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ラグビー コラム 2023年5月1日

【ハイライト動画あり】慶應義塾大学、終了間際の逆転で立正大学に勝利。ラグビー関東大学春季交流大会

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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慶應CTB山本がトライを挙げて逆転勝利

ラグビー関東大学春季交流大会は、4月23日(日)にBグループ(関東大学対抗戦:慶應義塾大学、筑波大学、立教大学/関東大学リーグ戦:日本大学、立正大学、法政大学)も開幕。

30日(日)には第2節の2試合が行われ、慶應義塾大学(昨季関東大学対抗戦4位)が、昨季リーグ戦1部に再昇格し、大学選手権出場争いを演じた立正大学(関東大学リーグ戦5位)をホームの神奈川・慶應義塾大学グラウンドに迎えた。

慶應の青貫監督

今季、慶應義塾大学は新たに、OBで名FL(フランカー)としてキャプテンも務めた、青貫浩之監督が就任。2週間前の練習試合では東洋大学に50-14、先週の春季大会開幕戦も10トライを重ねて65-31で法政大学(昨季リーグ戦6位)に勝利。好調のまま第2戦に臨んだ。

元日本代表SHの立正の堀越監督

一方、昨季は惜しくも大学選手権出場を逃した立正大学。先週の開幕戦は同じリーグ戦のライバルである日本大学(昨季4位)と対戦。後半途中まで19-14とリードしたが、後半20分にディフェンスが崩れて6トライを献上。19-52と大敗してしまった。堀越正己監督は4人のメンバー変更と、3人のポジション変更などメンバーを大きく変えたが、まず80分間、しっかりとディフェンスすることができるかが焦点となった。

先制トライを挙げる立正

午後1:00、アウェイの立正大学ボールで試合がキックオフされた。「ちょっとずつかみ合ってきた」と堀越監督が振り返ったように、序盤は立正大学が前に出るディフェンス、そしてFB(フルバック)武田凱(3年)のロングキックで、相手陣でプレーしてリズムをつかむ。すると立正大学は前半12分、相手の反則からゴール前に攻め込み、ラインアウトからモールを形成。最後はHO(フッカー)三浦類(3年)が右中間に抑えて5点の先制に成功する。

モールから同点トライを挙げる慶應

慶應義塾大学もカウンターからチャンスをつかんだが、相手の粘りのディフェンスでトライを挙げることができない。それでも接点で徐々に上回り始めた33分、慶應義塾大学はゴール前でチャンスを迎え、ラインアウトモールからHO中山大暉(3年)が右端にトライを挙げて、5-5の同点に追いつく。慶應義塾大学はその後もチャンスをつかんだが、インゴールを陥れることはできなかった。

ラグビー関東大学春季交流大会2023

【ハイライト】Bグループ 慶應義塾大学 vs. 立正大学

前半ロスタイム、立正大学は相手反則により、再びゴール前でラインアウトのチャンスを得て、最後はこの試合がデビュー戦となったルーキーのNO8(ナンバーエイト)平尾晃太(大阪商業大学高校)がトライを挙げて立正大学が5点をリードして前半を折り返した。

ハーフタイム、慶應義塾大学はFW(フォワード)、BK(バックス)、そして全体でも「やってきたことに立ち返ろう」と話し合って後半に臨んだ。するとすぐに相手陣ゴール前でチャンスを迎える。

モールを形成した後、すぐに右に展開し、最後は途中出場のWTB(ウイング)佐々仁悟から、大外にいたWTB大野嵩明(ともに4年)に渡り、大野がトライを挙げて10-10の同点に追いつく。さらに7分、自陣からSH(スクラムハーフ)小城大和(3年)のハイパントを「フィールドプレーは良かった」という大野が見事にキャッチし、40m ほどゲイン。最後は落ち着いてつないで、HO中山がトライ。17-10と逆転に成功する。

トライを挙げる立正WTB齊藤

リードされた立正大学もすぐに反撃し、モールを押し込んで、最後はWTB齊藤瑠海奈(4年)がサイドを突いて左中間にトライ。ゲームキャプテンを務めたCTB(センター)キニ・ヴェイタタ(4年)がゴールを決めて17-17の同点に。

トライを挙げて喜ぶ立正CTBハインリッヒ

さらに15分、ラインアウトを起点にFBからSO(スタンドオフ)に入っていた武田の裏へのキックを途中出場のCTBフルックス・ハインリッヒ(2年)が拾い上げて中央にトライ。ゴールも決まって立正大学が24-17と再びリードする。

慶應WTB佐々が左隅にねじ込み2点差

その後は互いに相手ゴール前に攻め込むが、決定打に欠けて得点を挙げることができない時間帯が続く。残り2分あまり、相手陣のスクラムで反則を得た慶應義塾大学は途中出場のSH杉山雅咲(2年)がクイックリスタート。WTB大野がゲインし、最後はクイックハンズで左サイドを攻めてWTB佐々が左隅にトライ。ゴールは決まらなかったものの、22-24と追い上げる。

試合終了まで残り2分、2点リードの立正大学は相手反則からPG(ペナルティゴール)を狙わずタッチに蹴りだそうとしたが、このキックがノータッチとなり慶應義塾大学ボールとなる。慶應義塾大学はボールを継続し、相手反則を誘ってゴール前のラインアウトのチャンスを得た。

ロスタイム5分、ラストプレーで粘り強くボールをつなぎ、最後はSH杉山、CTB三木海芽(4年)、CTB山本大悟(2年)とつないでトライ。山本は「最後、やりたいことができて自分のトライにつながった」と破顔した。最後まで勝負のわからないシーソーゲームはホームの慶應義塾大学が27-24で逆転勝利を収めて、開幕から連勝を遂げた。

前節の課題をしっかり修正したが、最後にミスで白星を落としてしまった立正大学の堀越監督は「(前節の反省から)後半、ラスト20分修正して頑張っていたが、最後、1つのミスで取られたので、練習からしっかりやっていかないといけない。ただ、先週の試合よりもすごく良くなっている」と悔しそうな表情を見せながらも選手たちの奮闘を称えた。

キックでチームを押し上げた立正FB武田

落ち着いたプレーを見せたFB武田は「(キックは)今日、調子が良かった。やろうと思っていたことができた。自分たちは前に出るディフェンスなので、慶應さんという格上の相手だが前に出られた」と振り返った。

逆転勝利を収めた慶應義塾大学の青貫監督は「今日の試合テーマは『走り勝つ』だった。相手のディフェンスのプレッシャーで思ったアタックができなかったが、最後は練習でやってきたことが出せた。この時期にタフな試合を経験できて良かった」と話した。

キャプテンPR岡広将(4年)は「シーソーゲームを勝ちきるのは慶應に必要な力なので、勝ち癖というか、競ったときにいつも通りプレーできるかを練習から意識している。メンバーが変わったところで、まだ同じクオリティとはいかなかったが、練習でやってきたことはできていた。組織的(なアタック)や(接点の)細かいスキルをもう少しやっていきたい」と振り返った。

開幕から連勝スタートとなった慶應義塾大学は次節、5月14日(日)に日本大学(@日本大学グラウンド)と対戦する。連敗となったものの、復調の兆しが多いに見えた立正大学は同日、昨季対抗戦6位だった立教大学(@立教大学グラウンド)と相対する。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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