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ラグビー コラム 2023年4月28日

昨季リーグ戦の1位と2位が新シーズン初戦で激突。関東大学春季大会Aグループ、流通経済大×東海大戦プレビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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流通経済大学 vs. 東海大学

今季のチームの立ち位置をはかる大事な真剣勝負の場だ。新首脳陣のチームづくりや、新戦力およびルーキーの台頭を見極める絶好の機会でもある。

大学ラグビー新シーズンの幕開けを告げる恒例の春の公式戦、関東大学春季大会が、今年も4月中旬にスタートした。大会は関東大学対抗戦と関東大学リーグ戦に所属する16校が、昨季の成績をもとに6チームずつA、B、Cの3カテゴリーに分かれ、総当たりのリーグ戦で順位を決定する方式で実施される。各校にとって代替わりした新体制で迎える最初の腕試しの舞台であり、見る側にとってはさまざまな見どころに満ちた大会だ。

最上位カテゴリーとなるAグループでは、4月30日に流通経済大と東海大が対戦する(13時キックオフ@流通経済大第1グラウンド)。昨季リーグ戦の1位(東海大)と2位(流通経済大)の激突で、15人制のゲームとしてはともにこれが2023年度の初戦。今季の大学ラグビーの勢力図、さらには秋の優勝争いを展望する上で、注目の一戦といえるだろう。

リーグ戦5連覇中の東海大は、東海大仰星高1年時から全国レベルで名を馳せてきた万能BKの谷口宜顕が新主将に就任し、悲願の日本一へ向けスタートを切った。戦力面ではLOワイサケ・ララトゥブア、FLレキマ・ナサミラを筆頭にFWの主軸が多数卒業したものの、BKは過去3年司令塔を務めてきたSO武藤ゆらぎ、FB谷口ら前年のレギュラーが4人残る。スペースがあればどのエリアからでも仕留め切れるアタッカーを擁するだけに、フレッシュな顔ぶれのFW陣の成長がチーム作りのカギになりそうだ。

一方の流通経済大は18年にわたってチームを率いてきた内山達二監督がこの春退任し、前ヘッドコーチの池英基(ち・よんぎ)氏が後を引き継いだ。こちらも土居大吾前主将、リクアタ・テアウパの強力CTB陣をはじめ昨季のレギュラー8人が抜けたが、FWのタイトファイブにHB団、そしてFBと、ゲームメイクの要となるポジションに経験あるメンバーが並ぶのはプラス材料だ。ポテンシャルを秘めた下級生も多く、今季も楽しみな存在であるのは間違いない。

新チームが発足して間もない段階での最初のゲームだけに未知数の部分は多いが、そのぶん今季の強みやここまで取り組んできたことがプレーに表れやすいのが、この時期の試合の特徴だ。そうした中で今回の焦点になるのは、接点の攻防だろう。ともに激しいコンタクトを持ち味とするアタッキングマインドの強いチームであり、勢いに乗れば一気にたたみかける力を有する。あらゆるプレーの土台となるゲインラインのバトルでどちらが優位に立つかが、試合の流れを大きく左右しそうだ。

なお両校は4月9日に行われた東日本大学セブンズの準決勝で対戦しており、この時は流通経済大が36-19で勝利(決勝で筑波大に17-21で敗れ準優勝)。ただ翌週の関東大学ラグビー連盟SEVEN A SIDE大会では東海大が優勝を果たした一方、流通経済大は初戦で敗退している。7人制の結果がそのまま15人制に結びつくわけではないが、チームの勢いという点では参考になるかもしれない。

発表されたメンバーを見ていくと、ホストチームの流通経済大は先発15人中10人が4年生という上級生主体の布陣を組んできた。FW第1列は左から玉永仁一郎、作田駿介、吉村一将の3人で、両LOは176センチの藤廣我仁と197センチのブレンドン・ネルのペア。篠澤輝、キャプテンの原田季弥の両FLと大型NO8ティシレリ・ロケティが第3列を形成する。

佐々木開(流通経済大学)

HBはSH武井陽昌とSO佐々木開という昨年からのコンビ。TB陣は11番から濱谷海斗、如澤海流、杉崎晴人、中村楓馬という並びだ。FBには南アフリカ出身のステファーナス・ドゥトイが入った。

対する東海大はスタート15人のうち4年生が7人、3年生が7人、2年生がという構成。フロントローはシアレ・オトゥホウマ、安藤良太、杉浦皓亮というフレッシュな顔ぶれで、LO陣は中山竜太朗と朴淳宇のペア。バックローは突破役を担うFLオフィナ・アフに、FL佐々木浩祐、NO8大森光が務める。

岡村優太(東海大学)

BKには昨シーズンの公式戦経験者がずらりと並び、SH辻時羽とSO武藤ゆらぎのHBがゲームを組み立てる。両CTBは何松健太郎と近藤翔耶の東海大仰星出身コンビで、中川湧眞と岡村優太という決定力抜群のランナーが両翼に入った。キャプテンのFB谷口宜顕が、最後尾からチームをコントロールする。

ちなみに昨年秋のリーグ戦では、第4節の対戦で52-26と東海大が勝利を収めている。展開としては前半26-0と大きく先行したところから、後半一時14点差に詰め寄られたものの、終盤の10分間で3トライを挙げて突き放すという内容だった。それから半年余りの再戦でそれぞれがどんなパフォーマンスを見せるのか、楽しみな一戦だ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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