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ラグビー コラム 2023年6月26日

【ハイライト動画あり】帝京大学、圧巻の優勝。早稲田大学から60得点快勝。関東大学春季大会Aグループ最終週

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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奥井章仁(帝京大学)

衝撃を残した。

「春にタイトルを獲れて、誇りに思います」(帝京大学・HO江良颯キャプテン)

破壊的なスクラム。活動量の落ちないディフェンス。前戦(東海大学戦)トライ量産の起点になったモールは使わず、連続攻撃で大量得点…。

大学3連覇を狙う帝京大学は、今年も強い。

帝京大は昨季大学選手権決勝で73-20で降した早稲田大学と、関東大学春季大会(Aグループ)の最終戦で、約半年ぶりに激突。60-21で快勝し、優勝を決めた。

埼玉・熊谷ラグビー場に登場した真紅のジャージーは、まず武器のスクラムで赤黒ジャージーを押し込んだ。

帝京大FWの合計体重は、早稲田大の819キロに対し、45キロ重たい864キロ。まず前半3分、2度目のスクラムで、帝京大はスクラム・コラプシングを引き出す。

完全無欠ではない。帝京大はフェーズ攻撃などでミスが目立った。序盤の敵陣侵入直後には2連続のミス(スローフォワード、ノットストレート)。

それでも、その敵陣で2連続のスクラム・ターンオーバー。ミスをしてもスクラムで帳消しにする展開で、早稲田大を自陣に押し込めた。

そして敵陣22m内で連続攻撃。早稲田大もFL田中勇成、LO細川大斗、PR門脇浩志らが鋭いロータックルを放つ。しかし最後は帝京大HO江良主将がフラットに走り込み、開始8分、先制トライを奪取した。

早稲田大は、さらに1トライを追加されて12点ビハインド。LO池本大喜がブレイクダウンでファイトして攻守交代を起こすが、PKのタッチキックでミス。巡ってきたチャンスを活かせない。

この日帝京大は、東海大戦で効果的だったラインアウトモールではなくフェーズ攻撃を多用。前半19分にも敵陣ラインアウトから展開。1対1のタックルをLO本橋拓馬が外し、3連続トライを沈めた。

帝京大は集散でも勝っていた。

前半26分には決定的なビッグゲインを許したものの、無尽蔵のスタミナで走りまくるFL奥井章仁がジャッカル成功。直後の相手モールも防いで、守備の堅調ぶりを見せつける。

ラグビー関東大学春季交流大会2023 Aグループ

【ハイライト動画】帝京大学 vs. 早稲田大学

自陣から攻める選択をした早稲田大に対しては、ハンドリングエラーから速攻。細かなスキルが精密なFB小村真也が前半36分、スワーブでインゴールへ駆け込んだ。

さらにFB小村は前半終了前にもハイパントに競り合い、ボールの再獲得を演出。SO井上が飛び出してきた相手守備の切れ目を突き、怒濤の5連続トライ。帝京大が前半を33-0で終えた。

前半は防戦一方だった早稲田大。

後半に入るとスクラム早々にFB久富連太郎がラインブレイクを生む。帝京大は失点危機だったが、ここでタックラーとしても有能な4年生SO井上陽公が追いすがりタックル。すぐに3年生FL青木恵斗がジャッカルを決め、分厚い守備網を堅持する。

しかし後半最初にスコアを動かしたのは早稲田大だ。

ラッシュした守備から、相手がギャンブル的なパスを選択。これがパスミスとなり拾ったWTB杉野駿太がインゴールまで独走トライ。スコアは7-33となった。

そしてここから一気に反撃、とはならなかった。

2分後には帝京大が後半初得点。早稲田大は自陣22m内でのボールセキュリティができず、パスアウトが乱れる。キックで自陣脱出ができずランを選択。ターンオーバーの展開から、帝京大HO江良主将が6本目を左隅に決めた。

この日の早稲田大は、意思統一のないプレー選択から逆襲を受けるシーンが散見された。

高本とむ(帝京大学)

後半15分のキックカウンターもその一つだ。SO伊藤がスペースへキックを放つが、チェイスが少ない。直後にカウンターを許し、WTB高本とむがフィニッシュ。

直後にもキックカウンターで相手FWの正面でクラッシュしてしまい、ターンオーバーを許す。直後に数的優位をつくられ、後半3連続トライを浴びた。

後半25分にはSH宮尾昌典がステップを切った直後にうずくまり、途中交代するアクシデント。タップのクイックリスタートからHO佐藤健次が後半27分に2トライ目を返したが、大勢は変わらず。さらに2トライを追加され、スコアは60-14に広がった。

早稲田大は後半43分にショートキックの再獲得からFB久富がチーム3本目を奪ったが、万事休す。早稲田大は2敗目(3勝)を喫し、Aグループ3位でフィニッシュとなった。

60-21で快勝した帝京大は4勝目。挑戦者にしてみればせめて油断、慢心してほしいが、王者はアティチュード(態度)も王者だ。決して緩まず、この試合は前後半で5トライずつを奪った。

勝点は22で明治大学と並んだが、4試合で60得点以上、失点は21点以下という総得失点差で明治大を上回り、春季大会の覇者となった。

帝京大のHO江良主将は春の載冠を喜びつつも、「成長する部分はたくさんある」と反省。リンクプレーの精度、ラインアウトのディフェンスなど成長領域はありそうだ。春の4試合はすべて大勝であり、接戦の経験も欲しいところだ。

今後は、今大会台風による試合中止で対戦できなかった明治大学、そして西の強敵との対戦も楽しみ。2024年の新春まで、残り約半年。ここからどれだけ伸びるか。頂点を目指す戦いはいよいよ本格化していく。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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