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今季初の試合となった明治の廣瀬主将
4月に始まったラグビー関東大学春季交流大会も中盤戦を迎え、5月28日(日)、山梨・JITリサイクルインクスタジアムで、関東大学リーグ戦5連覇中の東海大学が、昨季の関東大学対抗戦2位で、今季創部100周年を迎えている明治大学と激突した。
両校ともに昨季の大学選手権は準々決勝で敗退して年越しできなかっただけに、東海大学は悲願の初優勝、明治大学は節目のシーズンに14度目の日本一へと今季にかける思いは強い。気温25度とやや暑い天候の中、1800人を越える観客が集い、強豪同士の対戦は午後1:00にキックオフされた。
トライを挙げる明治HO松下
先制したのは紫紺のジャージーの明治大学だった。前半2分、相手の反則から相手陣10mのラインアウトのチャンスを得て、モールを形成して押し込み、最後はHO(フッカー)HO松下潤一郎が抜け出してトライ。この試合が今季初出場となったキャプテンCTB(センター)廣瀬雄也が、ゴールを決めて7点を先制する。
すぐに「シーゲイルズ」こと、東海大学も反撃。5分、相手の反則からゴール前のラインアウトのチャンスを得て、モールは上手く組めなかったが、最後はNO8(ナンバーエイト)アフ・オフィナがねじ込んで左中間に押さえ、SO(スタンドオフ)武藤ゆらぎもゴールを決めて7-7の同点に追いつく。
FBではなく、CTBに入った東海の谷口主将
さらに12分、キャプテンCTB谷口宜顕が、相手の隙をついてクイックタップからトライを挙げて7点をリードする。だが、明治大学はスクラムで優勢に立ち反則を奪うとリズムを取り戻し、25分、相手の反則からPR(プロップ)中山律希がクイックタップから左中間にトライを挙げて14-14の同点に追いつく。
明治PR中山はBKのようなステップでトライ
32分には、相手のハイボールキャッチミスからチャンスをつかみ、FW(フォワード)、BK(バックス)が一体となってボールを動かし、最後はPR中山がまるでBKの選手ように、ステップで相手をかわして左中間にトライ。21-14と逆転に成功する。その後、東海大学はロスタイムにSO武藤がPG(ペナルティゴール)を沈め、4点差に追い上げてハーフタイムを迎えた。
ラグビー関東大学春季交流大会2023 Aグループ
【ハイライト動画】東海大学 vs. 明治大学 明治は廣瀬主将が今季初出場
後半序盤は東海大学に反則が増え始め、明治大学の時間帯となる。後半5分、明治大学は相手陣22mのラインアウトを起点に右に展開し、最後はCTB廣瀬が左隅にトライ。さらに9分にも、SO伊藤耕太郎の内へのパスを受けたWTB(ウィング)安田昂平が、左中間にトライを挙げて31-17とリードを広げた。
東海のスピードスターWTB中川
だが、東海大学もこのまま終わらない。14分、ラインアウトのサインプレーからスピードスターWTB中川湧眞がインゴールを陥れて31-24と7点差に。しかし、明治大学もゴール前のスクラムを押し込み、最後はNO8(ナンバーエイト)木戸大士郎がトライを挙げて、36-24と再びリードを広げた。
「今季は昨季と違い、アタックから練習している」(SO武藤)と攻撃に自信を見せる東海大学は、途中出場のSH(スクラムハーフ)山田莞大(2年)の裏へのキックからチャンスをつかみ、30分、SO武藤のショートパスを受けたCTB近藤翔耶(3年)がトライ。ゴールも決めて5点差に追い上げた。
2トライを挙げた明治WTB安田
それでも明治大学は落ち着いて相手陣でアタックを継続し、SO伊藤のロングパスを受けたWTB安田が、強さを見せて右隅にグラウンディングし、勝負あり。結局、7トライを重ねた明治大学が41-31で開幕から3連勝を飾り、3トライ差以上の勝利でボーナスポイント「1」も得た。
春季大会2敗目となった東海大学の木村季由監督は、「トライ数で言えば7本対4本なので、まだ課題が多いが、何をやらないといけないかがクリアになり、ハッキリわかったので、すごく収穫になった。接点では五分以上に勝負できている実感はあるので、もっといいところとして伸ばしていきたい。あとは反則減らしていかないと、自分たちが準備してきたアタック、形ができない」と冷静に振り返った。
トライを挙げて喜ぶ東海大学
逆転のチャンスもあった東海大学のCTB谷口キャプテンは「ペナルティを減らそうと言っていたが、失点につながった。もう1回見直したい。(前半はセットプレーがあまり良くなかったが)1試合通して、×(バツ)を続けないことをテーマにしていたので、後半出たメンバーがセットプレーを変えてくれてリズムが出たが、最後(もう1本)取れなかった」と悔しそうに話した。
春季大会で負け知らずの3連勝となった明治大学の神鳥裕之監督は、「春の試合として良いところ、悪いところが出た感じ。春からやってきたフィジカルの部分、セットプレー、コンタクトバトルと随所に良いところがあったが、ディフェンスのところや、相手の外国人選手に対するファーストタックルはレベルアップしないといけない」と、勝利しながらも反省点を挙げた。
足のケガの影響で、初の公式戦となったキャプテンCTB廣瀬は、「(春季大会で東海大学に負けた)去年のリベンジを果たすことができ、ポジティブだが、ゲームの内容的には、まだまだ成長できる部分がたくさんある。やられたというより自分たちのペナルティで苦しんだので修正したい。(次節は)勝利も大事だが、自分たちがやってきたことを帝京大学に通用するか確かめたい」と語気を強めた。
いずれにせよ、まだ今季が始まったばかりの5月ということで、互いに収穫があり、課題も出た試合になったようだ。
春季大会Aグループで開幕から3連勝で勝ち点15とした明治大学は、6月3日(土)、静岡・エコパスタジアムで2連勝中の王者・帝京大学と対戦する。一方、2勝2敗となった東海大学は18日(日)にホームの神奈川・城山陸上競技場(小田原)に帝京大学を迎える。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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