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ワールドカップまで残る試合機会はあと「5」。日本代表がいかに初戦の課題を修正し、王国の才能集団に挑むか。対オールブラックスXV第2戦展望
ラグビーレポート by 直江 光信
2か月後に迫ったラグビーワールドカップ2023フランス大会に向けはずみをつける上での大切な試練だ。選手にとっては、ワールドカップスコッドの最終選考を通過するためにみずからの力を証明する残り少ないアピールの場でもある。
7月15日、ニュージーランド代表オールブラックスの予備軍に位置づけられるAll Blacks XV(オールブラックスフィフティーン)との第2戦が、熊本県のえがお健康スタジアムで行われる(18時05分キックオフ)。相手が正式な国代表ではないためキャップ対象試合ではないものの、オールブラックス昇格に燃えるラグビー王国の精鋭たちとの真剣勝負は、日本代表にとって絶好のチャレンジといっていい。ワールドカップで着用する新デザインのジャージーで臨む最初の試合ということもあり、JAPAN XVとして戦った7月8日の初戦(●6-38)以上に多くの視線が注がれる一戦となりそうだ。
日本代表スターティングメンバー
キックオフ2日前に発表された登録メンバーを見ると、日本代表は1週前のスターティングラインアップから7人を入れ替えた。大きく変わったのはFWで、第1列は左PR稲垣啓太、HO堀江翔太、右PR具智元という2019年大会で活躍したおなじみの3人にチェンジ。左FLにジャック・コーネルセン、NO8には姫野和樹が、それぞれリザーブから繰り上がった。ジェームス・ムーア、アマト・ファカタヴァの両LOと、第1戦で鮮烈なデビューを飾ったFL福井翔大の3人は、前週に続きスターターでの出場となる。
一方BKで新たにメンバー入りしたのは、SO李承信とCTB中村亮土の2人。SH齋藤直人、セミシ・マシレワとジョネ・ナイカブラの両WTB、CTBディラン・ライリー、FB松島幸太朗は2週連続の先発だ。プレーメイクの軸となる10番、12番が変わったことで、ラインアタックがどう変化するかが注目される。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
リザーブには昨季の日本代表でキャプテンを務めたHO坂手淳史に、PRヴァルアサエリ愛とLOヘルウヴェが新しく名を連ねた。前週スタメンのPRクレイグ・ミラー、FLリーチマイケル、SO松田力也は控えに回り、SH流大、CTB長田智希とともにベンチから出番を待つ。なおゲームキャプテンは姫野と坂手の2人が共同で担うこととなった。
All Blacks XV スターティングメンバー
対するオールブラックスXVの前週からのスタメン変更も同じく7人。FWでは左PRエイデン・ロスとHOジョージ・ベル、7番のビリー・ハーモン、NO8ピタ・ガス・ソワクラがスターターでの登場となり、BKはメンバー外だったジョナ・ナレキ、AJ・ラムの両WTBとアウトサイドCTBのビリー・プロクターに出場機会が与えられた。
登録23人のうちキャップホルダーはPRロス、PRジャーメイン・アインスリー(オーストラリア代表)、FLアキラ・イオアネ、NO8ソワクラ、SHブラッド・ウェバー、SOスティーヴン・ペロフェタ、CTBジャック・グッドヒュー、リザーブのSHフォラウ・ファカタヴァの8人。第1戦で貫禄を見せたイオアネ、ウェバー、グッドヒューら経験豊かな実力者にとっては、ワールドカップメンバー入りをかけた重要なテストとなりそうだ。ゲームキャプテンはSHウェバーと20番のFL/NO8クリスチャン・リオ=ウィリーが務める。
試合の見どころとしては、第1戦でオールブラックスXVの分厚い壁のような防御網を崩せずノートライに終わった日本代表が、いかにアタック面を立て直してくるかがひとつのポイントになる。ハイプレッシャーの実戦をこなしたことで、一体感とスピードあふれる本来の緻密なコンビネーションが戻ってくることを期待したい。
ディフェンスでは相手を押し返すドミネートタックルがたびたび見られるなど、過酷な浦安合宿の成果を感じさせる部分も随所にあった。ただ疲労が蓄積してくる後半20分以降に足が止まり、立て続けにトライを許した点は明確な反省材料だ。オールブラックスXVもツアー2戦目でさらにパフォーマンスを上げてくることが予想される中、最後まで集中力を維持し精度高く守り続けることが、勝利へのカギになるだろう。
9月8日開幕のワールドカップまでに残された実戦の機会は、このゲームを合わせてあと「5」。来週から始まるパシフィックネーションズシリーズ以降の4戦はすべてテストマッチで、その中にはワールドカップのプールマッチで対峙するサモアとの一戦も含まれる(7月22日14時50分キックオフ@札幌ドーム)。いよいよ本番が間近に迫ってきたことを感じる雰囲気の中、日本代表の仕上がり具合を注視したい。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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