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写真提供:東芝ブレイブルーパス東京
6月7日(水)、ラグビー日本代表に選ばれ、来週から合宿に参加する東芝ブレイブルーパス東京の所属4選手がオンラインで会見を行った。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
登壇したのは初代表のCTB(センター)ニコラス・マクカラン、決定力の高いWTB(ウイング)ジョネ・ナイカブラ、21歳ながらチームの中軸として成長したLO(ロック)ワーナー・ディアンズ、そして4度目のワールドカップを狙う代表の精神的支柱、FL(フランカー)/NO8(ナンバーエイト)リーチ マイケルの4人だ。
ニコラス・マクカラン(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)
◆ニコラス・マクカラン「日本代表選出に驚いた」
まず、初の日本代表入りを果たしたマクカランは「(日本代表に入って)驚きました。ワールドカップイヤーだったので、新しい選手を取ることはないと思っていた。ワールドカップに行ける可能性があって、ワクワクしている。すごくいいチャンスだと思うし、ベストの中のベストとプレーできてうれしい。パスのスキル、フットワークで違いもたらせることができる。ディフェンス面で圧倒するところが課題」と興奮した表情で話した。
兄のFLブロディ・マクカラン(リコーブラックラムズ東京)がいたため、帝京大学に進学したというマクカラン。名CTBだったコンラッド・スミスに憧れ、子どもの頃はオールブラックスになりたかったという。その気持ちが変わったのは、「帝京大学(1年)で大学選手権優勝した時あたりから」だという。マクカランは「本当にファンもよくしてくれて、日本でプレーすることが気に入った。よく思うようになっていった」という。
初の日本代表合宿となるが、「パスで展開する方なので、自分に合うと思う。チームメイトもよくしてくれているし、プレーできればワクワクする機会になると思う」と前を向いた。
ジョネ・ナイカブラ(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)
◆ジョネ・ナイカブラ「チャンスを逃さないようにフォーカスし続けた」
フィジー出身のナイカブラは今まで日本代表合宿に参加してきたが、ケガなどで初キャップを得ることができていない。ただ、決定力とスピードのあるランナーとして、リーグワンで10トライを挙げて、再び代表入りを果たした。
ナイカブラは「メンバーに入れて、すごくワクワクしている。合宿では試合を考える前に、正しい状態に戻せるように、身体作りをしたい。摂南大学の監督に声を掛けられ、迷わず来日を決めた。そこから自分のベストを続けて、7人制の日本代表に選ばれ、ハードなトレーニングと試合をして、15人制でもチャンスを得ることができた」と笑顔を見せた。
何度か日本代表合宿に参加しているが、テストマッチに出場できていない現状に関してナイカブラは「すごくチャレンジに感じた。ただ、コーチ陣からしっかりとフィードバックをもらって、まずはスコッドに戻るために自分のベストを続けることにフォーカスしようと思った。しっかり日本代表でプレーするチャンスを逃さないようにフォーカスし続けた」と振り返った。
2021年にフィジーの女性と結婚し、今シーズン中に初の子ども(女の子)も誕生したという。「(妻と)日本で一緒に生活できてうれしい。料理も作ってくれますし、タフなトレーニングが終わった後も、誰かと思いを共有できるのは、ありがたいサポート」と目を細めた。
改めて強みを聞かれると、「スピードでトライを挙げることは強みだと思う。それ以外のことを継続的に取り組んで、プレーするチャンスをもらったらベストが出せるようにしたい」と語気を強めた。
ワーナー・ディアンズ(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)
◆ワーナー・ディアンズ「メンタルの準備を一番大切にしている」
21歳ながら7キャップを得て、チームだけでなく、すっかり日本代表でも中軸へと成長したディアンズは「今回、選ばれてすごくうれしい。ワールドカップは昔からプレーしたいところだし、日本の代表としてプレーするのはすごく楽しみ。LOの仕事として、フィジカルのところもそうだが、ワークレイトを意識して、それを使ってアピールしたい」と話した。
