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【ハイライト動画あり】埼玉パナソニックワイルドナイツが首位通過、東芝ブレイブルーパス東京はプレーオフ進出ならず。ジャパンラグビー リーグワン最終節
ラグビーレポート by 斉藤 健仁POMに輝いたワイルドナイツCTB長田
2シーズン目の「NTTジャパンラグビー リーグワン」が佳境を迎えようとしている。4月21日(金)~23日(日)はディビジョン1のリーグ最終戦となる第16節が行われる。
21日(金)の夜、東京・秩父宮ラグビー場では、現在5位でプレーオフ進出を目指すホストの東芝ブレイブルーパス東京(10勝5敗、勝ち点48)が、首位でプレーオフ進出を決めている埼玉パナソニックワイルドナイツ(14勝1敗、勝ち点62)を迎えた。
2季連続プレーオフ進出を目指すブレイブルーパスは、3月以降は負けなしの6連勝中で、第15節が終わった時点で、4位の横浜キヤノンイーグルスに勝ち点差わずか1で追っていた。
ブレイブルーパスNO8リーチ マイケル
トッド・ブラックアダーHC(ヘッドコーチ)は、リーグ最終戦に向けてFW(フォワード)、BK(バックス)ともに2名ずつ先発を入れ替えた。第1節から試合に出続けていた日本代表のLO(ロック)ワーナー・ディアンズがケガでメンバー外となったが、バックローは共同キャプテンのFL(フランカー)に徳永祥尭が復帰、NO8(ナンバーエイト)はゲームキャプテンで日本代表でも中軸のリーチ マイケルが務めた。
BKは共同キャプテンSH(スクラムハーフ)小川高廣とハーフ団を組むSO(スタンドオフ)は、前節の中尾隼太からトム・テイラーに替わった。CTB(センター)はニコラス・マクカランとセタ・タマニバルの2人。WTB(ウイング)は前節ハットトリックを達成した濱田将暉と、突破力の高いジョネ・ナイカブラが入った。
一方、コロナ禍の影響による不戦敗を除いて、リーグワンで30戦無敗を続けてきたワイルドナイツだが、前節は静岡ブルーレヴズに25-44で敗れた。ロビー・ディーンズ監督はFW4名、BK3名の先発7名を替えた。FWはキャプテンのHO坂手淳史、PRクレイグ・ミラーらの日本代表、LOには南アフリカ代表のルード・デヤハー、NO8も日本代表のジャック・コーネルセンが入った。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【ハイライト動画】第16節 東芝ブレイブルーパス東京 vs. 埼玉ワイルドナイツ
内田(右)、山沢(中央)ワイルドナイツのハーフ団
BKではSHに内田啓介が先発し、前節はFBでプレーしたSO山沢拓也とハーフ団を組んだ。CTBは日本代表のディラン・ライリーが3試合ぶりの出場となり、新人の長田智希(早稲田大学出身)が12番にまわった。オーストラリア代表WTBマリカ・コロインベテが先発に戻り、竹山晃暉と両翼を担い、FBは野口竜司が務める。
ワイルドナイツが勝利し、首位でリーグ戦を終えることができるか。それとも5位のブレイブルーパスが勝利してプレーオフ進出に望みをつなげるか。東京・秩父宮ラグビー場には9566人の観客が集い、午後7:00にキックオフされた。
試合序盤は互いにキックの多い展開となるが、徐々にワイルドナイツが接点で上回りペースを掴んでいく。前半19分、SO山沢が中央のPG(ペナルティゴール)を外してしまったが、前半、ワイルドナイツはほとんどの時間を相手陣でプレーすることに成功した。
ゴールを決めるワイルドナイツSO山沢
29分には相手の反則からゴール前のラインアウトを得て、ボールを粘り強く継続。最後はPR平野翔平が右端に押さえてトライ。SO山沢がゴールを決めて7点を先制する。
35分、ブレイブルーパスLO梶川喬介が反則の繰り返しでイエローカード(10分間の一時的退室)となり、数的有利となったワイルドナイツはさらに集中力を高める。37分、スクラムを起点に、左へボールを展開。最後はSO山沢からWTBコロインベテにつながりトライ(12-0)。
さらに40分、ワイルドナイツはラックでボールを奪い返すとCTB長田がラインブレイクし、FB野口、SH内田啓介とつないでそのままトライ。ゴールも決まってワイルドナイツが19-0とリードして前半を折り返した。
トライを挙げたブレイブルーパスWTBナイカブラ.
