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ラグビー コラム 2023年6月2日

「静岡の衝撃」、日本代表のアイルランド代表戦勝利、具智元のガッツポーズをもう一度

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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2019年日本大会 プールA 日本 vs. アイルランド

2019年日本大会はラグビーファンにとって至福の時間だった。日本代表がこれほどまでに輝いて見えたラグビーワールドカップ(RWC)はかつてなかった。史上初の決勝トーナメント進出はプール戦4戦全勝で成し遂げられた。決勝トーナメント進出の可能性を大きくしたのが、9月28日、静岡県袋井市のエコパスタジアムでのアイルランド代表戦だった。

アイルランドは大会前、世界ランキング1位で優勝候補の一角だった。大会中にランキングは下がるのだが、実力者であることは間違いなかった。最終的には日本代表の歴史的勝利となるのだが、けっして簡単な勝利ではなかった。キャプテンのリーチ マイケルはリザーブ席からのスタート。ゲームキャプテンを任されたのは、ピーター・ラブスカフニだった。「初戦でのパフォーマンスが悪かったからキャプテンを外された」と反省しきりだったリーチは、前半31分、アマナキ・レレイ・マフィの負傷退場で交代出場。鬼気迫る表情で次々にタックルを決め、パワフルに突進した。アイルランドに2トライを奪われていた日本代表はリーチの奮闘で活気づく。

直後、スクラムを押し込み、具智元が雄叫びを上げる。ここで完全に流れが変わった。蒸し暑さもあってアイルランドの運動量が落ちる。9-12とリードされていた後半19分には、ゴール前のラックから田中史朗、中村亮土、ラファエレ ティモシー、福岡堅樹とパスがつながって逆転に成功する。福岡も大会前の南アフリカ代表戦での負傷し、回復具合は80%ほど。出場を回避する手もあった。この試合でも後半9分からの登場で、その走りも試運転という感じだった。何度見ても感動できる試合だ。

2019年日本大会 プールD フィジー vs. ウルグアイ

このほか、プール戦の序盤に観客席を熱くしたのは、9月25日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われた、ウルグアイ対フィジーの戦いだ。変幻自在のステップワークでディフェンスを翻弄するフィジーは、世界の強豪国を倒す力を秘めるジャイアントキラー。対するウルグアイはラグビーの競技人口が少なく、プロ選手は20数名しかいなかった。実力差は明らかに見えたが、ウルグアイの愚直なタックルが刺さり続ける。国歌斉唱から涙が流れる。

開幕戦で日本代表に敗れたロシアは、9月24日、熊谷ラグビー場でサモアに挑んだ。この試合はサモアが前半に2枚のイエローカードをもらって、13人で戦う時間帯がある。それもあって前半は6-5とロシアがリードするなど健闘する。後半のサモアの巻き返しは必見。9月26日、神戸市御崎公園球技場で行われたイングランド対アメリカは、イングランドが力の差を見せつける。エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いるイングランドは第1戦(トンガ戦)から中3日というタイトなスケジュールだった。先発で10名の選手を変更しての戦い。アメリカも最後に一矢報いる。

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2019年日本大会 プールB 南アフリカ vs. ナミビア

アフリカ大陸同士の戦いとなったのが、9月28日、豊田スタジアムで行われた南アフリカ対ナミビアだ。ナミビアはノートライに抑え込まれるのだが、南アフリカは、当時ホンダヒート所属で206cmのRG・スナイマン、ヤマハ発動機ジュビロ(現・静岡ブルーレヴズ)のFLクワッガ・スミスら日本でもおなじみの選手が躍動する。プールCのアルゼンチン対トンガは東大阪市花園ラグビー場で激しい肉弾戦となる。アルゼンチンのキャプテンはパブロ・マテーラ(三重ホンダヒート)、トンガのキャプテンはシアレ・ピウタウ(清水建設江東ブルーシャークス)。前半は28-7でアルゼンチンがリードも後半はトンガの奮闘で接戦に。プール戦は挑戦者の1トライに大きな価値がある。その奮闘をぜひご覧いただきたい。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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