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関西リーグ3連覇、そしてチームの悲願である日本一の旗を必ずつかみ取る。そう宣言するような気迫みなぎるパフォーマンスで、京都産業大学が関西大学春季トーナメントを制した。
気温30度を超える猛暑の中、この日の京産は立ち上がりからエンジン全開でたたみかけた。開始5分にルーキーのSH高木城治がゴールやや左のPGを決めて先制すると、6分にはFLテビタ・ポレオが自陣でのキックレシーブから鋭い走りで相手ディフェンダーと入れ替わるようにラインブレイク。外をサポートしたWTB松岡大河が右中間へ駆け抜ける。
5月28日の準決勝で天理大を41-33で破り2季ぶりに決勝に進出した同志社大も、13分にFB村岡麟太郎のPGで3点を返したが、京産は接点で厳しく体を当ててプレッシャーをかけ続け、主導権を掌握。23分には中盤でのSHのボックスキックを追ったFB辻野隼大がこぼれ球を足にかけ、そのまま左中間に押さえる。ゴール成功で15-3とリードを広げた。
これ以上離されたくない同志社は26分、身上のスピーディーな連続攻撃で相手防御を崩し切り、SO嘉納一千のピンポイントのキックパスを受けたFL鈴木崇敏が左コーナーにフィニッシュ。持ち味を存分に生かした見事なトライで勢いに乗るかと思われたが、京産はここからがたくましかった。
32分、ラインアウト起点のアタックでテンポよくフェーズを重ねてゴールラインに迫り、最後はSH高木がラックサイドをもぐってグラウンディング。これでワンチャンスでは追いつけない点差までスコアを拡大すると、PGを加えた後の40分にはハイボールに競り勝ったWTB西浩斗がそのまま約40メートルを走り切る。直後のピンチも粘り強いディフェンスでしのぎ、30-8で前半を折り返した。
後半、先に得点を挙げたのは同志社だった。キックオフ直後からキレのいい攻撃でリズムを生み出し、50分にCTB岡野喬吾がインゴールを陥れる。SO嘉納のコンバージョンも決まり、スコアは15-30に縮まった。
2023年度ラグビー関西大学 春季トーナメント 決勝戦
【ハイライト動画】京都産業大学 vs. 同志社大学
流れが傾くかに思われた場面だったが、京産は直後のスクラムでプレッシャーをかけてペナルティを奪い、PGを追加。伝統の強みを生かして相手の勢いを寸断すると、65分には流れるようなアタックからFB辻野がラックサイドをきれいに抜け出し、この日自身2本目のトライをマークする。
攻めの姿勢を維持する京産は、68分にも途中出場のWTBナブラギ・エロニのパワフルなボールキャリーで突破口を開き、CTB高井良成がタックラーを引きずりながらポスト左にトライ。さらに終了間際の83分にはNO8シオネ・ポルテレの突進からチャンスを作り、オフロードを受けたWTB西がゴールラインを越える。最終的には54-15までスコアを伸ばして、フルタイムを迎えた。
京産の春季トーナメント優勝は2年連続4回目で、単独優勝は2017年度以来6季ぶり2回目(2016年、2022年は天理と両校優勝)。決勝での54得点は2019年度の天理54-12京産に並ぶ史上最多で、39点差もその年に次ぐ歴代2位の数字となった。あらためて、今季のチームのポテンシャルを証明した試合といえるだろう。
ゲームを通して目を引いたのは、攻守にわたる一人ひとりの前に出る意識の高さだ。点差が開いた後も緩むことなく圧力をかけ続け、相手につけ入る隙を与えなかったところにも、充実ぶりは表れていた。今年も関西を牽引する存在であることに疑いはなく、覇権争いの有力候補として全国から多くの視線が注がれるシーズンとなりそうだ。
敗れた同志社も果敢なアタックで多くの見せ場を作るなど、随所に非凡な潜在力を示した。スピードとスキルは間違いなく全国レベルだけに、ゲインラインバトルで一歩を引かないためのフィジカル強化が、今後の最重要テーマだろう。試練の夏を越え、たくましく成長した姿を披露してくれることを楽しみにしたい。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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