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監督、選手たちは「マインドセットが大事」と強調
5月1日(月)、創部以来初めてトップ4に入って、プレーオフに進出した横浜キヤノンイーグルスが、報道陣に練習を公開。練習後、沢木敬介監督やキャプテンCTB(センター)梶村祐介ら選手たちが報道陣に対応した。
◆5月13日(土)午後2:35 秩父宮ラグビー場
ジャパンラグビー リーグワン プレーオフトーナメント準決勝
埼玉パナソニックワイルドナイツvs.横浜キヤノンイーグルス
昨日まで1週間オフだったという選手たちはミーティングを終えた後、グラウンドに出ていて1時間半ほど汗を流した。ただ、全体練習の30分間はプレーオフ前ということで、報道陣に公開されることはなかった。
主将のCTB梶村
まず、初めて4位でトップ4に入ったことに関して、梶村キャプテンは「1つのターゲットをクリアできてうれしく、チームの努力が結果につながったと感じている。これで優勝するチャンスが出てきたので、さらにそこをチームとしてつかんでいきたい」と語った。
生え抜きの1人FL嶋田
また、生え抜きのHO(フッカー)庭井祐輔、FL(フランカー)嶋田直人は、それぞれ「じわっとすごいうれしさがこみあげてきた」「ずっとキヤノンでプレーしてきて、12位とかのシーズンもあったので、本当に素直にうれしい」と感慨深げに話した。
チームを率いて3シーズン目となる沢木監督も「FL嶋田、HO庭井、SH(スクラムハーフ)天野(寿紀)ら、長いことキヤノンにいた選手はうれしかっただろうし、キヤノンの新しい歴史を作れた。クラブとして成長した証だと思う。ただ、ここからどうやってさらに進化するかが大事。今年のチームは4強にふさわしいチームになってきたと感じています」と話した。
チームを初のトップ4に導いた沢木監督
昨季はプレーオフを狙える位置にいたものの、終盤に失速して6位に終わった。今季は安定したパフォーマンスを見せて4位に入ったが、その要因を聞くと梶村キャプテンは「昨季はシーズン通して同じメンバーで戦っていて、16試合あると疲労やケガ人も出てきてチーム力で劣ったと思っている」。
「(今季は)底上げができて、選手層が厚くなっていて序盤でケガ人が出ても衰えなかったことは評価していい。プレシーズンからいろんな選手を起用して、誰が出てもキヤノンのラグビーを準備して、こういう結果になっている」。
司令塔のSO田村優
SO(スタンドオフ)田村優も「シーズン通して取りこぼしなく安定感のある戦いができたことは大きな成果だと思います。選手はすごく成長していると思う。いいメンバーが揃ってきたこともあるし、チームが成熟している。ピークだと思う。誰が出てもいい感じになっている」と振り返った。
南アフリカ代表59キャップを誇るCTBクリエル
また、南アフリカ代表59キャップで、チーム在籍4シーズン目のCTBジェシー・クリエルも「ひとえに練習から日々積み重ねてきたマインドセットの部分に尽きる。選手、コーチ、スタッフ全員がトップレベルで、練習から共通の目標を持って、同じマインドセット、勝つマインドセットを持って行い続け、それをグラウンドで具現化したと言うことだと思う。もちろん、アタックはもともと素晴らしいが、シーズンが進む中でのディフェンス部分の成長が結果の要因にあると感じている」と語気を強めた。
準決勝の相手はリーグ戦で19-21と惜敗した、トップリーグから続けて3連覇を目指す王者・埼玉パナソニックワイルドナイツだ。勝つためのポイントを沢木監督、選手たちに聞いた。
ウォームアップする選手たち
まず指揮官は、「ワイルドナイツよりも、イーグルスが有利な部分を1つ挙げるとしたら、チャンピオンとしてのプレッシャーがないことです。僕らにはプレッシャーがないから、100%チャレンジできる。自分たちのスタイルをしっかり、恐れずにチャレンジすることが大事」と話した。
梶村キャプテンは「ワイルドナイツには、いいジャッカラーがいるので彼らに仕事をさせないこと。また、自分たちは守り勝つチームではないので、攻めて、攻めて、相手を疲れさせて自分たちのペースに引き込みたい。全てのオプションをつかって(相手)崩していきたい。スペシャルなプレーは今後やっていくと思うし、見ていてワクワクするプレーをしていきたい」と意気込んだ。
今季から加入したSHデクラーク
今季加入した南アフリカ代表46キャップのSHファフ・デクラークは、「プレーオフになってくると、あらゆる形で緊張が出てしまうもの。1つもミスをしてはいけないと思うとパニックに陥って、かえって多くのミスをしてしまうことがある。だから落ち着くということは本当に大事で、まずは自分自身が冷静にグラウンドに立ち続けたい」。
「また、最大限のフィジカルを発揮し、規律を保つということは、プレーオフを勝ち抜く上で最重要事項。チームの中には、プレーオフで戦う経験が初めての選手も多い。他の選手にも目を配って、もしあがっているチームメイトがいたら落ち着かせる、平常心を取り戻すことも私の役割と思う」と話した。
CTBクリエルは「(プレーオフでは)80分間、一貫したプレーを続けることが何より大事。一瞬でも隙を作ることは許されません。ですから規律は非常に大切。例えばヨーロッパチャンピオンズカップのプレーオフは、非常に接戦になることが多いが、勝つのはいつも規律が素晴らしいチーム」と規律の大切さを強調した。
SO田村は「ここから3週間ラグビーできるのは4チームしかないし、ラグビー選手、クラブとしても幸せなことです。チームとして目標達成しているので、また新しい目標を持てるチャンス。1個勝つか、2個勝つか。どちらにしてもあと2試合なので、準決勝、決勝と考えず、自分たちのものを見せる準備をすればいい試合になる」と自分に言い聞かせるように言った。
初めてトップ4に入り、チームの歴史を刻んだ横浜キヤノンイーグルス。初のプレーオフ準決勝の相手は王者・埼玉パナソニックワイルドナイツ。相手にとって不足はない。84トライ、ディフェンス突破489回のリーグナンバーワンの攻撃力を武器にチャレンジャーとして挑む。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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