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【ハイライト動画あり】スピアーズ船橋・東京ベイ、グリーンロケッツ東葛との千葉ダービーに完勝し首位に肉薄。ジャパンラグビー リーグワン第15節レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信
前日、前々日に起こった他会場の波乱の結果にも、突然の雷雨による中断のアクシデントにも、心乱れるところはいっさいなかった。強みであるFWの推進力を前面に押し出して試合の主導権を握り、好機を着実に仕留めてスコアを積み上げる。風格すら感じさせる強靭にしてスマートな試合運びで、クボタスピアーズ船橋・東京ベイがNECグリーンロケッツとの千葉ダービーで完勝を収めた。
前年度王者、埼玉パナソニックワイルドナイツの連勝が47で止まった衝撃の結末から20時間後のキックオフ。リーグ戦1位通過の可能性が復活した2位スピアーズだったが、そんな雑念など微塵も感じさせない重厚な戦いぶりでキックオフ直後からたたみかけた。開始5分にFB島田悠平のPGで先制すると、12分にはゴール前ラインアウトから得意のモールを押し切り、HO杉本博昭がこの日最初のトライを挙げる。
グリーンロケッツも19分、相手ドロップアウトのリターンでこぼれ球を手に収めたCTBマリティノ・ネマニが約40メートルを走り切って5点を返したが、スピアーズは直後の23分にふたたびラインアウトモールでNO8ファウルア・マキシがグラウンディング。28分には自陣22メートル線付近のラインアウトで相手投入のボールをターンオーバーし、LOデーヴィッド・ブルブリングの防御裏へのキックから一気に切り返して地元日体大柏高校出身のWTBハラトア・ヴァイレアが右コーナーに飛び込む。FB島田が難しい角度のコンバージョンを決め、リードは24-5と広がった。
地元柏の葉公園総合競技場での今季リーグ戦最後のホストゲームとなるグリーンロケッツも、31分に懸命のカバーディフェンスから相手のハンドリングエラーを誘い、カヴァイア・タギヴェタウアが60メートルを独走してスコアを12点差に縮める。しかしスピアーズはここですぐにリズムを立て直し、37分にスクラム起点の連続攻撃でLOブルブリングがポスト横にフィニッシュ。31-12として前半を折り返した。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第15節ハイライト】グリーンロケッツ東葛 vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
天候悪化による中断でハーフタイムを延長し、前半終了から約30分後に始まった後半。難しい状況での再開だけにゲームへの入り方が注目されたが、ここでも先にペースをつかんだのはスピアーズだった。
頑健なフィジカリティを武器に接点でプレッシャーをかけて敵陣で試合を進めると、53分にゴール前ラインアウトからのモールでNO8マキシがインゴールへ。その6分後にもラインアウトモールを一気にドライブし、入替で入ったばかりのHOマルコム・マークスが悠々と左中間に押さえる。これでスコアは45-12に。
グリーンロケッツも62分にようやく敵陣22メートルライン内へ攻め込み、ラインアウトから一気に大外へ振ってWTB 後藤輝也が自身今季初トライをマーク。さらに追い上げたいところだったが、スピアーズの重いコンタクトに蓄積する疲労が重なり、流れを変えるまでには至らない。
逆にスピアーズは途中出場メンバーのフレッシュレッグの勢いを加えて最後まで攻める姿勢を貫き、73分にSH谷口和洋がラックサイドを突いてトライ。78分にはハーフウェー付近から長い連続攻撃を仕留め切り、LOルアン・ボタがチーム8本目のトライを決める。最終的には59-17まで点差を広げて、フルタイムを迎えた。
狙い通りにボーナスポイント付きの勝ち点5を手にし、総勝ち点を61に伸ばしたスピアーズ。これで首位ワイルドナイツとの差は「1」となり、最終節の結果次第ではリーグ戦1位でのプレーオフ進出もあり得る状況となった。ここにきてコンディション、パフォーマンスともより研ぎ澄まされてきており、シーズンのクライマックスに向けてチーム状態がピークに達しつつある印象だ。
もっともキャプテンのCTB立川理道は、「今週はいろいろなことが起こる中で、自分たちのやることにフォーカスした。ワイルドナイツのことはあまり考えていません」とこの状況でも目の前の一戦に集中する姿勢を強調する。悲願の日本一へ、しっかりと地に足をつけながら歩を進めていることを感じさせる勝利だった。
一方グリーンロケッツは勝ち点を積み上げることができず、金曜日のゲームでコベルコ神戸スティーラーズから今季初勝利を挙げた最下位花園近鉄ライナーズとの勝ち点差は「4」に縮まった。直接対決となる次節は、勝敗次第で順位が入れ替わる大一番となる。その先に控える入替戦に向けきっかけをつかむためにも、いい内容の勝利が期待される。
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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