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Aブロックを制した桐蔭学園
春の関東王者を決める「第71回関東高等学校ラグビーフットボール大会」が,
6月10日(土)11日(日)、東京・府中市と調布市の3会場で行われた。東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、群馬、茨城、山梨の各都県の予選を勝ち抜いた28チームが、AからGブロックに分かれてトーナメントを戦い、それぞれのブロックで優勝を決めた。
実質的な関東王者を決めるAブロックは東京王者の早稲田実業(東京)vs.春の選抜を制した桐蔭学園(神奈川)、昨季の関東王者・流通経済大柏(千葉)vs.選抜ベスト4の國學院栃木(栃木)の激突となった。
1日目、早稲田実業が桐蔭学園に挑み、NO8(ナンバーエイト)福島颯太(3年)らが2トライを挙げたが、攻守に勝る桐蔭学園はWTB(ウイング)古賀龍人(2年)の2トライを含む7トライを挙げて43-14で勝利した。流通経済大柏と國學院栃木は互いに譲らない大接戦となったが、國學院栃木はCTB(センター)西本壮(3年)が決めたPG(ペナルティゴール)の差で、10-7で勝利した。
FW戦で前に出る桐蔭学園
決勝は関東新人、選抜大会準決勝と同じ桐蔭学園vs.國學院栃木のカードとなった。関東新人は47-0、選抜大会は51-7と、FW(フォワード)の圧力に勝る桐蔭学園が快勝した。今季3度目の対戦では國學院栃木が、桐蔭学園の強力FWに対して、どこまでその差を縮めることができるのかが焦点となった。
直前まで雨が降っていた府中市・府中朝日フットボール場で「さあ、行こうか、國栃!」と気合いを入れた國學院栃木のボールで、午後3;30にキックオフされた。まず、國學院栃木は相手のミスを誘い、キャプテンSH(スクラムハーフ)小倉光希矢(3年)、SO(スタンドオフ)神尾樹凛(2年)を中心にボールを動かすが、得点を奪うことができない。
先制トライを挙げた桐蔭学園PR前田
その後は一進一退の攻防が続き、桐蔭学園が相手のノックオンから敵陣に攻め込む。13分、ラインアウトからのモールを押し込むことはできなかったが、ラックからPR(プロップ)前田麟太朗(3年)が味方のフォローもあり、力強さを見せて右中間に押さえてトライ。FB(フルバック)吉田晃己(3年)がゴールを決めて7-0と先制に成功する。
2023年度 第71回関東高等学校ラグビーフットボール大会
【ハイライト動画】Aブロック決勝 桐蔭学園 vs. 國學院栃木
その後、再びピンチを迎えた國學院栃木だったが、粘りのディフェンスを見せた後、CTB福田正武(3年)のラインブレイクで相手陣に攻め込む。そして21分、モールを押し込んで相手ディフェンスを寄せた後、ロングパス2本を通し、右サイドのWTB永沢拓夢(2年)がトライ。CTB西本のゴールも決まり7-7の同点に追いついた。
モールから決勝トライを挙げる桐蔭学園HO川口
そのまま7-7でハーフタイムを迎えた後半、先に得点を挙げたのはFWの圧力で勝る桐蔭学園だった。後半5分、相手陣奥で得たラインアウトからモールを形成、最後はHO(フッカー)川口翔大(3年)が押し込んで14-7とリードした。結果的に、決勝トライを挙げた川口は「PRも井吹(勇吾/3年)と前田が押してくれたおかげ」と仲間を称えた。
その後は「負けましたが、前向きに捉えられる内容だった。2度対戦していたので、分析の下、ディフェンスの練習を積んできた」と吉岡航太郎コーチが話したように、國學院栃木はディフェンス面で崩れず、相手陣でアタックする時間もあったが、マイボールラインアウトがなかなか取れずに得点を挙げることができなかった。
結局、関東新人、春の選抜大会に続いて桐蔭学園が14-7で接戦を制し、4年ぶりに関東大会の王者に輝いた。敗戦した國學院栃木も、過去2戦の大敗から比べれば大きな成長の後を見せて自信を得た試合になった。
敗戦したが大きな成長を見せた國學院栃木
