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PR前田麟太朗(桐蔭学園)
3月31日(金)、埼玉・熊谷ラグビー場で決勝戦が行われた第24回全国高校ラグビー選抜大会。昨季は花園に出場できなかった桐蔭学園(神奈川)が、その悔しさをバネに4年ぶり4度目の春の王者に輝いた。大会初日、2日目は雨の中の試合となったが、準々決勝以降は春らしい暖かさの中で行われた。
それでは今大会で個人的に目立ったと思った選手を紹介していきたい(学年は大会開催時)。まずはPR(プロップ)から。今大会はPRの中でも「タイトヘッド」と呼ばれる「3」番をつけた選手に特筆すべき選手が多かった。
決勝戦に残った桐蔭学園の前田麟太朗、東福岡(福岡)の茨木海斗、ベスト8に入った大阪桐蔭副将の野村峻介、佐賀工業(佐賀)の本山淳祥、國學院久我山(東京)の小田島采輝、さらに松山聖陵の村中亮太(いずれも2年)らが各チームのスクラム、セットプレーを支えた。
PR本山佳龍(長崎南山)
そして特筆すべきが1年生ながらフィジカル、運動量にも長けていた身長187cm、体重117kgの体躯を誇る長崎南山の本山佳龍だ。相撲部屋や相撲の強豪高校からも声がかかった逸材で、高校からラグビーに専念。「スクラムが好き!」と話す有望株は、「全国レベルを体験できた」と笑顔で熊谷を去った。
「ルースヘッド」と呼ばれる「1」番の左PRでは、桐蔭学園のFWの中心選手の1人だった井吹勇吾を筆頭に、東福岡の沢田海盛(ともに2年)。HO(フッカー)では桐蔭学園の田中健心、5トライを挙げた東福岡の田中京也、佐賀工業の松田流良(いずれも2年)が印象的だった。
LO中森真翔(桐蔭学園)
次にLO(ロック)。桐蔭学園の中森真翔(2年)は身長190cmながら、中学時代100mを11秒で走ったスピードも魅力で、準々決勝、決勝でもトライを挙げた。他にも東福岡の倉掛太雅、佐賀工業の身長191cmの古賀大輝、1年生から活躍を続ける常翔学園の佐藤蓮、茗渓学園の小杉太郎、國學院栃木の小坂龍平、高川学園の藤沢大輝(いずれも2年)らが躍動した。
第24回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会
【ハイライト動画】決勝 桐蔭学園 vs. 東福岡
続いてバックロー。桐蔭学園を優勝に導いたNO8(ナンバーエイト)城央祐(2年)は運動量とダイナミックなプレーが持ち味で、空中戦にも強い。また桐蔭学園の1年FL(フランカー)申驥世はハードタックルで存在感を示した。東福岡のNO8高比良恭介(2年)は接点での強さを見せつつリーダーシップを見せた。
NO8岩本有伸(常翔学園)
常翔学園のキャプテンNO8岩本有伸(2年)、準々決勝でハットトリックを達成した井本章介(1年)、他にも國學院栃木のNO8山口匠人、中部大春日丘の主将FL福田大和、大阪桐蔭の主将NO8上野凌太(いずれも2年)らが、ボールキャリー、ハードワークで魅せた。
SH小倉光希矢(國學院栃木)
続いてBK(バックス)。SH(スクラムハーフ)は東福岡の利守晴を筆頭に、國學院栃木の小倉光希矢、常翔学園の三田村眞生、FB(フルバック)から転向したばかりの佐賀工業の井上達木、長崎南山の山下蓮、札幌山の手の近藤悟(いずれも2年)らが、チームを引っ張った。
司令塔のSO(スタンドオフ)では、優勝した桐蔭学園の萩井耀司、準優勝した東福岡の井上晴生はもちろんのこと、常翔学園の神田丈英、報徳学園のキャプテン菊川迪(いずれも2年)、大阪桐蔭の上田倭楓(1年)らがチームを引っ張った。
SO服部亮太(佐賀工業)
中でも大きな存在感を示したのはベスト8、佐賀工業の服部亮太(2年)だ。花園からパス、キックでアタックをコントロールしていたが、今大会では自らのランでトライを挙げるなど一回り成長した姿を見せた。
CTB大和哲将(佐賀工業)
続いて中盤において攻守で身体を張るCTB(センター)。桐蔭学園の12番を背負った高崎大我、東福岡の村上有志(ともに2年)、常翔学園ランで強さを見せた。佐賀工業のキャプテン大和哲将(2年)は得意のステップで会場を湧かせ、國學院久我山のキャプテン長谷川裕太は攻守で牽引し、チームをベスト8に導いた。
WTB西浦岳優(東福岡)
続いてトライゲッターのWTB(ウイング)。7トライを挙げて大会トライ王に輝いたのは、決勝でも2トライを挙げた東福岡の西浦岳優(2年)。他にも桐蔭学園の田中健想、常翔学園の山本啓太、報徳学園の長谷川諒、茗渓学園の森尾大悟(いずれも2年)らは、ランナーとして力のあるところを見せた。
WTBセニビツ イリエサ(大分東明)
また、大分東明の身長193cm、体重98kgのセニビツ イリエサは(1年)大型WTBとしてこれからが大いに楽しみな存在だ。なお、2人が兄いて長兄はフィジー代表として有名な、フランス・クレルモンでプレーするNO8ペセリ・ヤトである。
FB吉田晃己(桐蔭学園)
最後にFB(フルバック)。ラン、キックで優勝に大きく貢献した桐蔭学園の吉田晃己(2年)は、身長167cmと決して大きくはないが、キックでゲームをコントロールしつつ、裏へのキックで決勝でもトライを挙げるなど攻撃力で非凡なところを見せた。他にも東福岡の隅田誠太郎、報徳学園の太田啓嵩、高川学園主将の大嶋柚楽(ともに2年)らが力を発揮した。
春の選抜大会は、FW(フォワード)の力強さ、集散で他を圧倒した桐蔭学園の優勝で幕を閉じた。だが、全国の強豪は打倒・桐蔭学園を掲げて、冬まで大いに力をつけていくはずだ。また1人ひとりの選手も個々のスキルを高めて、夏の7人制全国大会、そして冬の花園に向けて進化を遂げていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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