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【ハイライト動画あり】花園近鉄ライナーズがD1残留!D2王者の浦安D-Rocksに2連勝。ジャパンラグビーリーグワンD1/D2入替戦第2戦レビュー
ラグビーレポート by 多羅 正崇
ゲームの序盤が重要だった。
入替戦第1戦に22点差(14-36)で負けている浦安D-Rocks(D2 1位/浦安DR)は、これ以上離されたくない。追いかける展開となれば、焦りやミスが生まれやすい。
かたや第1戦に快勝し、ホスト・東大阪市花園ラグビー場に帰ってきた花園近鉄ライナーズ(D1 12位/花園L)。序盤から主導権を握り、相手をさらに追い詰めたい。
ジャパンラグビーリーグワン2022-23の D1/D2入替戦。
花園Lは第1戦で「22点差勝利、勝点5」を奪取した勢いそのままに、5月13日(土)の第2戦においても充実していた。
「特にフォワードは痛いこと、しんどいことをひたすら泥臭くやろうと伝えていました」と、花園LのFL野中翔平キャプテンは明かした。
「最初の10分間、身体を張れたことが勝利に繋がったのではないかと思っています」(花園L、FL野中キャプテン)
序盤、浦安DRはチャンスを迎えた。
大黒柱の相手SOクエイド・クーパーのキックをチャージ。敵陣で波状攻撃を仕掛けた。しかしラックで反則を犯し、花園Lが耐えきった。
すると前半5分、花園Lのアタックが炸裂。
5分後にも混戦からCTBシオサイア・フィフィタがチーム2本目。その後浦安DRも敵陣に攻め込むが、モールを止められ、スクラムでもペナルティを喫してしまう。
得点を奪えずにいると、前半25分にふたたび今度は左隅で202cmのLOワクァが突破。ここからSHゲニアのチーム3連続トライが生まれた。
ここで浦安DRが粘る。
前半30分に攻守に活躍するFLリアム・ギルが突破。オフロードパスを繋げ、最後は15番先発の安田卓平が左中間へ。
花園LもハイボールのクリーンキャッチからWTBマシレワが4本目を奪うが、前半終了前にはWTB石井魁が連続オフロードパスからチーム2本目のトライを奪い、追撃ムードのまま14-27で後半へ。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1/2
【入替戦 第2節ハイライト動画】花園近鉄ライナーズ(D1 12位) vs. 浦安D-Rocks(D2 1位)|
前半のトライ差は花園Lリードの「4-2」。逆転D1(ディビジョン1)昇格には、最低5トライが必須条件の一つとなった浦安DRは、後半4分。
ゴール前でハイボールに競ったCTBイズラエル・フォラウに対して、花園LのWTBマシレワが不当なプレー(オブストラクション)。これがペナルティ・トライとなり、ここから盛り返したいところだったが――
「後半に巻き返しはじめ、チームとして気概を見せましたが、イエローカード、レッドカードが出てしまいました」(浦安DR、アッカーマンHC)
後半18分にWTBラリー・スルンガが故意のノックオンでイエロー(10分間の一時退出)。そして3分後(同21分)、怪我による再出場だったHOフランコ・マレーが危険なタックル(ヘッドコンタクト)で一発レッド。
フッカーがいなくなり、後半21分からスクラムがアン・コンテストに。原因を作ったチームは1人退場となるため浦安DRは、この直後一時的12人になった。
ここからはワンサイド・ゲームだった。
後半21分のSOクーパーのトライに始まり、ラスト20分間で5連続トライ。相手の数的不利を確実にスコアに変えた花園Lが、56-21で勝負を決めた。
ディビジョン1(D1)で揉まれてきた経験値。戦列復帰したSOクエイド・クーパー率いる攻撃陣の迫力。安定したセットプレー。堅調なディフェンス…。ライナーズが地力で勝り、D1残留を決めた。
「後半の点数と時間で焦り、ペナルティをしてしまいました」と、昇格を逃した浦安DRのSH飯沼蓮キャプテンは語った。
入替戦2試合のカード総数は5枚(イエロー4枚、レッド1枚)。激しさと規律の両立は、来季のD1昇格へ向けた課題だろう。
浦安DRのアッカーマンHCは試合後「まずはライナーズさん、残留おめでとうございます」と神妙に口を開いた。
「2試合を戦い、相手の方が良いチームで、上手だったと思います。ゲニア、クーパーを始め、ゲームコントロールを上手く遂行していました」
「我々は今日のスコアボードよりも良いチームだと思っていますが、この先成長するために、このチームのリーダーとして、自分を見つめ直し、反省し、次のシーズンに進みたいです」(浦安DR、アッカーマンHC)
文句なしの2連勝でD1残留を決めた花園L。プレイヤー・オブ・ザ・マッチはHO樫本敦。集大成となる引退試合を有終の美で終えた。
D1残留を決めた指揮官の水間良武HC。リラックスした表情で淡々と話した。
「今日は先制ができ、苦しい時間帯もシステムを守り、繋がりながらディフェンスができました」
「前半の最後、後半の最初に獲られ、苦しい時間帯もありましたが、ラスト20分に自分たちが目指しているラグビーであるディフェンスからアタック、スペースのあるところにボールを運ぶラグビーができました」
今季は怪我人が続出。連敗も続いた。そんな苦しいシーズンを主将として引っ張ってきたFL野中キャプテンは、D1残留を決めた感想を訊ねられ、「爆発的に嬉しいのかなと思いましたが、スタートに戻ってきた感覚」と落ち着いていた。
「最初目指していたのはトップ4です。それとはほど遠い結果だったことは間違いない。そのキャプテンをやっていたのが自分。そこは真摯に受け止めています」(花園、FL野中主将)
ライナーズの関係者によるとSHゲニア&SOクーパーの黄金コンビは残留。新シーズンは若手中心に7月上旬からスタート予定という。
かたや入替戦の壁に阻まれた浦安DRは、チーム創設1年目の昇格は叶わなかった。チームのポテンシャルをどう結果へ結びつけるのか、D1昇格へ向けた取り組みが注目される。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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