惜しくも負けた國學院栃木の吉岡肇監督は「ワンプレーワンプレーに応援の拍手もあり、全員の一体感があった。桐蔭学園戦は3試合、ラインアウトで喧嘩になっていないところが課題ですね。桐蔭学園がダントツだったので、面白くなってくれればいいな、と。たくましくなった。いい経験になった」と笑顔で振り返った。
キャプテンSH小倉は「関東新人、選抜とも50点差くらいで負けてしまったので、桐蔭学園にチャレンジして、どれだけ差が縮められるかという大会だった。手応えはありました。もう一度、細かいところを修正したい。花園で優勝を目標にしているので、花園で勝てるように頑張りたい」と前を向いた。
FWの近場で奮闘した國學院栃木
優勝した桐蔭学園の藤原秀之監督は、「前半はキック処理、後半は自滅でしたね。唯一負けなかったことが財産です。課題はいろいろありますが、昨日も今日もハーフ団のゲームコントロールが悪かった。もう少し2年生も見たい」と厳しい表情で話した。
キャプテンのNO8城央祐(3年)は「僕が試合を崩してしまった。ハイパント(キャッチ)、サポートのところで役目を果たせなかった。なんとかギリギリ(勝てた)が、自分たちのやることがハッキリできていなかった。昨日もそうだったように、チームがばたついてしまった。できていないことが多かったが、それを修正すれば…」と反省しきりだった。
CTB白井瑛人(3年)は「雨の日にどれだけ優位に進めることができるかというゲームメイクに甘さがあった。ハーフ団だけでなく、BK(バックス)全員がゲームをコントロールしてくれば、いいチームになってくるのでは」と話した。
Bブロックは茗渓学園が優勝
なお、Bブロックは茗渓学園(茨城)、Cブロックは東海大相模(神奈川)が制した。それ以外のブロックは下記の通りの結果となった。高校ラガーたちは初夏のセブンズに向けて7人制ラグビーをプレーしつつ、夏合宿でさらなる強化を経て、秋の花園予選へ向かっていく。
◆Aブロック
1日目
早稲田実業(東京)14-43 桐蔭学園(神奈川)
流通経済大学付属柏(千葉)7-10 國學院大學栃木(栃木)
2日目
桐蔭学園(神奈川)14-7 國學院大學栃木(栃木)
流通経済大学付属柏(千葉)10-0 早稲田実業(東京)
◆Bブロック
1日目
茗渓学園(茨城)42-7 明和県央(群馬)
川越東(埼玉)21-42 山梨学院(山梨)
2日目
茗渓学園(茨城)26-0 山梨学院(山梨)
明和県央(群馬)5-24 川越東(埼玉)
◆Cブロック
1日目
清真学園(茨城)7-14 東海大学相模(神奈川)
目黒学院(東京)40-0 昌平(埼玉)
2日目
東海大学相模(神奈川)23-0 目黒学院(東京)
清真学園(茨城)17-12 昌平(埼玉)
◆Dブロック
1日目
専修大学松戸(千葉)24-24 日川(山梨)
※トライ数差により日川が決勝へ
慶應義塾(神奈川)8-19 國學院久我山(東京)
2日目
日川(山梨)0-66 國學院久我山(東京)
専修大学松戸(千葉)0-38 慶應義塾(神奈川)
◆Eブロック
1日目
法政大学第二(神奈川)40-17 慶應義塾志木(埼玉)
東京(東京)22-0 東海大学付属浦安(千葉)
2日目
法政大学第二(神奈川)19-19 東京(東京)
慶應義塾志木(埼玉)17-7 東海大学付属浦安(千葉)
◆Fブロック
1日目
日本大学明誠(山梨)14-50 成城学園(東京)
東京農業大学第二(群馬)5-29 深谷(埼玉)
2日目
成城学園(東京)19-12 深谷(埼玉)
日本大学明誠(山梨)10-31 東京農業大学第二(群馬)
◆Gブロック
1日目
東京朝鮮中高級学校(東京)41-10 茨城合同(日立一・太田一・磯原郷英)
本郷(東京)50-0 作新学院(栃木)
2日目
東京朝鮮中高級学校(東京)15-14 本郷(東京)
茨城合同(日立一・太田一・磯原郷英)17-10 作新学院(栃木)
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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