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ラグビー コラム 2023年4月17日

【ハイライト動画あり】2点差決着の大熱戦!3位サンゴリアスと4位イーグルスが直接対決!ジャパンラグビーリーグワンD1第15節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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田村煕(東京サンゴリアス)

実力伯仲。しかし最後は2点の差がついた。

ジャパンラグビーリーグワンのD1(ディビジョン1)第15節。

残り「2」となったプレーオフ出場枠をかけて、3位(勝点51)の東京サンゴリアスと、4位(勝点48)の横浜キヤノンイーグルスが4月15日(土)、日産スタジアムで激突した。

試合当日は午前中から雨。試合展開は序盤からキック中心のテリトリー合戦となったが、見応えのある応酬に1万5034人が沸いた。

先制点は前半3分のイーグルス。相手反則(ノット・ロール・アウェイ)からSO田村優がPG(ペナルティゴール)を決めた。

しかしイーグルスにアクシデント。

そのSO田村優がタックルの際、相手の脚が頭部に当たって途中交代。経験豊富な小倉順平がスクランブル出場となった。

「優(SO田村)の経験値、ラグビーナレッジがチームに必要でした。彼が早い段階で抜けたことによる影響はありました」(イーグルス・沢木敬介監督)

その後の展開は一進一退。

雨の中、お互いに堅守の応酬。イーグルスではこの日チーム最多タイの12タックルをミスなく決めたFL嶋田直人、CTB南橋直哉らがタックルで落球を誘った。

松井千士(横浜キヤノンイーグルス)

アタックでは、元サンゴリアスのWTB松井千士が存在感。前半11分にカウンターからド派手なラインブレイクを披露。会場を沸かせた。

一方サンゴリアスの10番は、兄・優との「兄弟司令塔対決」に臨んだSO田村熙。この日はチーム1位の15回のキックで、雨中戦をゲームメイクした(2位はSH齋藤直人の6回)。

サンゴリアスはNO8テビタ・タタフがキックチャージの際のコンタクトでシンビン(10分間の一時退場)。しかし粘り強く戦い、14人だった約10分間の失点はゼロ。

逆にジャッカルなどで敵陣に入り、相手の反則を誘ってSO田村熙がPG加点(3-6)。

14人ながら逆に3点を奪ったサンゴリアスが、ビハインドを3点(3-6)に縮めて後半へ。サンゴリアスの田中澄憲監督は、司令塔・田村熙についてこう話した。

「本人(SO田村熙)は、今日は納得のパフォーマンスだったと言わないと思いますが、ペナルティゴールは大事で、そこはしっかり決めてくれました」

「総括は難しいですが、後半は落ち着いてコントロールしてくれました」(サンゴリアス・田中監督)

迎えた後半、イーグルスは開始後から雨の中で21次攻撃。しかしサンゴリアスは日本代表PR垣永真之介がジャッカル成功。迫力満点の攻防を繰り広げる。

後半最初の得点はサンゴリアス。SO田村熙のPG成功でついに同点(6-6)とした。

2分後(後半14分)にイーグルスも反撃。

21番のファフ・デクラークと共に途中出場したシオエリ・ヴァカラヒが、出場直後にいきなりジャッカル。ここからPGを成功させ、イーグルスが9-6と勝ち越した。

松島幸太朗(東京サンゴリアス)

と、ここからサンゴリアスがじわりと攻勢を強める。終盤になってもプレー精度が落ちなかった一人は日本代表FB松島幸太朗だ。

カウンターから連続の突破を披露。この日のボールキャリー14回、6回のDF突破はチーム最多だった。

「(FB松島の)ハイボールの対応、キック、ランの選択は非常に明確でした。ランを選択しても確実にゲインラインを切ってくれました」(サンゴリアス・田中監督)

試合は拮抗が続いた。均衡の様子はこの日の両軍スタッツ(統計数値)にも表れていた。

この日はメーターキャリー(イーグルス「303」。サンゴリアス「288」)をはじめ、キャリー回数(「84回」「85回」)もほぼ同じ。

まったくの同数も多かった。DF突破数(15回)、被ターンオーバー数(12回)、タックル成功率(86.5%)、ペナルティ数(14回)などだ。

違いの一つは「ラインアウト成功率」と「モール勝利」。

ラインアウト成功率が92.9%だったサンゴリアスに対して、イーグルスは84.6%。モール勝利はサンゴリアスの9回に対して、イーグルスは6回だった。

そして「勝負所での反則」も勝負を分ける要因の一つになった。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第15節ハイライト】横浜キヤノンイーグルス vs. 東京サンゴリアス

イーグルスは試合時間ラスト約20分でペナルティが5回(サンゴリアスは同時間帯で2回)。反則から勢いを失ってしまった。

「反則が大きかった。反則すると下がるのはラグビーの鉄則です」(イーグルス・沢木監督)」

すると後半30分だった。

3点リードのイーグルスは、途中出場のHO川村慎が不当なプレーによりモールを崩したとしてイエローカード。

テビタ・タタフ(東京サンゴリアス)

勝負所でFWが7人となり、この敵陣好機でNO8テビタ・タタフがモールから飛び出してグラウンディング成功。この日両軍合わせて最初のトライが72分に生まれた。

「あのトライはフォワードの力。モールでプレッシャーを掛けることができていました」(サンゴリアス・田中監督)

待望の逆転トライで、サンゴリアスがついに2点リード(11-9)を奪った。

残り2点差をひっくり返したいイーグルスだったが、後半36分にはサンゴリアスが殊勲のスクラム勝利。ペナルティ奪取で前進し、押し込んだまま、敵陣で歓喜の瞬間を迎えた。

イーグルスの沢木監督は「勝つチャンスはいっぱいあった」と惜敗を振り返った。

「勝ちきれないところがまだ甘いところ。ただゲームの内容は両方レベルが高かったと思います」

「ただ負けの中で1ポイントを取った。最高の負けです。残り1戦、プレーオフなど先を見ず、次のコベルコ神戸スティーラーズ戦で、ベストなイーグルスのラグビーで堂々と勝ちにいきたいです」(イーグルス・沢木監督)

イーグルスは7点差以内の負けに与えられるボーナス1点を奪取。一時的にブレイブルーパスに逆転されて5位になっていたが、勝点5獲得で4位に返り咲き。

5位東芝ブレイブルーパス東京との勝点差は「1」。

次戦はチームの歴史創造を懸けた大勝負。9位のコベルコ神戸スティーラーズ戦(4月23日/東大阪市花園ラグビー場)で、チーム史上初の4強入りを狙う。

勝利したサンゴリアスはプレーオフ・トーナメント進出が決定。

開幕戦でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに敗れたものの見事に立て直し、まずは優勝決定トーナメントに辿り着いた。

「非常にタフなゲームでした」と田中監督。「1点差でもいいので勝ち切るゲームを、と話していましたが、まさにそういう内容になりました」

「選手が焦らず強みを出して勝ち切ってくれました。最後リーグ戦は1試合残っているので良い準備をしたいです」

次戦の相手は開幕戦で敗戦を喫したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。

共にプレーオフ進出を決めているが、チーム強化の視点から消化試合には決してならないだろう。スピアーズにも逆転1位の可能性がある。

何よりプライドがある。「初戦負けているので、リベンジして叩き潰したい」。そんな強い決意を語ったのは、サンゴリアスのHO堀越康介共同キャプテンだ。

雪辱戦は4月22日。舞台は東京・スピアーズえどりくフィールドだ。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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