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【ハイライト動画あり】3季連続4強入り!スピアーズが本拠地「えどりく」でライナーズに快勝。ジャパンラグビーリーグワンD1第14節
ラグビーレポート by 多羅 正崇木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
前身トップリーグ時代から、3季連続の4強入りだ。
快挙を達成した舞台は、リーグワン初のネーミングライツ契約で名称変更した『スピアーズえどりくフィールド』(江戸川区陸上競技場)。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイは第13節を終え、通称「えどりく」で15連勝中。
なぜホストスタジアムで強いのか。当然気になる質問を投げられたスピアーズのフラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)は、着実な歩みを強調した。
「前の週よりも確実にスタンダートを確実に上げることができています。またチームにその願望があるからだと思います。マインドセットの部分が大きいですね」
この日ゲーム主将を務めたFL青木祐樹も「毎週のやるべきことにフォーカスしてきた結果」と、日々の積み重ねに触れた。
ジャパンラグビーリーグワン2022-23のディビジョン1(D1)第14節。
4強プレーオフ進出目前、2位(11勝1分1敗/勝点51)のクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、今季勝利のない12位(13敗/勝点1)の花園近鉄ライナーズを迎えた。
まずスピアーズは自慢のフィジカルで優位となり、開始10分間で3連続トライを奪った。
前半6分。HO杉本博昭が正確なスローイング。モールは形成前に引き倒されたが、ラックからPR海士広大がサポートを受け、力強くグラウンディングした。
この日スクラムはライナーズが優位。
ファーストスクラム(前半6分)でいきなり押し込まれたが、一次攻撃でスピアーズのCTBリカス・プレトリアスが突破。パスも巧みな193cmの長身センターが、WTB木田晴斗のチーム2トライ目を演出した。
3分後にも「フィジカル×オフロードパス」の合わせ技からWTB木田が連続トライ。開始10分間で17-0とリードした。
ライナーズのFL野中翔平キャプテンは「(ラインディフェンスで)上がる意識は随所にあった」と評価しつつ、守備面をこう振り返った。
「ファーストタックルで倒せなくても2枚(2人)で倒し、相手より早く立つことをやろうとしました」
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第14節ハイライト動画】クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. 花園近鉄ライナーズ
「しかし試合の入りで機能しませんでした。ファーストタックルには入れても、オフロードで繋がれる失点もありました」
ウィル・ゲニア(花園近鉄ライナーズ)
ただライナーズには世界的SHウィル・ゲニアがいる。
相手のギャンブル的なパスからターンオーバーとなり、前半12分、SHゲニアがキック「50:22」を披露。
ここから敵陣ラインアウトを迎えると、一次攻撃で帝京大学出身のFL菅原貴人が突破。独走トライで7点を返した。
反撃したいライナーズだが、前半16分に司令塔の10番ジャクソン・ガーデンバショップがシンビンに。
前半19分には数的優位を見越したキックパスを受けたWTB木田がハットトリック達成となるが、直後の21分だった。
スピアーズのノックオンから攻守交代が起きる。
ここで怪我から復帰の日本代表、今季初先発のLOサナイラ・ワクァが躍動感あるキャリー&オフロードでチャンスメイク。
WTB高野蓮(高ははしごだか)が決め、14人のライナーズが12点差(12-24)に詰めてみせた。
しかし衝突局面の大勢は変わらず、スピアーズの190cmFLトゥパフィナウが前半5本目を決め、ホストチームの19点リード(31-12)で折り返した。
後半5分にはスピアーズのラインアウトが冴えた。
ライナーズは自陣ゴール前のラインアウトで、2人を飛ばして勝負に出たが、これが裏目。最後尾で飛んだLOデーヴィッド・ブルブリングに合わせると、目の前はガラ空き。後半最初のトライを難なく奪った。
一方でライナーズはその後の敵陣ラインアウトで2連続で獲得失敗。ラインアウトの正確性で後手になり、攻撃の足場を固められない。
それでもライナーズは課題のディフェンスで随所に粘った。
後半15分にはFL野中主将のファーストタックル、アーリーエントリーのCTB金澤春樹の加勢でノックオンを誘う。
好守からのターンオーバーも披露すれば、ふたたびスクラムで強制ペナルティ。31点差(12-43)でも大崩れしない強さを見せた。
ライナーズの指揮官、水間良武HCは評価ポイントとして、優位だったスクラムに加えて、「ディフェンスでも芯で捉えられるようになってきた。今後に繋がる」と守備の一面を評価した。
しかしスピアーズは華麗な展開力から後半27分にWTB根塚洸雅、そして相手のミスキックからのカウンターで同34分にNO8末永健雄が取り切り、大勢は決した。
43点ビハインド(12-55)のライナーズもCTB金澤のトライを返したが、最後は途中出場のフッカー、24歳のスカルク・エラスマスがジャッカル成功。
外に蹴り出し、55-17でノーサイド。スピアーズは反則数も少なく、ペナルティ数はわずか5回(相手は11回)だった。
今季14敗目を喫したライナーズ。水間HCはまず守備面に言及した。
「フィジカルで最初に何本か取られてしまいました。フィジカルで前に出られると寄せられ、コネクションが切れてしまいます」
「一週間やってきた、チームとして身体を当てる、前に上がる、ということは出た部分もあります。プラスと捉え、自信に変えていきたい」と次戦以降を見据えた。
ライナーズは出場が決定している入替戦の前に、本拠地でリーグ戦2試合を戦う。
次戦は19時キックオフの金曜ナイター。4月14日(金)に9位(5勝9敗)のコベルコ神戸スティーラーズを迎え撃つ。
一方、スピアーズのルディケHCは記者会見で「ハッピーです」と話した。
「序盤から良いスタートを切り、基本的なこと、小さいことをきっちり確実にできました。後半も若手選手がしっかり仕事をしてくれました」
「ただ勝利しても学びはあります。特にスクラムはライナーズさんが良かったです。次に向けて改善していきたい」
スピアーズはこの日プレーオフ進出が決定。3年連続の4強入りで、強豪としての名声は揺るぎないものになったろう。
「大事なことはパフォーマンスの一貫性。そこができているので3年連続でトップ4に入れたと思います」とルディケHC。
「ただ先を見すぎず、毎週レビューしていきます。リーグ戦は残り2試合あるので、そこで改善できることに取り組んでいきたいです」
スピアーズの次戦は4月16日(日)のビジターゲーム。相手は11位(2敗12敗)のグリーンロケッツ東葛だ。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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