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ラグビー コラム 2023年7月18日

【ハイライト動画あり】「夏のセブンズ」王者は佐賀工業。「春の選抜」王者・桐蔭学園を破り初優勝。全国高校7人制ラグビー大会

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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初優勝の佐賀工業

オリンピックに向けた強化策の1つとして、今年も「全国高校7人制ラグビー大会」が、今年も長野・菅平高原にあるサニアパークで7月15日(土)~17日(月・祝)に開催された。

全国の予選を勝ち抜いた47都道府県代表校と、昨年の優勝校である報徳学園(兵庫)の48校が参加。3チームずつ16のプールで予選を行い、カップ(予選プール1位チーム)、プレート(2位チーム)、ボウル(3位チーム)の各トーナメント戦を行い、それぞれ勝者を決める。つまり、カップトーナメント優勝が夏の王者となる。

7月15日(土)には3校ずつA~Pの16のプールに分かれて2試合ずつ行われた。プールAは常翔学園(大阪)、Bは静岡聖光学院(静岡)が競り勝ち、Cは天理(奈良)、Dはディフェンディングチャンピオンの報徳学園(兵庫)、Eは春の選抜大会王者である桐蔭学園(神奈川)、Fは流通経済大柏(千葉)、Gは初出場の高川学園(山口)、Hは國學院栃木(栃木)がカップトーナメントに進出。

さらにIは佐賀工業(佐賀)、Jは岐阜工業(岐阜)、Kは札幌山の手(北海道)、Lは早稲田実業(東京)、Mは関西学院(兵庫)、Nは名護(沖縄)、Oは開志国際(新潟)が尾道(広島)と京都工学院(京都)を下し、Pは茗渓学園(茨城)が3回の最多優勝の東福岡(福岡)と引き分けたが、総トライ数差によりカップトーナメントへ駒を進めた。

7月16日(日)はそれぞれトーナメントが行われて、カップトーナメントの1回戦・2回戦は下記のような結果になり、ベスト4が出揃った。

【カップトーナメント】

◆1回戦
常翔学園 29-7 静岡聖光学院
天理 14-40 報徳学園
桐蔭学園 22-7 流通経済大柏
高川学園 5-47 國學院栃木

佐賀工業 56-5 岐阜工業
札幌山の手 0-29 早稲田実業
関西学院 15-7 名護
開志国際 0-54 茗渓学園

◆2回戦
常翔学園 19-26 報徳学園
桐蔭学園 26-17 國學院栃木
佐賀工業 36-7 早稲田実業
関西学院 7-45 茗溪学園

全国高校7人制ラグビー大会2023カップトーナメント決勝

【ハイライト】佐賀工業(佐賀)vs. 桐蔭学園(神奈川)

そして7月17日(月)の大会最終日、まずカップトーナメント準決勝が2試合行われた。連覇を目指す報徳学園と、春との2冠がかかった桐蔭学園の対戦は、報徳学園が10-0とリードしたが、桐蔭学園が反撃し12-17と5点差に縮めて折り返す。そして後半の最後に桐蔭学園が2トライを重ねて29-24で逆転勝利を収めた。

続いてともに初の決勝進出を狙った佐賀工業vs.茗渓学園が行われた。前半は2トライを挙げた茗渓学園が10-7とリードして折り返した。後半、フィジカル勝負に出た佐賀工業が2トライと1PG(ペナルティゴール)を重ね、20-17と逆転勝利を収めた。

佐賀工業が初の高校日本一のタイトル

決勝戦は桐蔭学園vs.佐賀工業となり、前半から佐賀工業の服部亮太、井上達木、キャプテン大和哲将(いずれも3年)がトライを重ね、19-7とリードして折り返した。後半も佐賀工業は攻め手を緩めず、2トライを挙げて31-14で勝利を収めた。佐賀工業は今大会初優勝、また公立高校としても初の栄冠とともに、佐賀県勢として初の高校日本一に輝いた。

◆準決勝
報徳学園 24-29 桐蔭学園
佐賀工業 20-17 茗渓学園

◆決勝
桐蔭学園 14-31 佐賀工業

佐賀工業の枝吉巨樹監督は「(タイトルが取れて)本当に良かった。選手たちもめちゃくちゃ頑張ってくれた。選手たちは優勝目指して地元でも練習頑張っていたし、キャプテンの大和(哲将)がちょっと足首をケガをしていたからこそ、その分チームがまとまってくれたのが、すごく良かったと思う」と振り返った。

