【ハイライト動画あり】帝京大、今季2戦目でさらに加速。15トライの猛攻で流通経済大に完勝。関東大学春季大会Aグループレビュー

高本とむ（帝京大学）

圧倒。圧巻。圧勝。そんな圧の字をいくつも重ねたくなるような鮮烈なパフォーマンスだった。

東洋大に92-14と大勝した初戦から中3週で迎えた、関東大学春季大会Aグループの第2戦。前節から先発メンバー7人を入れ替えて臨んだ大学選手権2連覇中の帝京大は、昨季リーグ戦2位の流通経済大に対しあらゆる局面でプレッシャーをかけて前後半の80分間を支配した。

トライラッシュの幕開けは前半10分。ゴール前でのマイボールラインアウトからがっちりモールを組むと、前節欠場でこの日が今季初登場のキャプテン、HO江良颯が悠々と左中間に押さえる。

李錦寿（帝京大学）

16分には看板のFW陣が力強く前に出てラックを連取し、ふたたび江良がインゴールへ。さらに22分、テンポのいい連続攻撃からSH李錦寿が判断よくラックサイドを突いてポスト左に飛び込むと、25分にも流れるようなつなぎで相手防御を崩し切り、李がフィニッシュする。

その後しばらくは流通経済大が攻める場面を作る時間帯もあったが、真紅のジャージーの15人は焦れることなく接点で厳しく体を当て続け、敵陣でゲームを展開。36分にスクラムプッシュからNO8延原秀飛、42分にはパワフルな縦突進でLO尹礼温がなだれ込み、38-0までリードを広げてハーフタイムを迎えた。

点差が開いた後半も、帝京大は気を緩めることなく攻守に引き締まったプレーを維持して得点を重ねていく。45分、安定感抜群のラインアウトモールでHO江良が3本目のトライを挙げると、自陣ゴール前でのディフェンス機を危なげなく守り切った後の52分にもラインアウトモールから江良がサイドを突き抜けてグラウンディング。下級生時から際立つ存在感を示してきた新主将のこれぞリーダーというべき奮闘で、25分あまりを残した時点でスコアは50の大台を越えた。

ダアンジャロ・アスイ（帝京大学）

以降、61分に途中出場のNO8ダアンジャロ・アスイが豪快にラックサイドを割ってゴールラインを越えると、63分から68分にかけては快足フィニッシャーのWTB高本とむが自慢のスピードを生かし3連続トライをマークする。選手一人ひとりの前に出る意欲と勢いはなおも衰えず、71分にCTB日隈太陽、74分には注目ルーキーのPR森山飛翔が好サポートからトライを追加。さらにロスタイムにFL青木恵斗がチーム15本目となるトライを加え、93-0の最終スコアでフルタイムを迎えた。

前節からさらに凄みを増した内容で、春季大会2連勝を飾った帝京大。あらゆるプレーのベースとなる接点のバトルで当たり勝ち、相手の結束が緩むや猛然とたたみかける戦いぶりは、わずかなつけ入る隙すら与えないほどの迫力をたたえていた。ディフェンスに回った場面でのリアクションの速さと倒し切る意識にも、チーム全体の充実が浮かぶ。

この試合ではCTB上田倭士、WTB青柳潤之介の2人が先発を務めたほか、PR森山、LO舛尾緑、ユーティリティBK吉田雅が途中出場を果たすなど、ルーキーたちの堂々たるプレーぶりも目を引いた。フレッシュな活力に満ちた新戦力の存在は、激しい部内競争をさらに活性化させるだろう。今後実戦を重ねることでどこまでチーム力を伸ばしていくのか、広大な可能性を感じさせる快勝だった。

一方の流通経済大はコンタクト局面で劣勢にまわり、常に苦しい状況でのプレーを強いられたことが完敗の要因となった。現状での力の差をまざまざと見せつけられた格好だが、春の段階で王者の圧力を体感できたことには貴重な意味があるだろう。この経験を春季大会の残り2戦、さらには秋のリーグ戦へとつなげていくことを期待したい。