なんとしても勝利したいブレイブルーパスは後半2分、FB松永拓朗がPGを沈めて3-19。さらに19分、ラインアウトを起点にボールを継続し、最後は途中出場のSHジャック・ストラトンからWTBナイカブラにつないで、右端に飛び込んで8-19と追い上げる。
ワイルドナイツWTB竹山のダイビングトライ
しかし23分、ワイルドナイツはPGを決めた直後の24分にも、FL長谷川峻太からのオフロードパスを受けたCTB長田がゲイン、最後はWTB竹山が飛び込んで右端にトライを挙げて27-8とリードを広げた。
ブレイブルーパスも意地を見せて29分、途中出場のHO橋本大吾がトライを挙げたが、33分、ワイルドナイツはCTB長田が相手のパスをインターセプトし、そのまま中央にトライを決めて、34-15とする。
35分、最後まであきらめなかったブレイブルーパスは、FL徳永が左中間にトライを挙げて追い上げたものの、試合はそのまま、34-22でワイルドナイツが勝利した。
5位に終わったブレイブルーパス
勝ち点4を得たワイルドナイツは、昨季に続いてリーグ戦首位でのプレーオフ進出を決めた。敗れたブレイブルーパスは勝ち点を積み上げることができず、4位の横浜キヤノンイーグルス(勝ち点49点)のプレーオフ進出が決まった。
POMに輝いたワイルドナイツCTB長田
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には出色の出来を見せたワイルドナイツのCTB長田が選ばれた。「久しぶりの12番だったので、接点で前に出て仕事できるようにとイメージしてできた。(シーズン2度目の受賞で)試合に出られるならチームに貢献したいと思っていて、形としてわかるものなので率直にうれしい」と笑顔を見せた。
首位を決めたワイルドナイツ
ワイルドナイツのディーンズ監督は、「ハッピーです。リーグ戦をいい形で締めくくることができた。プレーオフ進出を決めた後の戦いはとっても難しいもので、相手はプレーオフ進出を目指しているチームや、入替戦を回避したいチームと対峙しなければならなかった。偉業を成し遂げ、戦った選手たちを誇りに思う」と満足げに語った。
ワイルドナイツのディーンズ監督(右)と坂手主将
キャプテンのHO坂手も「自分たちの姿勢が出せた。前回の試合からの負けからミスを修正することにフォーカスした。FWはセットプレーを改善し、スクラムも組めていた。規律も特に前半は良かった。後半は不運なペナルティもあったが、こういうミスや規律の乱れはゲームの流れを決めていくものなので、しっかりと準備したい」と自信をのぞかせた。
ブレイブルーパス ブラッカダーHC(右)と小川主将
プレーオフに進出できず、5位で今シーズンを終えたブレイブルーパスのブラックアダーHCは「ワイルドナイツがボール保持し、キッキングバトルと規律の悪さで自分たちの流れは掴めなかった。ワイルドナイツの経験値の高さが出た。ハーフタイムまでは希望を持っていたし、自信もあったがボールを獲得できなかった。それでもベストを尽くした選手を誇りに思う」と振り返った。
共同キャプテンのSH小川は「規律、オフサイドラインのことを今日の試合では言わないようにしていたが、結果的には取られてしまった」と悔やんだが、「後半リザーブが入り23人で戦えた。チームは強くなっているし、自信をなくすことなく自分たちのラグビーをできた」と前を向いた。
いよいよリーグワンはトップ4によるプレーオフが始まる。連覇を狙う首位の埼玉パナソニックワイルドナイツは5月13日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で、初のベスト4入りを果たして勢いに乗る4位の横浜キヤノンイーグルスとファイナル進出をかけて激突する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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