現在、重視しているのは身体作りではなく、メンタル的な準備だという。「ワールドカップは大事な大会で、すごくタフな試合になるが、考えすぎないとか、プレッシャーで動けなくならないように、メンタルの準備を一番大切にしている。オフの期間は沖縄などに行ってラグビーのこと考えていなかったが、合宿が始まったらタフな練習が始まると思うのでメンタルを作っていきたい」。
流通経済大学柏高校時代、日本に残ってラグビーをするか、ニュージーランドに戻るか悩んだ時期もあったという。「高校2年で高校日本代表候補になって、そこから日本代表のことを考えた。高校3年の最初の頃から東芝と話しをして、日本に残ってラグビーをすることが、自分が一番成長できると思い、残ることを決めた」。
「世界一のLOになる」と常々公言しているディアンズは、昨季の日本代表活動を振り返って「オールブラックスにもフランスにもギリギリ負けたが、いい感じだったので成長したと感じているし、今回の合宿で、たくさん練習があり、成長すると思う」と話した。
リーチ マイケル(写真提供:東芝ブレイブルーパス東京)
◆リーチ マイケル「結果が全て。結果を残して勝って帰ってくるのが一番」
最後は出場すれば4度目のワールドカップとなるリーチだ。大会への意気込みを聞くと「4度目になりますが、日本代表は大会ごとに成長していて、日本ラグビー界にとってアウェイのワールドカップの難しさもあるが、結果出さないと行けないプレッシャーもあって、すごく楽しみにしている。この大会が日本ラグビーのバネになるよう、しっかり結果を出していきたい」と静かに闘志を燃やしていた。
目標を聞かれるとリーチは「優勝を目指してがんばりたい。前回ベスト8という結果を出したと思うが、僕はトップのトップを目指したい。2019年大会に比べて全然違うし、チーム力はガっと(上がって)いないが、個人個人でいい経験をしている選手もいる」。
「LO/FLジャック・コーネルセン、CTBディラン・ライリー(ともに埼玉パナソニックワイルドナイツ)、LOワーナー、CTB中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)が入ってきて、次のステージにいける実力があると思う。ワールドカップに行ったら、スコッドの全体的な強さが現れるので、この100日の間で仕上げていかないといけない」と語気を強めた。
2015年、2019年のワールドカップ前と比べて、日本代表のチームとしての活動が短いことに関して、リーチは「2019年と比べたら準備時間が短く、2019年はサンウルブズ、ウルフパックもあり、たくさん試合する機会があった」。
「今回、リーグワンになって16試合あり、チームの戦術より自分にフォーカスした。すごくセルフィッシュ(自己中心的)な考えだが、自分にとっては必要なことだった。日本代表にとっては、リーグワンのレベルが上がってきて外国人と触れあう機会が多くて、トップレベルの選手が来て、勝負して、トップリーグから成長した」と振り返った。
リーチは好調を維持し、ボールキャリー数ではリーグトップだった。「東芝はあまり蹴らないでアタックするチームだった。ボールキャリーを多くするよりも、いい位置にいることを意識していた。そのおかげでボールがまわってきた」。
ただ、ジェイミー・ジョセフHCからは「ここだという時に疲れて、何もできていない、自分で勝とうとするのが良くない、とフィードバックもらいました。ここだ!というところで、全力でやって、あとは周りを使う。前はやりなさ過ぎて、今度やり過ぎて、間にいかないといけない。難しい」と正直に話した。
残り3ヶ月、どこを強化すべきなのか。リーチは「日本代表はフィジカルもあり、セットも安定してきて、戦術もいい。あとは試合をどれだけマネジメントするか。トップのトップはフィジカルバトルより、ゲームマネジメントで勝ち負けが決まる」。
「チームがプレッシャーになった時に、誰かいなくなって、しゃべる人いなくなると、チーム力がなくなる。そうならないように、そういうところを固めて世界一にしたい。他にはセットプレー。スクラム、ラインアウト、モールディフェンスが重要」と話した。
改めて、4度目となるワールドカップへの意気込みを聞かれて、日本代表78キャップのリーチは「結果が全て。戦い方、戦いぶりより結果を残して勝って帰ってくるのが一番インパクトを残せる。野球(WBC)の試合を見ると、まさにそんな感じ。結果ですね」と意気込んだ。
文:斉藤健仁/写真提供:東芝ブレイブルーパス東京
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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