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サモア代表とワールドカップ前哨戦!札幌ドームは日本代表戦初開催。リポビタンDチャレンジカップ2023「パシフィックネーションズシリーズ」第1戦
ラグビーレポート by 多羅 正崇日本代表 vs. サモア代表
2023年9月8日開幕のラグビーワールドカップ(RWC)フランス大会へ向けて、国内5連戦に挑んでいる日本代表“BRAVE BLOSSOMS”。
7月22日(土)は、リポビタンDチャレンジカップ2023「パシフィックネーションズシリーズ」として、札幌ドーム(北海道)に世界ランキング12位のサモア代表を迎える。
今夏はここまでニュージーランド代表予備軍「オールブラックス・フィフティーン」に2連敗しており、世界ランク10位のジャパンとしては2023年の初勝利が欲しい状況だ。
日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、今週末のサモア戦について「ワールドカップへ向けたビルドアップの一つ」という認識を示した。
フォーカスポイントについては「先週の試合は満足する部分もありましたが、1対1のタックル、ターンオーバーで負けていました。そこは成長していかなければいけません」と話した。
先週は後半にタックルミス、ハンドリングエラーなどミスも目立ち、黒衣予備軍に27-41で敗戦。
ただジョセフHCは試合後「自分たちのラグビーができることが分かった。ミスをなくせばテストマッチで勝てる」と手応えも語っていた。
となれば、土曜日のサモア戦では、ミスをなくして勝利することを期待したくなるが、同時に指揮官は「やらなければならないことは止めてほしくない」とも話した。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
日本代表の攻撃面の強みは「スピードとスキルでスペースを狙うアグレッシブなアタッキングラグビー」(姫野和樹)だ。指揮官も先週の試合における「ボールを動かしてアタックする意志、やる気はあった」と一定の評価をしていた。
日本代表は今、RWCという大本番へ向けて戦術の遂行力を高めていく過渡期にある。だからこそ指揮官は、ミスを恐れて戦術遂行のチャレンジを止めてほしくない、と考えているようだ。
注目のサモア戦の日本代表メンバーが発表されており、先週から先発5人が変更された。
また共同主将はHO坂手とFL姫野和樹の帝京大学出身コンビとなった。
「坂手は2シーズンのキャプテン経験があり、チームをリードしてくれる存在。姫野は先週に良い仕事をしてくれた。(リザーブの)翔太(堀江)が坂手と途中交代した時は、姫野がグラウンドでリードしていくと思います」(ジョセフHC)
そしてサモア戦はテストマッチであり、シリーズ初のキャップ対象試合となる。
先発ではLOアマト・ファカタヴァ、WTBジョネ・ナイカブラ、そして途中出場すれば福井翔大、長田智希の計4人が記念すべき日本代表キャップを獲得する。
なおメンバー外のWTB木田晴斗について、ジョセフHCは記者質問に回答する形で「ウイルス感染で練習もできていない」と説明。浦安での怪我後、復帰したが再び脚を負傷していたという。
同じくメンバー外で怪我をしていたワーナー・ディアンズについては「パフォーマンスは戻ってきている。来週は希望が見えてくる」と次週以降の出場に含みを持たせた。
今週末に対峙するサモアは、3大会連続でRWC同組。フランス大会ではプールステージ第3戦で激突する(9月28日、トゥールーズ)。
対戦成績はサモアの11勝5敗。直近3試合は日本が3連勝しているが、決して侮ることはできない。今大会のサモアのポテンシャルは、過去最強レベルといってよいのではないだろうか。
サモアにとっての強烈な追い風は、22年1月に採用された代表資格のルール改正だ。
ある国の代表になって「最後の試合出場から36か月間以上経過」、また「代表資格変更を希望する国で出生」などの資格を満たせば、1度に限り代表変更の承認が受けられる。
この改正により今回、アメリカ代表32キャップの世界的PRティティ・ラモシテレ、オーストラリア代表26キャップのSOクリスチャン・リアリーファノらがサモア代表の戦列に参加。
有力なオールブラックス経験者もおり、今回の遠征に参加していない英ブリストルの主力6番スティーブン・ルアトゥア、江東BS入りするファンタジスタのSO/FBリマ・ソポアンガらだ。
今シリーズで対戦するサモア、トンガ、フィジーの3カ国について訊ねられた日本代表のリーチマイケルは「かなり強いです。過去10年でベストメンバー」と強い警戒感を示していた。
また昨年サモアはパシフィック・ネーションズカップ 2022で8年振りの優勝。オーストラリア代表A(セカンドチーム)、トンガ代表、フィジー代表に3連勝し、実績を積み重ねた。
さらに代表候補選手はトンガ選手と共に「モアナ・パシフィカ」を構成し、南半球最高峰「スーパーラグビー パシフィック」に参戦中。RWC2019のジャパン躍進を下支えしたサンウルブズ同様、チーム強化の土台も築いている。
サモア代表スターティングメンバー
注目のサモア代表メンバーが発表されている。
PRポール・アロエミールが主将を務め、4年前の日本戦に先発したPRジョーダン・レイらがFW第1列に並んだ。フォワードではワラターズの巨漢、198cmのFLタレニ・セウは要注意だろう。
注目のスタンドオフには、豊田自動織機やNTTコミュニケーションズでもプレーした、元豪州代表のSOリアリーファノが入った。
フランスのTOP14で活躍してきたセンターコンビは要警戒。ダンカン・パイアアウア(仏トゥーロン)と、ラ・ロシェルの準優勝に大きく貢献したウルパノ・ジュニア・セウテニだ。
日本代表のフォーカスポイントの一つは、引き続き浦安合宿からフォーカスしてきたタックルだ。イエロー・レッドカードを避けつつ、先週は後半に落ちたタックル精度、コネクションを80分間継続したい。
またフィジカリティに自信を持つサモアに対し、攻防局面のコリジョン(衝突)でも優位に立ちたい。
アタックでは、多彩なスキルを駆使してスペースを攻略する攻撃を続け、得点を重ね、登頂ルートに間違いナシという自信を深めたい。
キックオフは14時50分だ。今週土曜日が到達目標ではない事は承知している。しかし勝利するBRAVE BLOSSOMSの姿が見たい。ラグビー日本代表戦初開催の札幌ドームで、日本代表は、私たちは、快哉を叫ぶことができるか。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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