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ラグビー コラム 2023年5月12日

日本ラグビー協会、世界の強豪国で構成される『ハイパフォーマンスユニオン』に決定

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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オンラインで会見する岩渕専務理事

5月11日(木)、日本時間の夜に開催されたワールドラグビーの理事会において、ワールドラグビーの定款の一部(第9条)改定が承認された。

ワールドラグビー加盟協会の新たな5つのカテゴリー区分において、日本ラグビー協会は最上位の『ハイパフォーマンスユニオン』(HPU)に属し、ワールドラグビー理事会に日本ラグビー協会に参加できる理事が2人から3人に増えて、投票権も2票から3票になることが決定した。

土田雅人会長は日本ラグビー協会を通して、「日本がハイパフォーマンスユニオンとしてワールドラグビーから認められ、世界のラグビー界を率いるトップユニオンと肩を並べることができますことを、誠に光栄に存じます」。

「当協会は1926年に発足して以降およそ100年、全国各地の関係者の地道な貢献に支えられ、ラグビーの普及発展と競技力の向上に取り組んでおります。この度のハイパフォーマンスユニオン入りは、全ての関係者の長きにわたる努力の賜物であり、ジャパンラグビーの歴史に恥じぬよう気持ちを引き締め、引き続き日本、アジア、そして世界のラグビーの発展に貢献していきたいと存じます」。

「当協会の活動を支える全ての皆様に感謝申し上げますとともに、当協会がミッションに掲げる『世界一ラグビーが身近にある国へ』に向けて、引き続きお力添えを賜りますようお願い申し上げます」とコメントした。

実際にワールドラグビーの理事会に参加し、「フィールドの内外で世界のラグビーの発展に貢献してきたことが認められ、ハイパフォーマンスユニオンという新しい地位を与えられたことを、大変うれしい」と話した日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事が、オンラインで会見を開いた。

今回のワールドラグビーの定款の改定で日本ラグビー協会が、SANZAAR(南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン)や、6カ国対抗(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランス、イタリア)の10ユニオン、いわゆる『ティア1』と同じカテゴリーに含まれることになる。

この4~5年、様々な働きかけをして、今まで『ティア1』といわれた、10のユニオンと同じ最上位カテゴリーに属することになったことに関して、岩渕専務理事は「なかなか簡単ではなかったです。もうすぐ、日本協会は100年になりますが、ワールドカップの招致など、これまで日本の国際的な働きかけがあり、ワールドラグビーでも、日本協会でも、我々の動きを強く後押ししていただいた」。

「(HPUに決まったとき)いろいろな人の顔が浮かんだ。そういう人に御礼を伝えたいし、大きな責任を負うことになったと強く感じています。これはゴールではなく、スタート地点になる。もう一度、覚悟をお伝えして前に進んでいかないといけないと思います」と率直に話した。

世界のラグビーは「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」を開催している『SANZAAR』や、6カ国対抗という枠組みがあり、いろんな利権が絡んでいるため、日本ラグビー協会が、ハイパフォーマンスユニオンになったからといってすぐに強豪国とのテストマッチが増えることはないという。

今後、北半休の6カ国、南半休の6カ国の12チームで2年かけて対戦し、優勝を決めようという考えがある中で、日本代表が自動的に南の6カ国に入れるかも、まだ決まっていない。また、世界的なラグビーカレンダーは、7月と11月がテストマッチ期間(3試合ずつの6試合)だが、その枠組みを変えるべきかどうかという議論もされているという。

いずれにせよハイパフォーマンスユニオンに日本ラグビー協会が入ったことで、岩渕専務理事は、「大きな枠組みを話す中で、日本にとって追い風になる。簡単に枠組みは変わらないが、世界のラグビーが発展するために働きかけは積極的にしていきたい」と話した。

ワールドラグビーの理事会(52票)の中で、日本は3票持つようになったことは、当然大きな意味がある。岩渕専務理事は「様々な競技団体において、世界の統括団体で、どう発言権を持つか。日本のスポーツ界でも大事なポイントだと思います」。

「過去、例えばルール、出場権に関して、いわゆるIF(国際競技連盟)の中での発言力が大きく関係して、競技成績に関わることは紛れもない事実です。大きく物事を変えていくために、3人の理事を輩出して3票持つことが、我々が持っている目的を達成するための1つの手段となる」と説明した。

日本ラグビー協会は男子15人制のワールドカップの再招致、さらに女子の15人制ワールドカップ招致を目指している。今回、日本ラグビー協会がハイパフォーマンスユニオンになったことは影響があるのかを聞いた。

岩渕専務理事は「すでに(男子15人制の)ワールドカップを開催した事実、競技力、世界のラグビーに対する貢献を考えると、ワールドラグビーやユニオンから評価されている。ワールドカップの再招致に対して疑いを持つことはない。過去とは違います」。

「ハイパフォーマンスユニオンになったことで、すぐに再招致が加速することはないですが、ただ最終決定はワールドラグビーの理事会で行われます。投票権が3票持ったことに関しては、投票数として前向きだし、投票の数が増えることで、具体的な審議だけでなく、様々な審議が行われることになります。日本が3票になったことは、ダイレクトに再招致に影響することはないですが、間接的には大きなインパクトになると思います」と話した。

もちろん、ハイパフォーマンスユニオンになったことで、世界のラグビーシーンから日本ラグビー界に求められる期待は大きいという。

岩渕専務理事は「我々としては日本のラグビーのためにはもちろんこと、日本だけでなく、主語がアジア、世界ということになり、1つ大きな責任を担わないといけない。身近なアジアの国々とどういうことができるか、世界のユニオンと一緒になって何を前に進めることができるのか、今後世界のラグビーがどう発展していくのか、ハイパフォーマンスユニオンの大きな責任だと思います」。

「これがゴールではなく、これから何をしていくか大きな課題で、昨日から動きだしていると思っていただいていい。試合を作っていくこともしないといけないし、グラウンドの上だけでなく、外でもいろんな国と協議してやっていかないといけない」と意気込んだ。

TEXT:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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