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ケンブリッジ時代、一緒にプレーした岩渕専務理事とロビンソンCEO
5月10日(水)、日本ラグビー協会はニュージーランドラグビー協会と連携を深め、アジア太平洋地域全体のラグビー競技を発展させるための覚書を締結。東京都内で会見を開いた。今回のパートナーシップは長期的なものになる予定だ。
登壇者は神戸製鋼でもプレーした元オールブラックスでもあるニュージーランド協会のマーク・ロビンソンCEO、日本協会の岩渕健輔専務理事、ジャパンラグビー リーグワンの東海林一専務理事の3人。
今回の覚書によって両協会は、日本代表とニュージーランド代表との定期的な試合の開催など、戦略的かつ商業的な協業機会を模索する。2024年から27年までの間、日本代表および、『JAPAN XV』(ジャパン・フィフティーン)は『オールブラックス』『マオリ・オールブラックス』『All Blacks XV』(オールブラックス・フィフティーン)と、日本で定期的な対戦を予定している。
また、ニュージーランドを拠点とするスーパーラグビーのチームが、シーズン外にリーグワンのチームと対戦する機会や、ニュージーランドの男女7人制ラグビー代表が既存の大会期間外に、『セブンズ日本代表』と対戦する機会の創出を互いに検討。女子ラグビーの分野でも、ニュージーランドで日本の女子トップ選手がプレーする機会を検討していくという。
日本協会の岩渕専務理事
ケンブリッジ大学で、ロビンソンCEOと一緒にプレーしたという岩渕専務理事は「日本ラグビーにとって大事なことは、世界でどのように戦っていけるのか。男女の15人、7人制が永続的に(そういう機会を)作っていくかがポイント。競技力以外も我々はラグビー強国ではないので、世界トップのニュージーランドからいろいろ知見をもらって、いつか追い越せるような国、ユニオンになれるようにやっていきたい」。
そして、「今日のタイミングは日本にとって大きな一歩。これから先、男女ともにニュージーランドといろいろ試合の機会があります。いつかニュージーランドに勝つ日が来るように、それが早く来るように、1年間に30試合くらいやってもらいたい」と語気を強めた。
リーグワンの東海林専務理事
リーグワンの東海林専務理事は、今回の覚書の締結について「リーグワンが2年目を迎え、グローバルプレゼンスを高めるために、ファンより楽しんでもらうために、さらに競技力を上げるために、非常に重要なものと捉えています」。
「ニュージーランド協会、日本協会が合意し、提携を深めていく中で、リーグワンも参画し、ニュージーランドのチームと関係を深める機会を得たことは喜ばしいこと。具体的な成果を早期に実現していきたい」と話した。
今回のパートナーシップの締結により、リーグワンのチームと、ニュージーランドのスーパーラグビーチームとの「クロスボーダーマッチ」の実現も現実味を帯びてきたと言えよう。
神戸製鋼でもプレーしたロビンソンCEO
ニュージーランド協会のロビンソンCEOは「このタイミングで、長い期間のパートナーシップを締結できてうれしく思いますし、我々にとってもシンボリックな1日になります。このパートナーシップは非常に大きなものだと申し上げたい。長い期間、いろいろこと一緒に取り組んでいきますし、この先もっともっといろいろつながりがあると思います」。
「オールブラックス、マオリ・オールブラックス、オールブラックスジュニアが定期的に日本にやってきて試合できることを我々も喜ばしく思う。日本のラグビーの発展に貢献したいし、ファンベースももっと広げていきたい。これからの両国の関係を楽しみにしています」と笑顔で話した。
現在、オールブラックスになるには、ニュージーランド協会と契約し、ニュージーランド国内のスーパーラグビーのチームでプレーすることが必須だ。ロビンソンCEOは「今の時点では(このレギュレーションの変更は)考えていないし、今回のパートナーシップが、レギュレーションにインパクトを与えるとは考えていません」と話すにとどめた。
今のところ、テストマッチの国際的なカレンダーが判明している2024年から2027年まで、オールブラックス、マオリ・オールブラックス、ジュニアオールブラックスの3つのチームのいずれかが来日し、試合を行うことが決まっているという。クラブ間や女子15人制、男女7人制などでの連携は今後、協議されて決まっていく予定。
「日本ラグビーの問題点は定期的にレベルの高い試合を用意できていないこと。その観点から見ると、毎年、黒いジャージが日本にやってきて、選手もターゲットにできますし、お客さんもニュージーランド代表や日本代表の選手が見られることは、競技力だけでなくファンベースを作ることにも大きいことだと思います」(岩渕専務理事)。
ロビンソンCEOは「今回のパートナーシップは、長い期間で、持続的かつ発展的なものにしていきたい。今回の発表はその第一歩です」と語気を強めた。日本ラグビー協会はニュージーランド協会の良いところを吸収しつつ、切磋琢磨して競技力、国際的な競争力を高めていくことになりそうだ。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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