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慶應義塾大学 vs. 立教大学
今秋の関東大学対抗戦で注目の存在となる2校が、5月28日に関東大学春季大会のBグループで激突する(@慶應義塾大グラウンド、12時キックオフ)。
慶應義塾大はこの春、4シーズンにわたって指揮を執ってきた栗原徹前監督の後を引き継ぎ、38歳の青貫浩之新監督が就任した。清真学園から慶應義塾大に進み、4年時にはキャプテンも務めた元FLで、大学卒業後は味の素株式会社に入社してビジネスの分野で活躍。高校、大学の先輩である栗原前監督の着任と同時にFWコーチとしてスタッフ陣に加わり、多忙な業務とコーチングを両立してきたが、現在は3月いっぱいで同社を退社し、部の指導に特大の情熱を注いでいる。
シビアな仕事の世界で経験を重ねてきたニューリーダーの影響は、さっそく戦績に現われ始めている。新チームでの初戦となった3月26日の青山学院大戦に68-7と快勝すると、4月16日の東洋大学との練習試合にも50-14で完勝。春季大会でも法政大に65-31、立正大に27-24と勝利するなど、快調に白星を重ねた。5月14日の日本大戦で26-48と初黒星を喫したものの、B、Cチーム含めてここまでの試合で敗れたのはこの1戦だけ(トータル12勝1敗1分け)で、部全体の充実をうかがわせる。
戦力を見ると、大学選手権で準々決勝に進出した昨季のメンバーから9人が卒業した。その中には1年時から主軸を務めてきた前キャプテンのFL今野勇久や、アーリーエントリーですでにリーグワンデビューを果たした現トヨタヴェルブリッツのLOアイザイア・マプスアらも含まれる。そうした学生トップ級の大駒が抜ける中で春からしっかりと結果を残せたことは、スタッフ、選手いずれにとっても自信になっているはずだ。
対する立教大は昨季、日本体育大に63-10、青山学院大に20-14で勝利し、部史上初めて対抗戦Aで2勝を挙げて過去最高の6位という成績を収めた。創部100周年の大きな節目を迎える今シーズンは、そのレギュラー15人のうち11人が残る。1年生にもLO吉田健十(報徳学園)やPR石原捷聖、WTB/FB大畑咲太(ともに東海大仰星)、CTB/WTB天羽究平(桐蔭学園)ら高校時代に全国トップレベルで活躍した逸材が入部しており、悲願の大学選手権出場に向け機は熟しつつあるという印象だ。
春季大会での戦いぶりを振り返ると、4月23日の筑波大戦(25-42)を皮切りに、法政大に17-27、立正大には12-47と連敗。ここまで勝利を手にできていない状況だが、昨季対抗戦とリーグ戦の4~6位校で構成されるBグループでタイトなゲームを重ねられることは、成長力を秘めるチームにとって何よりの経験だろう。中2週で迎える4戦目、秋の対抗戦でもターゲットとなる慶應義塾大に挑む今節は、絶好のチャレンジの機会といえる。
慶應義塾大学
2日前に発表された登録メンバーを見ていくと、慶應義塾大は前節の日本大戦からスターター7人を入れ替えた。左PRには木村亮介が入り、藤井大地がリザーブから4番に。両FLは6番に矢崎隼太、7番に田沼英哲という並びとなった。SHは小城大和がスタメンに繰り上がり、渡邉匠も左WTBで先発。最後尾のFBは、桐蔭学園1年時に全国優勝を経験している新人の松田怜大が務める。
立教大学
一方、立教大の前節立正大戦からのスターター変更は2人だけ。前節5番の島崎太志が4番に移り、手塚一乃進が右LOに入った。BKではキャプテンの北川時来がSOからSHに、相田快晴が左WTBからSOにそれぞれシフト。東海大仰星出身の快足ルーキー、大畑咲太が替わって11番を背負う。
なお両校は昨季対抗戦の2戦目でぶつかっており、36-7で慶應義塾大が勝利。もっとも前半は立教大が7-5とリードしての折り返しだった。立教大にすれば追いかける立場もあって、いいイメージでこの試合に臨めるだろう。それに対し、ここまで確かなステップを重ねてきた慶應義塾大がどんなパフォーマンスを見せるのか。楽しみな一戦だ。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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