしたのは下川甲嗣。指揮官は「素晴らしい練習も積み重ねきた。6番としてアピールしてほしい」と期待を寄せた。

その他メンバー外の選手では、主力候補の3人について指揮官が怪我の状況を明かしている。

「3人怪我をしています。ワーナー(・ディアンズ)は足首を捻ってしまい(復帰に)2、3週間掛かると見込んでいます。先週に(ヘル・)ウヴェは肩を痛めました。またテビタ(・タタフ)は手を負傷して、練習に参加していません」

フィジー代表スターティングメンバー

一方、フィジー代表メンバーは本稿執筆時点で未発表。

ただFW最多22キャップのHOサミュエル・マタヴェシや、低重心のランが強力なPRペニ・ラヴァイら、W杯出場濃厚な主力は登場するだろう。

そして来日メンバーで最多44キャップ、祖父がフィジー首都スバの元市長という司令塔、SOベン・ヴォラヴォラも出場濃厚。キックの名手でもあり警戒が必要だ。

一部主力が欠けていたサモア同様、フィジーも今回遠征メンバーに飛車角クラスがいないという印象は否めない。

世界最高峰のユーティリティBKであるセミ・ランドランドラ、センターにも対応する“最凶”弾丸ランナーのジョシュア・トゥイソバ。フォワードでは、ダイナミックなランが魅力の世界的バックロー、ヴィリアメ・マタも不在だ。

日本代表はW杯へ向け、2連勝を飾りたいところだ。

先週に引き続き、規律とタックル精度を維持しながら失点を抑える。前戦の課題だった「後半10分間」(NO8姫野和樹)のパフォーマンスについても注目したい。

膨らむのは期待か。それとも不安か――。W杯前の国内最終戦。期待が膨らむと信じ、今こそ大声援を桜の戦士たちに届けたい。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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