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ラグビー コラム 2023年5月20日

【ハイライト動画あり】横浜キヤノンイーグルス、東京サントリーサンゴリアスに初勝利しチーム史上最高の3位。ジャパンラグビー リーグワン 3位決定戦

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ノーサイドの瞬間、喜ぶイーグルスの選手たち.

ジャパンラグビー リーグワン、5月19日(金)の夜は、横浜キヤノンイーグルスvs.東京サントリーサンゴリアスの3位決定戦が行われた。

今季、クラブ史上初の4位でのプレーオフに進出したイーグルスは、準決勝で昨季の覇者・埼玉パナソニックワイルドナイツに20-51、昨季準優勝でリーグワン初優勝を狙ったサンゴリアスは、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに18-24で敗れて3位決定戦に回った。

この試合が最後の笛となった久保レフリー

ともに国立競技場でファイナルをプレーすることは叶わなかったが、それでも今季の最終戦を勝利で締めくくりたいと、互いの意地と意地がぶつかり合うゲームが予想された。試合前に降っていた雨は小降りとなり、午後7:00に東京・秩父宮ラグビー場で8270人の観客が見守る中、この試合で引退する久保修平レフリーの笛でキックオフされた。

先手を取ったのはサンゴリアスだった。日曜に準決勝を戦い、3位決定戦に向けた練習は、実質1日しかしなかったものの、持ち前のアタッキングラグビーを見せる。前半4分、ハーフウェイライン付近で右ラインアウトから左に展開。中央ラックから左大外に繋ぐと、WTB(ウイング)尾崎泰雅が抜け出し、左隅にダイビングトライ。SO(スタンドオフ)アーロン・クルーデンのコンバージョンは決まらなかったが5点を先制する。

トライを挙げるイーグルスWTB松井

だが、3位決定戦に向けて「戦い続ける」をテーマに掲げたイーグルスも反撃する。15分、ラインアウトから南アフリカ代表SH(スクラムハーフ)ファフ・デクラークが抜け出し、NO8(ナンバーエイト)シオネ・ハラシリへつなぎ、最後はサポートしたWTB松井千士が左中間にトライ。SO田村優のゴールも決まり、イーグルスが7-5と逆転に成功する。

サンゴリアスFL小澤のトライ

しかし、サンゴリアスも20分にSOクルーデンのPG(ペナルティゴール)で、8-7と再びリードを取り戻すと、共同キャプテンのSH齋藤直人の「50:22」キックで敵陣に攻め込む。30分、敵陣左ゴール前ラインアウトからFL(フランカー)小澤直輝が抜け出し、左中間にトライ。ゴールも決まり、15-7と点差を広げて前半を折り返した。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【ハイライト動画】3位決定戦 横浜キヤノンイーグルスvs. 東京サンゴリアス

違いを見せたデクラーク

後半、先手を取ったのは8点リードされているイーグルスだった。後半6分、ラインアウトからSHデクラークが、ブラインドサイドを抜け出し裏へキック。そのボールを自らキャッチし、右端に押さえてトライ。12-15と3点差に迫る。

さらにイールグスは相手の反則から17分、ゴール前でBK(バックス)が移動攻撃と見せかけて、FW(フォワード)がモールを作り、最後はNO8ハラシリがインゴールで押さえてトライ。FB(フルバック)小倉順平がゴールを決めて、19-15と再び逆転に成功する。

モールを押し込みトライを挙げるサンゴリアス

一方のサンゴリアスも負けていない。21分、ラインアウトからモールで押し込み、最後は後半途中から入ったHO(フッカー)中村駿太が左隅に押さえてトライ。20-19とスコアを再度ひっくり返した。

だが、リードされてもイーグルスの闘志は衰えることはなかった。HO庭井祐輔がジャッカルを決めて、26分、ゴール前でラインアウトのチャンスを得る。モールを押し込むことはできず、左へ展開。

「自分の前にスペースはなかったので、空いたスペースを探した」とSO田村が左足でグラバーキックキック。そのボールをFB小倉選手が拾い上げ、WTB松井にパスし、そのまま松井が左中間にトライ。小倉がゴールも決めてイーグルスが26-20と再び逆転する。

サンゴリアスも最後までアタックをし続けてトライを狙うが、イーグルスは途中出場のCTB(センター)エスピー・マレーがジャッカルを決めるなど得点を許さない。マレーは38分のPGを決めることはできなかったが、結局スコアは26-20から動かず、最後はSHデクラークがタッチに蹴ってノーサイドを迎えた。

POMのWTB松井

イーグルスがクラブ史上初めて公式戦でサンゴリアスに勝利し、チーム史上最高の3位を掴み取った。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、2トライを挙げて気を吐いたイーグルスのWTB松井が選出された。「古巣と試合ということで(過去に)1回も勝ったことがないので気合いが入っていた。(POMは)ファフ(・デクラーク)と思っていたが、いい形でシーズンを終えることができた」と笑顔を見せた。

沢木監督(左)と梶村主将

イーグルスの沢木敬介監督は目を潤ませながら、「試合に出られないメンバーも含め、チーム一丸となって、やってきたことを全て出し切ろうとやってきた。良い経験ができたので、まだまだ上を目指していきたい。また、引き続き見ていてワクワクするようなラグビーを目指す」と振り返った。

3位の表彰を受ける梶村

体調不良で準決勝を欠場したものの、3位決定戦ではキャプテンとしての責務を果たしたCTB梶村祐介は「自分たちとしては、望んでいた結果ではないですが、ここからまたステップアップとして、イーグルスの新しい歴史を作りたい。選手自身がやれるという自信を掴んだシーズンだと思うので、来シーズンはそれをより強固なものにしていきたい」と力を込めた。

(左から)喜ぶ庭井、田村、デクラーク

SHデクラークは「素晴らしい試合だった!チームとしてもサンゴリアスに今日初めて勝って、そしてトップ4に入った素晴らしいシーズンだった。選手たちの喜びの涙を見ても、非常に結束力の高いチームとして結果を出したからだと思う」と胸を張った。

ノーサイドの瞬間、喜ぶライザーズ(ベンチ外メンバー)

前キャプテンのSO田村は「初めてトップ4に入ったが、4位ではなく3位に入ったことは組織として素晴らしい。ライザーズ(ベンチ外メンバー)の存在がすべてだったと思う。キヤノンで試合に出る価値を引き上げてくれた、この試合の価値を作ってくれた。僕たちはただ、やるだけだった」と話した。

4位に終わったサンゴリアスの田中澄憲監督は「(中4日で)モチベーションも、フィジカル的にもすごく難しい中で、チームで最後しっかり勝ち切って終わろうと意思統一して準備してきた。今日は本当にキヤノンさんが強かった。(今季を振り返り)若い力が本当に成長してくれたし、チーム内の競争やハードワークする部分をしっかりと残せた」と振り返った。

堀越主将(左)と田中澄憲監督

共同キャプテンのHO堀越康介は「まずは自分たちにベクトルを向けて、やることを明確にしてやってきて、いい準備ができた。しかし、後半は自分たちの規律が乱れた。キヤノンさんが我慢強くて、そこにやられた」と肩を落とした。

プライドを賭けた雨中の3位決定戦は、横浜キヤノンイーグルスが接戦を制し、過去最高の3位となり、うれしい涙を流して秩父宮ラグビー場を後にした。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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