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ハードな浦安合宿を打ち上げ
9月8日に開幕するラグビーワールドカップに向け、6月12日から3週間、千葉・浦安で強化合宿を行っていたラグビー日本代表。29日には選手をリフレッシュし休ませるため、当初の予定より1日早めて合宿を終了した。
浦安合宿を終えるにあたり藤井雄一郎NTD(ナショナル・チーム・ディレクター)が報道陣の取材に対応した。
まず日本代表36名、代表候補10名の46名(※代表候補のうち2名はコンディション都合などによりまったく参加しなかった)で行っていた浦安合宿を振り返って藤井NTDは、「初日からかなり厳しい内容だった。ケガ人が少し出たが戻ってきて、この3週間良かった。身体もかなり痛かったと思うが、選手はみんなよく頑張った」と振り返った。
コンバットトレーニングを終えた選手たち
オールブラックス、イングランド代表などと対戦した昨秋のテストマッチシリーズの反省、そしてワールドカップ本番で対戦するフィジカルの強いイングランド代表、アルゼンチン代表などとの戦いを想定し、柔術家であり、15人制だけでなく13人制のリーグラグビーでタックル指導の実績のあるジョン・ドネヒュー スポットコーチを招聘して、2週間、毎日1時間、「地獄」「高校時代よりきつい」「過去一きつい」と選手たちが声を揃えたハードなコンバットトレーニングを行った。
トップリーグの指揮官も経験している藤井NTDは「僕も長い間見ているが、2週間はかなり過酷だったんじゃないか。タックル練習をやってもディフェンスで成果が出ている場面が多く見られる。疲れが取れたらいい試合をするんじゃないか。しっかりスクエアに立てているとか、相手を押し込むとか、ミスタックルは減っているし、2人でタックル入れているし、レフリーに来てもらっていて反則も減っている」と目を細めた
コンバットトレーニングでケガをした福井翔大
また、コンバットトレーニングに時間を割いた背景には当然、フィジカルだけでなく、メンタル面でも『追い込む』ことでリーグワンからインターナショナルレベルに上げることも目標にしている。
藤井NTDは「あの練習をすべてこなした選手と、していない選手ではグラウンドの中でも少し違っているので、乗り越えた選手は結構、成長できている。オールブラックスXV戦はスーパーラグビー経験者ばかり出てくるので、どのくらいフィジカル上がっているかわかる」と満足げに振り返った。
今回の合宿では新しい選手や、しばらく代表に参加していなかった選手もおり、フィジカルトレーニングだけでなく、当然、攻守に渡る戦術の確認も行った。
7月からの宮崎合宿では5週連続、試合が組まれているため、藤井NTDは「ゲームウィークに入っていくので、オールブラックスXVの1戦目はそこまで(練習強度を)落とさないかもしれないが、2戦目からはワールドカップと同じです」。
「(オールブラックスXVとの)2戦目は日本代表として戦っていくので、メンバーは変わっていく。浦安合宿で土台がしっかりできたと思うので、宮崎合宿では戦術とか戦略を組み込んで、ピッチに立っている15人が、グラウンドで体現できるようにコーチングしていきたい」と先を見据えた。
現在、日本代表36名、代表候補が10名発表されており、8月中旬に発表される予定のワールドカップの最終スコッドは33名(前回大会より3人増えた)だ。
練習はファンに公開された
藤井NTDが「ケガの具合もありますが、(46名の中で)5~6名がチームを離れる予定で、少し(スコッドを)小さくして試合に臨んでいく」と話すように、宮崎合宿は40名前後で行う。もし、ケガ人が出た場合はチームから離れている選手が合流する予定だが、試合を行いながら徐々にコーチ陣の頭の中では選手数を絞っていくことが想定される。
気になる日本代表チームのキャプテン人事だが、共同キャプテンとなる見込みだ。藤井NTDは「正式に発表できる時になったら発表する。チーム内では(誰がキャプテンか)やっている。本人たちはわかっています」と話すにとどめた。
藤井NTDが「(新しい選手で既存のメンバーに割り込んでいる選手は)もちろんいます。(オールブラックスXVの)1戦目は徐々にテストマッチに近づけて、その後、ワールドカップに向けてメンバー絞っていく」と話す通り、ポジション争い、そして最終スコッドへの競争は本格的に始まっている。
7月3日以降は、ワールドカップ本番を想定し、宮崎をベースキャンプに各試合会場に入って強化試合、テストマッチを行って強化を進めていく。代表の軸となっている選手は存在感あるプレーを、そしてノンキャップ、しばらく代表から離れていた選手は少ないチャンスで大きなアピールする必要がありそうだ。
【ラグビー日本代表 7・8月の試合日程】
◆7月8日(土)秩父宮ラグビー場(東京)
・JAPAN XV vs. All Blacks XV(オールブラックス・フィフティーン)
◆7月15日(土)えがお健康スタジアム(熊本)
・日本代表 vs. All Blacks XV
◆7月22日(土)札幌ドーム(北海道)
・日本代表 vs. サモア代表 ※パシフィックネーションズシリーズ
◆7月29日(土)大阪市花園ラグビー場(大阪)
・日本代表 vs. トンガ代表 ※パシフィックネーションズシリーズ
◆8月5日(土)秩父宮ラグビー場(東京)
・日本代表 vs. フィジー代表 ※パシフィックネーションズシリーズ
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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