キャプテンの大和は「チームメイト、1人1人が自分がヒーローになろうとせずにチームに徹したからこそ、この結果だと思うので、これからも花園に向けてチームになって日本一を目指したいと思います」と先を見据えた。

プレートトーナメント決勝は石見智翠館が東福岡に勝利

プール戦2位チーム同士によるプレートトーナメントは石見智翠館(島根)が東福岡に28-26で競り勝ち、3位チーム同士によるボウルトーナメントは尾道(広島)が秋田工業を36-0で下して優勝を飾った。

各トーナメントのMVPと岩渕専務理事

大会の最後に表彰式が行われ、それぞれのトーナメントのMVPが優勝校から選ばれた。カップトーナメントは服部亮太(佐賀工業)、プレートトーナメントは加島優陽(石見智翠館)、ボウルトーナメントは百田桔平(尾道)が受賞した。

カップトーナメントMVPの服部亮太(佐賀工業)

決勝でも先制トライを挙げるなど、カップトーナメントのMVPに輝いた服部は「みんなが自分にボールを回してくれたり、自分が走りやすくしてくれたりなど、チームメイトの人たちが動いてくれたので、ありがたく思っています。自分はないだろうと思ったが、MVPと言われてびっくりしました」と破顔した。

こうして10回目の高校生セブンズは佐賀工業の初優勝で幕を閉じ、関西学院が初出場ながら6位、高川学園が初出場ながら14位に入るなど新たな力の躍動も感じられる大会にもなった。高校生ラガーマンたちはこれから7人制から15人制にシフトチェンジし、夏合宿や国体を経て、冬の花園に向かって準備を進めていく。

秋田工業OB会の強化部長、元日本代表の吉田義人さんの姿も

【予選プール結果】

◆プールA:常翔学園(カップトーナメント進出)
常翔学園 35-19 石見智翠館
常翔学園 19-12 黒沢尻工業
石見智翠館 47-0 黒沢尻工業

◆プールB:静岡聖光学院
静岡聖光学院 28-10 秋田工業
静岡聖光学院 26-24 松山聖陵
松山聖陵 26-7 秋田工業

◆プールC:天理
天理 21-19 倉敷
天理 31-7 仙台育英
倉敷 29-19 仙台育英

◆プールD:報徳学園
報徳学園 26-14 鹿児島実業
報徳学園 40-0 青森山田
鹿児島実業 29-32 青森山田

◆プールE:桐蔭学園
桐蔭学園 35-10 中部大学春日丘
桐蔭学園 53-0 熊本西
中部大学春日丘 55-7 熊本西

◆プールF:流通経済大柏
流通経済大柏 24-5 日本航空石川
流通経済大柏 41-5 高鍋
日本航空石川 17-17 高鍋

◆プールG:高川学園
高川学園 31-19 光泉カトリック
高川学園 35-7 日川
光泉カトリック 26-19 日川

◆プールH:國學院栃木
國學院栃木 35-0 大分東明
國學院栃木 50-0 飯田OIDE長姫
大分東明 48-0 飯田OIDE長姫

◆プールI:佐賀工業
佐賀工業 54-0 倉吉東
佐賀工業 77-0 山形中央
山形中央 22-7 倉吉東

◆プールJ:岐阜工業
岐阜工業 14-12 明和県央
岐阜工業 24-7 高松北
明和県央 52-14 高松北

◆プールK:札幌山の手
札幌山の手 47-0 若狭東
札幌山の手 38-7 高知中央
高知中央 31-7 若狭東

◆プールL:早稲田実業
早稲田実業 33-24 長崎南山
早稲田実業 41-0 熊野
長崎南山 46-5 熊野

◆プールM:関西学院
関西学院 33-12 城東
関西学院 35-21 川越東
城東 19-22 川越東

◆プールN:名護
名護 31-12 富山第一
名護 28-24 磐城
富山第一 33-26 磐城

◆プールO:開志国際
開志国際 26-7 尾道
開志国際 19-12 京都工学院
京都工学院 29-10 尾道

◆プールP:茗渓学園
茗渓学園 21-21 東福岡 
茗溪学園 64-10 四日市工業
東福岡 54-0 四日市工業
※総トライ数差で茗渓学園がカップトーナメントへ進出

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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